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英国 ガス価格高騰によりエネ供給会社の破綻10社に

英国 ガス価格高騰によりエネ供給会社の破綻10社に

2021年09月30日

英国でエネルギー供給会社の経営破綻が続いている。9月29日、ガスや電力の小売事業者3社が営業を停止した。事業停止に追い込まれた背景には需給の逼迫により天然ガスのスポット価格などが急激に上がり、採算が合わなくなったためとみられる。

破綻したのはイグルー・エナジー・サプライとエンストロガ、シンビオ・エナジーで、顧客数は合計23万3,000人にのぼるという。1週間前の9月22日にはアブロ・エナジーとグリーンサプライヤーの2社が経営破綻した。英国で今年8月~9月に経営破綻した供給会社は計10社となった。

英ガス電力市場監督局(Ofgem)は、大手エネルギー供給事業者を、経営破綻した事業者の顧客の受け入れ先として選定し、エネルギー供給が滞ることがないように努めている。これまでに破綻した企業の顧客基盤は、英ブリティッシュガスや仏電力公社(EDF)などに継承されており、大手が新興エネルギー会社を吸収する構図になっている。

欧州の天然ガス相場は直近1ヶ月で約7割上昇しており、英国政府は9月18日、卸売ガス価格高騰の背景と英国のエネルギー供給事業者、産業、消費者を保護するための政府の取り組みを発表した。

英国への影響について、この冬のガス供給に緊急事態は予想していないとした上で、エネルギー安全保障は、政府にとって絶対的な優先事項で、エネルギー部門の規制機関であるOfgemおよびガス供給事業者と緊密に協力して、需要と供給を監視し対応しているとした。

英国では一般消費者を守ることが第一とした上で、電力・ガスの標準料金に上限を課す「プライスキャップ規制」を設定した。一方、小売価格の上限規制について、事業停止へ追い込まれた事業者からは大手事業者に有利な設計になっていると不満の声も上がっているという。

クワルテング・ビジネス・エネルギー・産業戦略相は9月23日付の声明で、今後数週間でさらに多くの事業者が市場から撤退する可能性があるとしている。

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EnergyShift編集部
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