自動車業界は世界的な脱炭素化の流れを受け、電気自動車(EV)や水素と酸素で発電して動力を得る燃料電池車(FCV)の開発が加速している。
日産自動車は11月12日、新型のEV「アリア」の予約限定車を2022年1月に発売すると発表した。価格は同社のEV「リーフ」の電池容量が近いモデルと比較すると、100万円ほど高い539万円から。オンライン販売を強化し、若い世代や新規顧客を獲得する狙いだ。
自動車業界の脱炭素をめぐっては、電動化を加速させつつ内燃機関も進化している。トヨタはEVだけでなく、ハイブリッド車やFCVなども開発を進め、全方位戦略を掲げている。
11月13日、トヨタとマツダ、スバル、川崎重工業、ヤマハ発動機の5社は、脱炭素社会の実現に向け、内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げる取り組みを共同で発表した。レースを通じて水素エンジンやバイオ燃料の開発・利用で協力する方針だ。
5社はEVや電動バイクなどの電動車だけでなく、CO2の排出を抑えた燃料を使う「脱炭素エンジン」の普及を目指す。トヨタとスバルはバイオマス由来の合成燃料、マツダは使用済み食用油などを原料としたバイオディーゼル燃料を搭載した車両でレースに参戦する。
また、燃料商社大手の伊藤忠エネクスは11月11日、「オフロード」と呼ばれる公道ではない道で使用する、ナンバープレートの付いていない車両用(建設機械・重機、フォークリフトなど)に利用することができる軽油代替燃料として、日本で初めて「カーボンニュートラルGTL燃料」の提供を開始すると発表した。GTL(Gas to Liquids)は、天然ガス由来の製品で、環境負荷の少ないクリーンな軽油代替燃料だ。
GTL燃料は、ロイヤル・ダッチ・シェルグループのShell MDS社(マレーシア)より輸入したShell GTL燃料。10月より同社の使用分(袖ヶ浦アスファルト基地)のGTL燃料で導入を開始し、今後順次販売を行っていく予定だ。
バイオマス由来燃料やGTLといった新エネルギーは軽油に比べCO2排出量を削減できる次世代の環境配慮型燃料として期待が高まっている。一方、軽油よりも大量生産が難しく、コストが高いのが課題だ。賛同するメーカーを広げ、コストを下げることで普及につなげていくことが焦点となっている。
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