“サステナブル・ラグジュアリー”を四半世紀に亘り実践する伝説的リゾート 「SONEVA(ソネバ)」の哲学 Part.1 | EnergyShift

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“サステナブル・ラグジュアリー”を四半世紀に亘り実践する伝説的リゾート 「SONEVA(ソネバ)」の哲学 Part.1

“サステナブル・ラグジュアリー”を四半世紀に亘り実践する伝説的リゾート 「SONEVA(ソネバ)」の哲学 Part.1

2021/04/12

太陽の恵みのもと、地球上に生きとし生けるすべての生物と同様に、人間もまた自然の産物だという真実と「持続可能」な心の在り方を思い出させてくれる革新的リトリート。25年前にモルディブで創業した当時から、SDGsの実践と共に歩む“SONEVA RESORT”の真髄に迫る。

2020年は様々な点で節目の年だったといわれているが、その一つが、これまで足並みの揃わなかった世界各国が「持続可能」な未来のために脱炭素への方向性をほぼ同一のものとし、それを地球規模の潮流として一気に加速させた年だということだろう。しかしその一方で、コロナ・パンデミックによって人々の営みや動きは遮断され、個々人の日常はどうしても閉塞感を伴うものとなってしまった。

特に、あらゆる人が希求する余暇の過ごし方として不動のトップに輝く、自分を見つめて取り戻す癒しの時間となる「異国を旅する行為」は、今現在遠く容易ならざる望みとなり、また同時に、それを担ってきた旅行業界は今、壊滅的なダメージを被っている。

しかしそんな中にも、再生可能エネルギー、脱プラ、ゼロエミッションなど、この数年でようやく先進的企業や各国政府が動き始め、注目を浴びるようになってきたSDGsの取り組みを、1990年代から今日まで四半世紀に亘って続けてきた、伝説を生まんとするリゾートがあるのをご存じだろうか?

その名は「SONEVA(ソネバ)」。

非日常を謳い、ゴージャスであることを至上の価値として求められてきたホテル&リゾート業界では、従来、資源やモノを大量に消費することは当たり前の「提供すべき贅沢」であるとされてきた。が、“真のラグジュアリーとは何か”を、人間の原点にまで立ち戻り、問い続けてきたのがソネバグループのCEOであるソヌ・シヴダサニ氏(以下敬称略)だ。

イギリス出身のソヌと、スウェーデンでトップモデルとして活躍していた妻のエヴァによって、ラグジュアリーとサステナブルという、一見、水と油のように相容れないと思われる要素を融合し、地球環境保護に配慮しながら自然との共生を可能にした彼らの最初のリゾートがモルディブに設立されたのは1995年のこと。リゾート名の「ソネバ」は、彼の名・ソヌと、妻の名・エヴァを組み合わせた素敵な造語だ。

ソネバグループCEO、ソヌ・シヴダサニ氏
ソネバグループCEO、ソヌ・シヴダサニ氏

豊かな自然と共にあるソネバは、25年前の創設時のコンセプト作りの段階から、地球環境への負荷を最小限におさえることを目標とし、「今さえ楽しめればそれでいい」という考え方とは真逆の、サステナビリティにのっとった具体的なCSR(企業の社会的責任)を実践してきた。

今では、ソヌとエヴァの人生を賭けたリトリートの創生はますます磨きがかかり、その行為の美しき波紋は数ヶ国をまたぐ、グループを超えた拡がりを見せている。ソネバが実践する、素晴らしい取り組みのいくつかを順に紹介していこう。

ソネバの日々に脈打つ“インテリジェント・ラグジュアリー”

数あるソネバのコンセプトの中でもひときわ特徴的なのが、“インテリジェント・ラグジュアリー”というアプローチだ。それは、ソネバを選んで訪れるゲストの一人一人が潜在的に希求するラグジュアリーを、聡明かつ知的なアプローチで理解することから生まれてくる“贅沢さ”であり、都会からやってくるゲストのニーズに寄り添い、忙しい都市では叶うことのない、特別な非日常の体験と時間を約束してくれる。

“ベアフット・ディナー”は新鮮な歓び。
“ベアフット・ディナー”は新鮮な歓び。

たとえば、ソネバでの日々は到着したゲスト全員が“No News, No Shoes”と書かれた袋に靴を預けることから始まる。これはもちろん強制ではなく、靴を履く履かないは各人の自由だ。しかし、促されるまま、きれいに掃き整えられたリゾート内の施設や砂浜を裸足で踏みしめ歩くうちに、人間本来の感性が蘇り、文字通り地に足のついた穏やかで落ち着いた心持ちになっていることに気が付く。人間も本来は自然の産物だということを、足裏からのリアルな感触が思い出させてくれるのだ。

優しい色合いの竹製ストロー
優しい色合いの竹製ストロー

輝く太陽のもと乾いた喉を潤そうとバーでカクテルを注文すれば、紙ストローよりさらに自然に近い素材が唇に優しい、竹を薄いフィルム状にして作ったストローが渡される。竹は成長が早く、木材の中でも特に環境に優しいとされる植物なのだ。また一方で、リゾート内には廃棄物リサイクルのための「エコセンター」が設けられ、排出されるゴミの90%が再利用されている。生ごみは良質のバクテリアを加えて肥料に、発泡スチロールは粉砕しセメントと混ぜて建材に、また食材となったココナッツの殻は特殊な窯を使うことで木炭化し、ワックスを塗ってバーベキューのためのハイブリッド燃料に生まれ変わらせるという徹底ぶりだ。

これから木炭に生まれ変わるココナッツの殻
これから木炭に生まれ変わるココナッツの殻

リゾートで饗される食事の材料の8割は地元でまかなわれ、朝食にはリゾート内のオーガニック農園で育ったフレッシュな野菜が毎朝収穫されて食卓に並ぶ。輝くブルーラグーンを眼前にゆったりと朝食を愉しみ身体の内側から力を得たゲスト達は、エコツアーで出会うマンタやイルカが悠々と泳ぐ姿を海中で眺め、海から上がったら、熱帯ジャングルから流れ込む原始の息吹を感じつつ、そのアロマと共にシャワーを浴びる。ベアフットにドレスという新鮮なドレスコードで臨むディナーは、味覚までが研ぎ澄まされ、プリミティブな歓びに満ちた饗宴に変化する。

そんなソネバでの日々を終える頃には、何かしら大切なことを思い出した嬉しさと、心身ともに生まれ変わったような変化を自覚するゲストも多いという。決して安くはない料金設定だが、顧客リピート率50%超を誇るホテル業界の常識を大きく凌駕した驚愕の実績からも、インテリジェント・ラグジュアリーという人々の心に深く分け入ったコンセプトが「ソネバの哲学」とも言えるものにまで昇華し、訪れるゲストのハートをとらえて離さない魅力を放っているということがわかるだろう。

コロナ禍が明け、再び旅する自由が戻るならば、真っ先に「持続可能」な魂の洗濯をしに出掛けたいと思わせる珠玉のリゾートがここにある。

Part.1に続きPart.2では、より実践的なソネバの哲学をさらに深掘りしてお伝えしたい。

インフィニティ・プールからのサンセット
インフィニティ・プールからのサンセット

(タイトルはソネバフシの敷地から桟橋でつながれたサンセットバー)

小川直美
小川直美

株式会社afterFIT クリエイティブ・ディレクター 過去○十年、文藝春秋勤務。 週刊誌のファッション&ライフスタイル・ディレクター、旅行誌アドバタイジング・エディター、雑誌マーケティング、文藝誌編集等、多岐に亘る雑誌メディア業に従事。 心の本業はダンサー。