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北欧版Teslaを目指すスウェーデンのSunRoof。建材一体型太陽電池とデジタルによる脱炭素可能性

北欧版Teslaを目指すスウェーデンのSunRoof。建材一体型太陽電池とデジタルによる脱炭素可能性

2021/06/03

コロナ禍においてでさえ、約半年で総額650万ユーロもの資金調達に成功したスタートアップがいる。北欧を拠点とするSunRoofは、建材一体型の太陽光パネルを核とするホームエネルギーマネジメントの分野で急拡大している。Teslaを強烈にライバル視している同社は、“Microsoft的な”パートナーシップによってさらなる高みを目指す。

主力製品は建材一体型太陽電池

SunRoofは、2013年にスウェーデンで設立されたスタートアップだ。連続起業家のLech Kaniuk氏がCEOを務め、元GoogleエグゼクティブのRafal Plutecki氏やオンラインビジネスを牽引するMarek Zmysłowski氏らがプロデュースしている。

CEOのLech Kaniuk氏は「私たちの野心はTeslaの欧州版になることです」と公言し、プレスリリースなど随所にこの意気込みが感じられる。

SunRoofの主力製品は、建材一体型太陽電池(BIPV:Building Integrated Photovoltaics)だ。同社の製品開発の柱は「BIPV」「機能性」「美学」としている。主力製品はいかにもスカンジナビアデザインといった美観が特徴で、太陽電池そのものの薄さは5mmだ。屋根の基本的な性能を備えると同時に、電気の自家消費も支える。

BIPVに注力する理由は美観だけではない。屋根材と一体化することで、コスト削減効果もあるという。つまり、屋根と太陽電池を別々に設置するよりも安価であるということだ。また、屋根全体を無駄なく活用できる。

建材一体型の太陽光パネルは、30年後にも出力80%が保証されている。オンライン制御も可能で、約3~10年で投資回収が見込まれるという。

コロナ禍の半年間で650万ユーロを獲得

2021年4月には、中東欧(CEE)地域で知られるベンチャーキャピタルInovo Venture Partnersらによる450万ユーロの投資ラウンド(シード拡張)が終了した。これは、コロナ禍における2回目の投資ラウンドだった。

1回目は2020年10月、ポーランドのSMOK Venturesが主導した200万ユーロのシードラウンド。SMOK Venturesは、ポーランドから数百万ドル規模のグローバルソフトウェア企業を輩出することを目指し、初期段階のスタートアップに積極的に投資を行っている。

SunRoofは半年足らずで2回の資金調達に成功し、総額で650万ユーロを調達したことになる。2021年末までにさらなる資金調達を計画しており、100人規模の雇用を予定している。

ソフトウェア各社との連携でデジタルプラットフォーム築く

ヨーロッパ版のTeslaを目指しているSunRoofは、彼ら言うところの「Microsoft的なやり方で(Inspired by the Microsoft way of working)」でパートナーシップを拡充している。2020年8月には、再エネの発電量をリアルタイムで記録するアプリやソフトウェアを開発しているスウェーデンのRedlogger(Renewable Energy Data Logger)を買収した。

Redloggerは、もともとスウェーデン国内でのみサービスを運用していたが、買収後はSunRoofに合わせて海外でも利用できるソフトウェア開発を行っている。

SunRoofは、Redloggerのソフトウェアを自社のデジタルプラットフォームのハブとする考えだ。このソフトウェアに家庭の電力データを集約し、スマートホームソリューションに統合するとしている。このシステムが開発されれば、ユーザーは、電気自動車や蓄電池を充電したり、eコマースプラットフォームで余剰電力を販売したりと、そのときどきで最適な電気の活用方法を選択できるようになる。

さらに、2021年5月には、スマートホームシステムのポーランド大手Grentonと技術パートナーシップを結んだ。Grentonは、家電や照明をネットワークでつなげ、室内外の温度などに応じてコントロールできるシステムを有している。これによって、家全体のエネルギー利用を大きく効率化できると期待されている。

このように、SunRoofは他社の買収やパートナーシップによってサービスの拡大を図っている。Teslaのようにシステムを自社開発するクローズドなスタイルとは対角に位置する。

特に、Redloggerに関しては、Teslaの電力取引プラットフォームであるAutobidderに匹敵するとライバル意識をむき出しにしている。

家庭用リソースによるVPP構築に期待

SunRoofが最終的に目指しているのは、家庭の太陽光発電システムなどを活用したVPPだ。実際、今年4月のラウンドでも、欧州最大規模のVPPを構築するという野心が450万ユーロの獲得につながった。

日本でも、スマートリモコンを切り口に家庭向けの電力小売を始めたスタートアップNatureらが活躍をみせているが、家庭を巻き込んだVPPへの道のりはなかなか長い印象だ。電気給湯機や蓄電池、電気自動車などを駆使した柔軟なVPPの実現を待ち望んでいる。


SUNROOFウェブサイトより

山下幸恵
山下幸恵

九州大学文学部卒。九州電力グループ会社にて大型変圧器・住宅電化機器の販売に従事。新電力ベンチャーにおいて、ディマンドリスポンスやエネルギーソリューションの提案を行う。自治体および大手商社と地域新電力の立ち上げを主管。福岡市にて、気候変動や地球温暖化、省エネについての市民向けセミナーを実施。2019年よりエネルギーライターとして活躍中。

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