脱炭素時代に取り残されない為に知っておくべき3つのこと 脱炭素・デジタル化社会で生き残るためのイノベーション戦略(2) | EnergyShift

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脱炭素時代に取り残されない為に知っておくべき3つのこと 脱炭素・デジタル化社会で生き残るためのイノベーション戦略(2)

脱炭素時代に取り残されない為に知っておくべき3つのこと 脱炭素・デジタル化社会で生き残るためのイノベーション戦略(2)

2022年01月18日

前回は、気候変動やデジタル化などによって社会が大きく変化する中、いかに未来予測とシナリオプランニングを進めていくかについて解説した。社会が大きな転換点にさしかかる中、企業にとって未来予測はこれまで以上に重要なものとなっている。今回は、現在の社会の転換期の本質とはなにか、そして企業にはどのような対応が求められるのかについて、立命館大学経営管理研究科(MBA)客員教授でエムケー・アンド・アソシエイツ代表の河瀬誠氏が解説する。

現在の変化:「工業社会」から「知識社会」へ

およそ4,000年前、農業革命が起こり、ここから世界は「農業社会」に入りました。

そして、およそ200年前には産業革命が起こり、世界は「工業社会」に移りました。

まずは第一次の産業革命では、石炭というエネルギーが利用可能となり、蒸気機関が発明され、工場の動力エネルギーとして利用され、鉄鋼や鉄道といった産業が登場します。

工業社会はさらに進み、100年前の第2次産業革命では、石油が主役のエネルギーとして登場しました。そして、電気が工場を動かし始め、自動車という巨大産業が登場しました。さらに50年前には第3次産業革命が起こり、テレビや半導体といったエレクトロニクス産業が台頭しました。この産業革命に応じて、通信手段も、手紙と電信から、電話や無線、さらには映像放送へと進化してきました。

この工業社会において、価値あるものは工業製品でした。この時代の競争力の源泉とは、モノづくりに関する技術力、巨大な工場、豊富な労働力、そして工場建設などの資金を提供する財力でした。

現在は、工業社会から「知識社会」への移行が進んでいます鍵となるのがデジタル(情報通信技術)の飛躍的進化と、新しいエネルギーです。

農業革命、産業革命は、ともに情報通信技術とエネルギーの変化が、産業の変化を後押ししたのです。今回の「知識社会」への移行も同じことがおこります。

今回の知識社会の移行でも、デジタル化に伴う産業の転換(デジタル・トランスフォーメーション)と自然エネルギーの発展が、その鍵になります。

知識社会においては、工業社会での成功体験はもう通用しません。新たな仕組みへの転換が必要になっています。

ムーアの法則で転換が進む「知識社会」

デジタルへの転換(デジタル・トランスフォーメーション)は、予想外に早く訪れるはずです。

なぜなら、デジタル化のベースとなるのが情報通信技術の進歩であり、その進歩はムーアの法則が支配しているからです。18ヶ月ごとに集積回路のトランジスタの数が2倍になっていく、というムーアの法則は、半導体産業の登場以後ずっと続いています。

このスピードをわかりやすく言うと、5年で10倍の性能進化です。そして、10年経つと20倍ではなくて、10*10の100倍、15年経つと10*10*10で1,000倍の勢いで、技術が進化していくのです。

デジタル化はこうした指数関数的なスピードで進んでいきます。デジタル・トランスフォーメーションが起きたメディアや小売りの業界では、ビジネスの仕組みがデジタルで動きはじめ、ネットフリックスやアマゾンといった会社が業界トップになっています。

グリーン化(GX)も同じようなスピードで変化していくでしょう。太陽光発電パネルも、専門家の予測を超える、大変な速さで安価になってきています。こうした変化が、エネルギー産業を大きく転換していくのです。

携帯電話の市場予測

太陽光パネルの市場予測

デジタル化とグリーン化で共通していることは、いずれも「破壊的技術」がドライブしているということです。そのことによって、産業構造が大きく変化し、適応できなければ大企業であっても生き残ることができなくなっているということです。

「破壊的技術」とはどのようなものか

破壊的技術とは、例えば、フィルムカメラに対するデジタルカメラが相当します。デジタルカメラが最初に登場したときは、オモチャのようなものでした。巨大な機械の割に解像度は非常に低く、フィルムカメラの敵ではありませんでした。しかし、デジタルカメラは圧倒的なスピードで進化し、フィルムカメラはこれに追いつくことはできませんでした。

高い利益率を誇り、盤石に見えた写真フィルムという事業も、デジタルの流れに対応することはできず、現在ではほぼ消滅してしまいました。フィルムのような従来の技術をベースにして事業を継続しようとする限り、まじめに従来技術を開発すればするほど転換できなくなり、かえって滅亡の時期を早めてしまいます。

エネルギー産業でこれから起きることも、「グリーン・テクノロジー」という破壊的技術による既存産業の破壊です。

例えば、太陽光発電が登場したころ、オモチャのような存在で、信号機や夜間照明にしか使いみちのないものでした。

しかし、太陽光発電の技術は、みるみるうちに進化し、現在そして将来には主力電源として地位を確立することでしょう。破壊的技術である太陽光パネルが急激に安価になることで、電力システム、そして電力産業に大きな変化が起こるのです。

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河瀬誠
河瀬誠

■立命館大学・経営管理研究科(MBA) 客員教授(国際経営担当) ■有限会社 エムケー・アンド・アソシエイツ 代表 ・ビジネス・ブレークスルー大学 客員教授(国際経営戦略担当) ・東京大学工学部計数工学科(数理工学専攻)卒業 ・ボストン大学経営大学院 理学修士(MS・情報システム)および経営学修士(MBA)修了 ・王子製紙(株)にて 、製造プラントの設計・建設、また生産管理システムの構築を担当 ・A.T.カーニーにて、主に通信と金融業に対して、新規事業戦略策定などを担当 ・ソフトバンクにて、放送事業持株会社の企画部長として、新規事業・買収などを担当 ・コンサルティング会社 ICMG にて、経営人材の育成・新規事業創造などを担当 ■著書の一部 『新事業開発スタートブック』『海外戦略ワークブック』『経営戦略ワークブック』『新企业经营战略(新企業経営戦略)』『戦略思考コンプリートブック』『전략사고 컴플리트 북(戦略思考コンプリートブック)』『戦略思考のすすめ』『まんがでやさしくわかる問題解決』 内「戦略思考コンプリートブック」は、アマゾンの「永遠のビジネス書ベスト100」に選ばれました ■現在の主な仕事 ・主な顧客は、総合商社、エネルギー企業、情報通信企業、金融機関、製造業などで、日本を代表する企業 ・経営幹部を対象とした中期経営計画の策定・実現の支援、デジタル・トランフォーメーションの支援、新規事業の創出支援、グローバル・マーケティングの実践支援等のプロジェクトを実施 ・技術トレンドに基づく、産業の社会の「未来予測」を提供 ・日経ビジネススクールにて、最も多く受講者を集める「技術予測」「新規事業」「経営戦略」の講座を持つ ■個人的には「技術オタク」です、また世界70ヶ国以上を訪問しました

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