グローバル気候ストライキ ニューヨークの現場から | EnergyShift

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グローバル気候ストライキ ニューヨークの現場から

グローバル気候ストライキ ニューヨークの現場から

2019/09/26

ニューヨーク市マンハッタン区では、2キロほどの通りを25万人(主催者発表)が埋め尽くした。市教育局がデモを理由とする学校の欠席を認めたことも手伝い、大勢の子どもたちが参加。思い思いのメッセージを記したプラカードを掲げ、「今こそ変える時だ」と叫びながら練り歩いた。

ビル・デブラシオ市長も「これぞ民主主義の姿」とツイッターで感嘆する投稿をしたほか、「FridaysForFuture」を始めた当事者のグレタ・トゥーンベリさんもデモに加わり、一丸となって温暖化対策の取り組み強化を訴えた。

10:30 セント・ポール教会のフロアはすぐに満杯

参加者が事前に集う場所の1つとなった教会では、朝10時すぎから徐々に人々が集まり出し、フロアは100人を超えすぐに満杯になった。

プラカードを作るための台紙や絵の具が用意され、子どもたちが「SAVE OUR EARTH」や「MAKE EARTH COOL AGAIN」といった言葉と共に、連想させる絵をカラフルに描いた。学校を休んでデモに参加する子どもに賛同する保護者らも、一緒になって地球の未来について考えた。

集合場所はこちら

めいめいがプラカードを作る

11:30~12:00 市庁舎前周辺で、待ちきれないコール

デモの出発地点となるローワーマンハッタンのフォーリー広場へ向かう道すがら、待ちきれぬように「Hey Hey! Ho Ho! Climate Change has got to go!」と体を弾ませながらシュプレヒコールを上げる生徒らも多かった。広場の手前数百メートルというのに、既にデモの様相を呈し、相当な熱気を漂わせていた。

広場へ向かう

子どももアピール

12:30 フォーリー広場「We are unstoppable, a better world is possible.」

出発地点近辺は、身動きが取りづらいほど大勢の人でごった返していた。進行役が「準備はいいか」などと盛り立て、子どもたちは「We are unstoppable, a better world is possible.」と繰り返し叫び、開始を今か今かと待ち構えた。スタート地点では「WE STRIKE」などと書かれた横断幕を20人ほどが手に取り、出発の合図と共に歩き出すと、一段と大きな歓声が沸き起こった。

MAKE EARTH COOL AGAIN

開始を待つ人々

13:30~14:30 ホワイトホール・ストリート周辺 グレタとともに

集会の会場となる直前の通り。この日のニューヨークは例年より暑い26℃と夏日になり、強い日差しが照りつけ続けた。しかしデモ参加者の勢いは衰えることなく、むしろ会場が近づくにつれて熱を帯びていった。グレタさんも加わったデモは大団円を迎える。

デモは続く

通りを埋め尽くす人々

グレタさんのインスタグラムより

14:30 バッテリー・パーク「紙を使うのはもったいないから手に書こう」

続々と会場にデモ参加者が到着、ゲストらがスピーチをするステージへと移動する。パーク入り口付近では、子どもたちが「GREENREVOLUTION IS THE SOLUTION」などのプラカードを掲げ、「紙を使うのはもったいないから」と手にメッセージを書いていた若者の姿も。

彼の右手には「IT’S UP」、左手に「TO US」(私たち次第だ)。他にも、全身を青や赤に統一した格好の参加者が音楽に合わせて踊るなど、ユニークな演出、表現が目立った。公園の外にまであふれ返るほど、多くの参加者で賑わった。

15:00~17:00 「私たちは変革の波だ」

この時間、ステージ上では代わる代わる高校生やアーティストらが全米各地や世界中で起きている自然災害、気候変動を紹介した。「アマゾンは燃えている!」などと言って深刻な森林火災に警鐘を鳴らしたり、石油メジャーの具体名を挙げて対応の不備を指摘したりするたび、会場は沸き立った。

最後にグレタさんが登場するとその熱は最高潮に達した。

グレタさんのtwitter投稿より

「私たちには安全な未来を生きる権利があります。私たちは安全な未来を望んでいます」。

グレタさんはそうスピーチで力を込め、みな固唾をのんで聞き入った。会場を埋め尽くす児童や生徒、そして大人に向かって「私たちは単に、学校を休んでいる若者でも、働いていない大人でもない。私たちは変革の波だ(We are waves of change)」と鼓舞した。

メッセージは会場外、気候変動問題の責任者や世界の主導者にも向けられた。

「もしあなたが私たちを脅威と感じる少数グループの人だとしたら、とっても悪いお知らせがあります」と前置きすると、ひと際大きな歓声が上がった。それが静まるのを待つこと約6秒の後、グレタさんは言った。

「これは始まりに過ぎません」

参加者の声:「Our world burning up!」

リサ・デービス・シガールさん

Ms. Lissa Davis-Sigall
中学1年生、ニューヨーク市在住(写真右)

(友達のMs. Scarlett KennedyとMs. Lucy Imhoffと初めて気候変動のデモに参加した。ブルックリン区の公立校に通っている)

「私たちの」番です。死に瀕している人たちを救うため、私たちの出番です。立ち上がる時です。

(「今」行動が必要だとメッセージを送っていますね。死に瀕している人たちとは?) 海面上昇による水没とかで、危機的な状況にある人たちはこの瞬間もきっと何千、何万といる。温暖化を食い止めないといけない。

(まず何ができますか?)
電気をできるだけ使わないようにしています。明かりをよくこまめに消すとかね。

(ScarlettもLucyも同調して「プラスチック製品をできるだけ使わないようにする」といった心掛けを常に忘れない。リサは最後にこう強調した)
もう誰も立ち止まったままでいるべきでない。立ち上がることが必要です。

参加者の声:「LET US NOW PAUSE FOR A MOMENT OF SCIENCE!」

アビゲイル・サックスさん

Ms. Abigail Saks
高校2年、ニュージャージー州在住

(隣の州から母親と共に訪れた。気候変動のデモに参加するのは初めてという)
ママは私のことをよく理解してくれて、サポートしてくれています。ニュージャージーの学校に通っていますが、周りには気候変動、地球温暖化の問題に関心の高い人は残念ながらあまりいません。でも声を上げるべきだって思って、1人でも参加しました。

(参加しようと思ったきっかけは?)
思い立ったのは、これ(ボード)を見てください。シロクマです。

(氷が解けて困っている。怒っている?)
分かりやすくキャッチーでしょ。大事なのは外に目を向けること。内向きになってはダメだと思います。初めての参加ですが、今日をきっかけにもっと積極的に取り組みたいです。まずは今回のデモ行進がどんなだったか、学校の人にしっかり伝えたい。今何が起きているのか。幸いなことには、ニュージャージーに住んでいて普段、地球温暖化で困ったと感じることは少ないです。でも外に目を向ければ、確実に危機はあります。何が起きているか、知っていることをSNSで伝えたり、学校の授業でディスカッションしたりしていきたい。

参加者の声:今どき、気候変動に関心がない人なんている?

エリン・マッケローンさん

Ms. Erin McElhone
大学2年生、テキサス州在住

(黒のサインペンを片手に「何か伝えたい人ー?書いていいですよー」と声を上げていた。腕や足、おなかまで体中にびっしりと他人のメッセージが書き込まれている。どうしてこの方法を思い付いたのか?)
だって、メッセージボードだと紙を使うでしょ?このやり方なら紙のゴミは出ないから。

(なるほど。気候変動問題に関心を持ち始めたきっかけは?)
今どき、気候変動に関心がない人なんている?みんな関心を持っているわ。いつ伝えるか、どうやって伝えるかが大事なんだと思う。動かないといけない時は今。

参加者の声:「There is NO Planet B.」

ハルキ・シュラー君

Mr. Haruki Schror
小学6年生、ニューヨーク市在住

(母親が日本人というハルキ君、初めて気候変動のデモに、父親のウィリアムさんと共に参加した。プラカードは「惑星B(地球の代わりの星)は無い」の言葉を記した) 今朝、この場所に来てメッセージボードを作りました。今日は学校を休んで来ました。家族も理解してくれています。「Don’t be a Fossil Fool!」のメッセージも書きました。

(気候変動について、何が一番の問題だと思いますか?)
化石燃料の使用です。減らしていかないといけない。

(問題解決のためにしていることは何ですか?)
(離島の)ガバナーズアイランドにある農場で堆肥作りのボランティアをしていました。これからも取り組んでいこうと思います。

参加者の声:「STOP BURNING OUR FUTURE!」

ウィラ・ビーバードーフさん

Ms. Willa Bieberdorf
小学2年生、ニューヨーク市在住

(初めての参加。母親や友達と一緒に来た。ボードのメッセージはよく伝わる内容ですね。どんな思いを込めましたか?)
地球を救いたい。助けたいんです。

(関心を持ったきっかけは?)
動物が困っているのを見たりして悲しい。

(どんなことを心掛けていますか?)
ゴミは少ない方がいいと思う。プラスチックゴミもよくない。ごみを出さないように心掛けることです。

(横で見守っていた母親もうなずき、優しくほほ笑んでいた)

参加者の声:「I DON’T WANT MY CITY TO SINK」

エミリー・リチャーズさん

Ms. Emily Richards
高校2年生、ニューヨーク市在住(写真右)

(同級生のMs. Gabriella Cuellarと大学1年のMs. Paloma Cruz-Hernandezと参加)

化石燃料の消費削減に関心があります。絶対に減らすべきです。

(どんなことができますか?)
身近なところでは、プラスチック製品をできるだけ使わないようにするとかですね。政府や企業にもっと訴え掛けることが大事だと思っています。きっと私たちの声は届くはず。

(ボードの絵、今朝作ったのですか?)
家で作って持って来ました。

(都市が水没していますね。これはどこ?ニューヨーク?)
ニューヨークです。地球温暖化は決して他人ごとではありませんから。

取材を終えて

ニューヨークで今年6月にあった15万人参加の大規模なLGBTのパレードは強烈な印象だったが、今回のデモはそれとはまた異質の、すさまじい熱気と鬼気迫るものを感じた。将来のために今何をすべきか、真剣に考える子どもたちから大人への「圧」だったと思う。

筆者がグレタさんぐらいの年頃だった20年前と比べ、地球温暖化をめぐる諸課題はどんな進展があっただろうかと考えさせられた。1997年に京都議定書が採択されたものの、アメリカの離脱などにより所期の効果が発揮できなかった。今、時代は繰り返すかのように、国際的枠組みのパリ協定からアメリカが離脱した。

しかし京都議定書を離脱した当時とは明らかに違う流れが来ている。この脱炭素の流れはもう止まらない。今回のデモでは化石燃料の使用を劇的に減らそう、さらにはゼロにしようとの主張を随所で耳にした。

ただ単に削減というのではなく、「急がないといけない」という焦りにも似た訴えが多数聞かれた。相次ぐ異常気象を連日のように目にすれば、そうした危機感はもっともなことだ。
「地球を助けたいの」。そう言ったWillaさんの言葉が耳に残る。筆者にもWillaさんより1学年下の娘がいる。「圧」に対し、子どもたちの素朴な疑問に対し、大人は十分に応じられていないだろう。まずは子どもの声に、問いに、要望にもっと耳を澄ますようにしたい、そうあらためて思った。

南龍太
南龍太

政府系エネルギー機関から経済産業省資源エネルギー庁出向を経て、共同通信社記者として盛岡支局勤務、大阪支社と本社経済部で主にエネルギー分野を担当。現在ニューヨークで執筆活動を続ける。著書に『エネルギー業界大研究』、『電子部品業界大研究』(いずれも産学社)など。東京外国語大学ペルシア語専攻卒。新潟県出身。

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