世界の脱炭素。今でこそ、誰もがそうなっていくことを疑わないが、ほんの少し前まではそうでもなかった。では、その転換点はどこだったのか。ゲームチェンジャーだったと、個人的に考えるのは、2020年9月に中国が2060年カーボンニュートラル宣言を行ったことだ。このことを皮切りにして、日本もカーボンニュートラルを宣言。アメリカもパリ協定に戻って来て、そこにESG文脈などの金融セクターやGAFAなど産業界の動きも連動して、現在の大きな流れになった。
こう聞くと、中国の脱炭素への貢献度は非常に大きいように聞こえる。だが、ここで重要になってくるのが、今この瞬間において、中国は本当に脱炭素をやる気があるのか?ということだ。今や、世界第二位の経済大国となった中国の、脱炭素に向けた本音とその奥にある動機について、ゆーだいこと前田雄大が解説する。
中国の脱炭素に向ける姿勢には4つの論点が
まずはじめに、なぜ中国の脱炭素への姿勢に疑問を持ったのか、というところから解説していこう。
その前提として大事なのは、中国の脱炭素に対する時間軸だ。というのも、中国の脱炭素に対する姿勢は長期ではカーボンニュートラル、しかし短期・中期的にはCO2を排出したい。一見、二枚舌のようにも思えるが、どちらも彼らの本音だ。特に、COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)を経たことで、最近はその本音がわかりやすくなった。
ということで、中国の脱炭素に向ける姿勢について、次の4つの論点を解説したい。
- COP26で明らかになった中国の本音
- 中国のエネルギー事情
- なぜ中国が再エネに取り組むことにしたのか
- 長期で脱炭素を選択する理由
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前田雄大
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2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。
こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。
プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。