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地方自治体で「脱炭素」していくための近道 本当にやるべきこととは

地方自治体で「脱炭素」していくための近道 本当にやるべきこととは

2021年12月24日

地域エネルギー事業を展開するにあたって、地方自治体との連携は不可欠だ。一方、地球温暖化対策として、地方自治体は実行計画を策定することが義務となっているが、中小規模の自治体にとって、策定は簡単ではない。そのため、今後は国からの支援などが検討されている。とはいえ、適切な地域エネルギー事業は自治体の実行計画ともつながりやすい点は重要だ。こうした状況にあって、あらためて地元のエネルギー事業者は何を考えていくべきなのか、エネルギー事業コンサルタントの角田憲司氏が解説する。

これからの地域エネルギー事業のヒント17

温対法改正に込められた自治体への期待

本稿は地域の事業者として地域エネルギー事業を考察するものである。とはいえ、その一方で、政府は国を挙げてのカーボンニュートラルの実現に向けて地方自治体を主軸にして地域の脱炭素を図る一連の政策を進めている。したがって、地域エネルギー事業者にとって、こうした政策をしっかり理解することは、今後は欠かせない要件である。この理解の下、自治体が進める地球温暖化対策がどのように変わっていくかを見てみる。

地球温暖化対策推進法(温対法)が改正され(2021年5月成立、2022年4月施行)、地方自治体が進める地球温暖化対策に相当する「地方公共団体実行計画」にも、地域の脱炭素を促進するためのいくつかの施策が追加された。

地球温暖化対策に関して、地方自治体は「地方公共団体実行計画」を策定する義務を有している。1つ目は「事務事業編」と呼ばれる「公共施設など自治体自らの事務・事業からの温室効果ガス排出削減に関する計画」である。これについては全ての都道府県と市町村に「策定義務」が課されている。2つ目は「区域施策編」と呼ばれる「住民や事業者を含めた区域全体の再エネ導入、省エネ推進等の施策に関する計画」であり、こちらは都道府県・政令指定都市・中核市・特例市だけに「策定義務」が課されている

このような状況の中、温対法改正により自治体向けに以下のような事項が追加された。

  1. 政令市・中核市等以外の市町村について、地方公共団体実行計画(区域施策編)の策定を努力義務とする。
  2. 地方公共団体実行計画(区域施策編)においては、施策の実施に関する4カテゴリの目標を記載する。
    ① 再エネの利用促進(再エネ導入容量kW等を再エネ種別ごとに設定等)
    ② 事業者・住民の削減活動促進
    ③ 地域環境の整備
    ④ 循環型社会の形成
  3. 都道府県及び市町村は、域内における「再エネ」の利用促進施策について目標設定をする(都道府県、政令市・中核市等は策定義務、それ以外の市町村は努力義務)。
  4. 市町村は、地域の脱炭素化を促進する施策の一つとして、再エネを活用した事業(地域脱炭素化促進事業)の対象となる促進区域を定めるよう努める。
  5. 市町村は、促進区域内において、自ら地方公共団体実行計画に定めた地域の環境の保全のための取組、地域の経済及び社会の持続的発展に資する取組を要件として、地域脱炭素化促進事業を認定することができる。

要するに、「これからはどんな自治体も区域全体の温暖化対策を立てるようにしなさい」「温暖化対策の中心は再エネの導入であり、自治体のリードにより促進地域を設けるなどして、再エネを活用した『地域脱炭素化促進事業』を推進しなさい」ということを示唆している内容である。

また、これに加えて「地域脱炭素ロードマップ」の推進も求められているわけであり、「カーボンニュートラルの実現の主役は地方自治体である」、と言わんばかりである。

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角田憲司
角田憲司

エネルギー事業コンサルタント・中小企業診断士 1978年東京ガスに入社し、家庭用営業・マーケティング部門、熱量変更部門、卸営業部門等に従事。2011年千葉ガス社長、2016年日本ガス協会地方支援担当理事を経て、2020年4月よりフリーとなり、都市ガス・LPガス業界に向けた各種情報の発信やセミナー講師、個社コンサルティング等を行っている。愛知県出身。

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