地域エネルギー事業を展開するにあたって、地方自治体との連携は不可欠だ。一方、地球温暖化対策として、地方自治体は実行計画を策定することが義務となっているが、中小規模の自治体にとって、策定は簡単ではない。そのため、今後は国からの支援などが検討されている。とはいえ、適切な地域エネルギー事業は自治体の実行計画ともつながりやすい点は重要だ。こうした状況にあって、あらためて地元のエネルギー事業者は何を考えていくべきなのか、エネルギー事業コンサルタントの角田憲司氏が解説する。
これからの地域エネルギー事業のヒント17
本稿は地域の事業者として地域エネルギー事業を考察するものである。とはいえ、その一方で、政府は国を挙げてのカーボンニュートラルの実現に向けて地方自治体を主軸にして地域の脱炭素を図る一連の政策を進めている。したがって、地域エネルギー事業者にとって、こうした政策をしっかり理解することは、今後は欠かせない要件である。この理解の下、自治体が進める地球温暖化対策がどのように変わっていくかを見てみる。
地球温暖化対策推進法(温対法)が改正され(2021年5月成立、2022年4月施行)、地方自治体が進める地球温暖化対策に相当する「地方公共団体実行計画」にも、地域の脱炭素を促進するためのいくつかの施策が追加された。
地球温暖化対策に関して、地方自治体は「地方公共団体実行計画」を策定する義務を有している。1つ目は「事務事業編」と呼ばれる「公共施設など自治体自らの事務・事業からの温室効果ガス排出削減に関する計画」である。これについては全ての都道府県と市町村に「策定義務」が課されている。2つ目は「区域施策編」と呼ばれる「住民や事業者を含めた区域全体の再エネ導入、省エネ推進等の施策に関する計画」であり、こちらは都道府県・政令指定都市・中核市・特例市だけに「策定義務」が課されている。
このような状況の中、温対法改正により自治体向けに以下のような事項が追加された。
要するに、「これからはどんな自治体も区域全体の温暖化対策を立てるようにしなさい」「温暖化対策の中心は再エネの導入であり、自治体のリードにより促進地域を設けるなどして、再エネを活用した『地域脱炭素化促進事業』を推進しなさい」ということを示唆している内容である。
また、これに加えて「地域脱炭素ロードマップ」の推進も求められているわけであり、「カーボンニュートラルの実現の主役は地方自治体である」、と言わんばかりである。
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