COP26やガソリン車の将来的な販売停止、炭素税など、2021年は脱炭素にまつわる多くの話題が生まれた年だった。その中でも特徴的だったといえるのが、世界的な電力危機だ。欧州や中国など世界各国で電力不足が生じ、特に中国に関しては、石炭火力発電がその電力危機に大きく関係していることを以前にも解説した。しかしそんな電力危機は、実は日本にとっても他人事ではない。世界で起こった電力危機が、どういう形で日本を襲おうとしているのか、そして厳冬が予測される今冬にどんな影響をもたらそうとしているのか、ゆーだいこと前田雄大が解説する。
実は、日本における電力危機は、昨年も生じており、その影響から多くの新電力が倒産の危機に陥ったり、実際に民事再生になったりした。そうした経緯もあったため、今年の冬も電力不足は懸念されており、政府も巻き込みながらあらかじめ対策を進めていたのだ。
にもかかわらず、なんと11月上旬から中国・九州・北陸・四国電力の大手4社でLNG(液化天然ガス)が在庫切れ寸前となり、燃料制約からLNG火力の出力を大幅に低下させていたことが、このほど判明した。この点について、経済産業省が燃料在庫の監視強化などの対策を急いでいるが、そのことは一旦、横に置いておこう。
それよりも問題なのは、専門家から「燃料制約がこんなにも簡単に起こるなんて衝撃的だ」という意見が出るなど、再び電力がひっ迫するのではないかという不安が広がっている状況だ。加えて、今年の冬はラニーニャ現象の影響で寒いのではないかという報道も出ている。暖房需要の高まりと燃料制約が合わさり、場合によっては本当に電力不足が生じるという状況になりかねない。
ということで、今回は忍び寄る日本の電力不足について、次の3つの論点を解説したい。
大手10電力中4社で燃料制約が発生しているという事態の異常性について・・・次ページへ
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