政府は5月24日、首相官邸で気候変動対策を協議する有識者会議を開催し、2030年の温室効果ガス46%削減目標の実現に向けた取り組みなどについて議論した。
菅義偉首相は「徹底した省エネや再エネなどの最大限の導入、公共部門や地域の脱炭素化など、あらゆる分野で、でき得る限りの取り組みを進め、(2030年の温室効果ガス削減量)50%削減の高みにも挑戦する」と述べた。
菅首相は4月、2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減する新たな目標を表明。この目標を踏まえ、経済産業省では今夏に改定するエネルギー基本計画の見直しを急ピッチで進めており、6月中旬に開催されるG7までに、2030年度の再生可能エネルギーなど電源別の構成比率を決定する模様だ。
ただし、経産省は原子力発電の比率は従来計画通り20〜22%を堅持したい構え。そのため、火力発電比率を下げ、再エネをどこまで導入できるかが焦点となっている。
一方、小泉進次郎環境相は脱炭素社会の実現に向け、「住宅への太陽光設置義務化」などの施策を導入したい方針だが、「霞ヶ関に設置してから、民間にお願いするのが筋ではないか」といった反対意見があり、見送られる可能性が出ている。
こうしたなか、菅首相は「公共部門などの脱炭素化」の強化を掲げ、霞ヶ関が牽引役となることで、民間部門へ波及させ、46%削減を実現させたい考えだ。
有識者会議に出席した委員からは、再エネ普及拡大のための規制見直しや、原発の新増設や建て替えの必要性を指摘する意見などが出たという。
(Text:藤村朋弘)
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