なぜ、電気料金の値上げが続くのか。
日本は、天然ガスを液化しLNGとして海外から調達し、火力発電所の燃料などに使っている。LNG火力は発電全体に占める比率が37%(2019年度)ともっとも高い電源となっており、このLNGが世界的に高騰を続けているというから、その煽りを受け、電気料金の値上げにつながっていると思うだろう。しかし、実態は違う。
大手電力会社が調達するLNGのうち、「7〜8割が長期契約」(JOGMEC:石油天然ガス・金属鉱物資源機構)だ。この長期契約の金額は、原油価格と連動しており、3ヶ月分の原油価格をベースに決まる仕組みとなっている。一方、すぐに取引するスポット価格でのLNG調達は2割程度で、2019年度においては短期取引と合わせても12.6%と減少傾向にある。
欧州における天然ガス調達は7〜8割がスポット価格で構成されており、いかに日本の長期契約の比率が高いかわかるだろう。
今、世界中で高騰しているのはLNGのスポット価格であり、アジアのLNGスポット価格(JKM)は2021年に過去最高値を2度も更新。10月5日には100万BTU(英国熱量単位)あたり56.32ドルをつけ、前年同期比で10倍以上もの値上がりとなった。
7〜8割をスポット価格から調達する欧州ではスポット価格の高騰影響をもろに受け、電力・ガス料金の値上げが止まらないという構図になっている。
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