フランス発祥のファッションブランド、モンクレールは2020年11月14日、世界的なESG指標であるダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)のアパレル&ラグジュアリーグッズ部門において、2年連続でDJSIワールドおよびDJSIヨーロッパで業界リーダーに選定されたと発表した。
持続可能性は、企業発展の戦略的な資産である
今回モンクレールが選定されたダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)とは、世界の大手企業3,500社以上を対象に、経済、環境、社会の3分野において、ガバナンス、リスク管理、気候変動、ステークホルダー対応などを総合的に分析し、サステナビリティ(持続可能性)に優れた企業を選定するものだ。
世界の代表的なESG投資指標として、企業の社会的責任や持続可能性を重視する投資家にとって重要な指標のひとつとなっている。
フランス発祥のファッションブランド、モンクレールは2020年11月14日、DJSIのアパレル&ラグジュアリーグッズ部門において、2年連続でDJSIワールドおよびDJSIヨーロッパで業界リーダーに選定されたと発表した。
モンクレールのRemo Ruffini会長兼最高経営責任者(CEO)は、「DJSIに2年連続で業界リーダーとして認められたことは、サステナビリティが私たちの企業の発展においてますます戦略的な資産であるということを証明しています。ステークホルダーへのコミットメントであり、子ども達やすべての人々の未来に対する道徳的義務でもあります。モンクレールでは、人々や環境を反映して、尊重し、守ることのできるビジネスモデルの推進に向けて日々、最善を尽くしています。次世代に確かなビジョンや新しいインスピレーション、そして希望を届けていきたい」とコメントしている。
2017年のキャンペーンは地球温暖化がテーマ2023年までに世界中で100%再エネ転換を
モンクレールは2020年10月には、2025年をターゲットにしたサステナビリティへの取り組みを強化するための計画、「Moncler Born to Protect」を発表している。
このビジネスモデルは、気候変動対策、サーキュラーエコノミー、公正な資源調達、多様性の強化、そして地域社会への還元という5つの柱から構成されている。
すでに2017~2019年の3年間において、CO2直接排出量(スコープ1、2)の30%を削減しており、イタリア全体およびルーマニアの自社生産拠点で使用する電気を100%再エネに転換するなど、持続可能性に向けた取り組みを実施してきたが、Moncler Born to Protectにもとづき、2023年までに世界中で再エネ100%転換などの実現を目指す。
Moncler Born to Protectにおける5つの柱を通じたコミットメントは次の通り。
- 2021年までに世界中の自社所有地で100%カーボンニュートラル化を実現
- 2023年までに世界中で100%再エネ化を実現
- 2021年1月よりDIST(ダウンインテグリティシステムとトレーサビリティ)認定のダウンリサイクルを実施
- 2023年までにナイロンスクラップの80%以上をリサイクル
- 2025年までに50%のサステナブルナイロンを使用
- 2023年までに使い捨てプラスチックをゼロにする
- 2023年までに主要原材料の100%を追跡可能に
- 2025年までに戦略的サプライヤーの80%以上が、モンクレールの設定する社会的コンプライアンス基準の最高グレードを達成する
- 2021年1月までにダイバーシティ&インクルージョン協議会を設立し、社内外の文化的変化を後押し
- 2022年までに3年間の文化意識向上計画に全従業員が参加
- 2023年までに部門間の枠を超え、異文化ワーキンググループにもとづいた新組織モデルを実施
- 2023年までに最も支援を必要とする10万人の人々を寒さから守る
- 社会的価値の高いプロジェクトを2年毎に実施
- 2022年までに全従業員がボランティアに参加
近年、ファッション業界においても、多くのブランドが持続可能な社会の実現に向け、さまざまなアクションを実施している。気候変動対策などの取り組みは、業界の垣根を超えてさらに広がるだろう。
(Text:藤村朋弘・紺野真冬芽)
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