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実は日本が世界の最先端! 注目すべき期待のエネルギー、「人工光合成」研究成果を振り返る

2022年02月02日

人工光合成の実用化における課題

自然界の光合成の過程は複雑かつ緻密なものであり、いまだ解明されていない部分も多い。それゆえ、人工光合成は、現時点では最適な方法が定まっていない。水を分解する生成物や技術は利用する合成反応などによって変わり、アプローチは多岐にわたっている。

コストが高いことも課題だ。高コストの要因になっている触媒や電極などで代替できる材料を模索している。今後は、安価でありながらも高い性能を持っているニッケルで作られた光触媒などが、より費用対効果の高い人工光合成技術として確立していくことが期待されている。

今後の展望

人工光合成から作られる化学原料は、CO2を排出する石油や石炭などの化石燃料と比較し、極めて環境負荷が少ないことが分かっている。植物のようにでんぷんをつくるのはまだ難しいが、人工光合成が実用化され、CO2を人工光合成に活用する方法が普及していけば、地球温暖化問題を大きく解決に近付けることができる。

人工光合成は将来、低コストでグリーン水素がつくれると期待されており、課題のエネルギー変換効率の向上と製造装置の大型化などが実現すれば、天然ガス由来の水素にコストで対抗できるという。

根岸氏の呼びかけにより化学者などによる試行錯誤を経てようやく実現に近づいてきた今、社会に実装するための課題を洗い出し、国家レベルでの戦略が問われている。

 

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東條 英里
東條 英里

2021年8月よりEnergyShift編集部にジョイン。趣味はラジオを聴くこと、美食巡り。早起きは得意な方で朝の運動が日課。エネルギー業界について日々勉強中。

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