グローバル気候ストライキ ベルリンの現場から | EnergyShift

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グローバル気候ストライキ ベルリンの現場から

グローバル気候ストライキ ベルリンの現場から

2019/09/26

2019年9月20日、金曜日。週明けにニューヨークで行われる国連の気候行動サミットを前に、世界中で一斉に「グローバル気候ストライキ」が行われた。

昨年から続く、学生たちの運動FridaysForFutureに繋がる動きだが、ドイツ、ベルリンでは前夜から気候変動への対策が討議されているというタイミングでもあり、具体的なアクションを起こさない政治家に物申す!子どもたちに続け、と科学者、医者、教師、親、アーティストなど、主催者発表によれば27万もの人たちが、ストライキに参加した。
熱く盛り上がる、パワーに溢れたベルリンのストリートの様子を紹介したい。

11:30 ブランデンブルク門へ!

まだ残るベルリンの壁の前で

ブランデンブルク門へと自転車で向かう途中、ベルリンの壁の前を手描きのプラカードを掲げて通る子どもたちに遭遇した。すれ違う人の多くがプラカードを手にしている。近づくにつれ道に人があふれ、自転車では通れなくなってきた。

12:00「来てくれてありがとう!どんどん増えていますよ!」

ブランデンブルク門前に到着。振り向くと、周囲は見渡す限りびっしりと人で埋まっている。親子連れやクラス全員で来たという子どもたちも。

ブランデンブルク門から、6月17日通りを振り返って撮影

舞台に、白衣を着た男性が登壇し、マイクを取った。 「地球はいま高熱で苦しんでいるんです。お母さんが集中治療室にいたら、私たちはパニックに陥るでしょう?それと同じことがいま地球で起こっているんです」。彼は、1万2千人以上の科学者が集まるサイエンティスツ・フォー・フューチャー*の代表を務めるエッカート・フォン・ヒルシュハウゼン博士だ。

「来てくれてありがとう!すでに8万人以上がここに集まっているそうですが、どんどん増えていますよ!」
「孫の代まで続く世界を!」「気候を守るのではない、自分たちを守るのです!」

*サイエンティスツ・フォー・フューチャー 
https://www.scientists4future.org/

ブランデンブルク門に向かって撮影 遠くにエッカート・フォン・ヒルシュハウゼン博士

"Wir sind hier, wir sind laut, weil ihr uns die Zukunft klaut."
「私たちはここにいる、私たちは声を上げている、なぜならあなたたちが未来を盗むから」

ブランデンブルク門から500mほどのドイツ連邦議会議事堂に向かって、FridaysForFutureの定番となったスローガンが叫ばれる。

13:00「おばあちゃん、雪だるまって何?」

ストライキのスタート。ゆっくりと人々が動き始めた。目指すのは、いま、まさにアンゲラ・メルケル首相を始め、連立政権が気候危機への具体的な対抗策を討議している議事堂だ。

子どもたちが掲げているプラカードには「ホッキョクグマのための氷がなくなってしまう」「地球の代わりはない」「おばあちゃん、雪だるまって何?(地球が暑くなって雪が降らなくなっちゃう!)」地球を溶けかけたアイスクリームに見立てた絵、「36度、でももっと暑くなる」や「喋ってないで、行動して」などの言葉が踊る。

地球を溶けかけたアイスクリームに見立てた絵

ホッキョクグマのための氷がなくなってしまう

手作りのプラカードをみんな持っている

「Hopp, Hopp, Hopp! Kohlestopp!(石炭ストップ、ホップ、ホップ、ホップ!)」

「石炭から脱却!再生可能エネルギーへ!」先頭を行く高校生たちと声をかけあう子どもたち。仲良しの友達とその親たちが集まって、今回はみんなで参加しようと、頑張って衣装や手押し車を手作りした。

13:40 か細くて高い声で、子どもたちは叫ぶ

か細くて高い、子どもたちの声が多く耳に届く。年を聞いてみると、10歳、12歳だというのに驚いてしまう。「アマゾンの森林火災を止めて!」「もう時間がない!」と、危機を訴える。

「アマゾンの森林火災を止めて!」

14:00 「地球は、ディカプリオよりホットよ♡」

目抜き通り、ウンター・デン・リンデンに到着。すごい人数だ。学生や子どもだけでなく、大人も多い。老若男女、思い思いに好きな音楽を鳴らし、ゆっくりとしたテンポで歩いていく。「環境を守ろう、石炭を止めよう!」というオレンジの旗は、ドイツのOxfamだ。

Oxfamの旗

「地球は、ディカプリオよりホットよ♡」「地球は僕のガールフレンドよりホットさ」と、ユーモラスなプラカードが並ぶ。地球温暖化は笑いごとではないが、くすっと笑ってしまう。

14:50 「短いフライトは、虫だけにして!」

ドイツ連邦議会議事堂前。白衣を着た若者たちは、医師の団体だ。ベルリンでも最も大きいシャリテ大学病院は、病院を挙げて今回の運動に参加している。「気候を守ることは、健康を守ること」と、前病院長のデットレフ・ガンテンさん。

「42度!気候危機は緊急事態です!」の垂れ幕を持って行進する。「37度を超えたら本当に辛い。私たちは日々、患者と接しているからわかっています」。

子どもたちは「飛行機を使うのを減らそう」「短いフライトは、虫だけにして!」と声を上げる。

「42度!気候危機は緊急事態です!」の垂れ幕

短いフライトは、虫だけにして!

「石炭をストップして、いますぐ! 気候と未来を救って」

15:10 No Future, No Dancefloor

ブランデンブルク門前の舞台では、ベルリン発のレゲエ・ヒップホップバンド「Culcha Candela」のライブ。「気候のために動けるかい!?」、1、2、3歩、とみんなでステップを踏む

みんなでステップ

同じ頃、ここから徒歩10分ほどのポツダム広場では「No Future, No Dancefloor」の準備が始まっていた。重低音のダンスミュージックで「地球よりも環境よりも儲けを優先する、資本主義を吹き飛ばしちゃえ!」と呼びかける。

今日のアクションは終わりではない、始まりなんです!

15:30。「目を覚ますのか、それとも死に絶えるのか?」大きな枯れ木を担ぎ、喪服で登場したエクスティンクション・レベリオン。「今日のアクションは終わりではない、始まりなんです!」と、10月7日にベルリンで行われる気候危機へのアクションのフライヤーを手渡している。当日は、市内各所にバリケードが作られる。

15:50 人の波は途切れない

公式には15時に終了だが、最寄りの駅から連邦議事堂に向かう道はまだ人で溢れていて、一向に減る様子が見えない。今日は金曜日。仕事を少し早めに終えてここに来たという人も多そうだ。まるでお祭りのような華やかなコスチュームと音楽に、観光客たちも足を止めてカメラを向ける。一緒に歩き始める人もいて、どんどん人が増えていく。

「20万人以上が集まっているらしいよ」と聞く。すごい!

16:15。シュプレー川の上の橋では、帰途につく人たちと、学校や仕事を終えてから参加している人たちが交差する。途切れることなく続く人の波。ところどころにマイクを持った若者がいて、FridaysForFutureの呼びかけをする。

「何が欲しいんだ〜?」「クライメート・ジャスティス!(気候の正義だ)!」
「いつ欲しいんだ〜?」「いま!」

27万人にも増えたという、ストライキの参加者たちが口を揃える。人の波はまだ途切れない。

参加者の声:クラスメイト全員、先生も一緒に来ました!

ヨハンナ=マルレネ・スラビー 
Johanna Marlene Slaby(11歳)
ヴァンダ=マリア・シェーンベルガー 
Wanda Maria Schönberger (10歳)
エミリア・モルター 
Emilia Molter (10歳)
リディア=マリー・グローテ 
Lydia Marie Grothe (11歳)
(左から)

ベルリン南東部、ケーペニック地区のギムナジウム(ドイツの中等教育機関)のクラスメイトだという4人。

「FridaysForFutureのことは前から知っていた。でもちょっと場所が遠いので来れなかったの。今回は、校長先生がみんなで行きましょうと言って、先生や親も一緒で、ちょっとした遠足気分なの!」と口々に。

「自分たちの未来のために、気候を守らないといけない」
「このままだと雪が降らなくなって、子どもや孫が、雪だるまを作れなくなっちゃうかも」
「学校では、気候変動ってなんだろう? 石炭を使い続けるとどういう影響が出るかとか、授業で教わっています」

参加者の声:このプラカードは、美術の授業で作りました。

ノエミ・ブールマン 
Noémie Buhlmann (10歳)
コバイ・ブールマン 
Kobai Buhlmann (38歳)

「地球は熱があるの。ケアしてあげて!」というプラカードを抱えた2人は、親子で参加。
「学校で環境保護、って勉強しました。このプラカードは、美術の授業で作りました。FridaysForFutureに来るのは、2度目です」とノエミさん。「地球の温度が高くなりすぎると、みんな生きていられなくなってしまうんだよ!」

「子どもたちが気候変動に興味を持ってアクションを起こすのは、とても良いことだと思うし、応援したい。ノイケルン地区にある学校なのですが、子どもたちはFridaysForFutureにすでに何回か参加していて、先生や親を巻き込んでくれました。今日は学校全体で来たんですよ」とコバイさん。

参加者の声:自然の近くで仕事をしている私たちだからこそ行動を。

マーティン・リヒター 
Martin Richter (63歳・右から二人目)造園家

1986年に創立された造園家団体BASEGは、今日は仕事をせず、このストライキに参加することを決めた。発起人のリヒターさんは、仕事を通じて激しい環境の変化を実感しているという。

「30年以上造園家として働いていますが、ここ2年の暑さと乾燥は本当にひどい。外仕事だから、気温30度を超える日が続くと体力的にも限界で、体を壊しかねません。植物相の変化も見られます。昔からある木が枯れたり、以前はドイツや北ヨーロッパには存在しなかった害虫がどんどん北上してきて被害を受けています。例えば、ドイツでは一昨年、栗の木がやられて大変でした。現場は対応に追われています。

自然の近くで仕事をしている私たちだからこそ行動を起こさなければ、気候変動に対して早く有効に決断を下してもらわなければと、今回のストライキの参加に踏み切りました」

参加者の声:今日は許可が出てやっと来れた!母も一緒に。

アントニア・フォン・デヴィト 
Antonia von Dewit (12歳)

連邦議事堂の前で、「代わりの地球はない!世界を守って!」というプラカードを掲げていたアントニアさん。
5回以上FridaysForFutureに参加している友達に誘われて、やってきたという。

「学校の先生は、私たちの活動に理解を示してくれてはいるんだけれど、毎週金曜日に学校を休むことは好意的に取られていないの。でも今回は大きなアクションだし、許可が出て、参加できました。今日は母も一緒に来てくれたの」。

参加者の声:近所の人や友達がみんな同じ電車で嬉しくなってしまった。

カタリナ・ブレーム 
Dr.Katharina Brehm (30歳)医師

父と夫と、3歳と5ヶ月の2人の子どもと一緒に参加したというカタリナさん。
「ふだんからプラスチック製品やビニール包装の商品は買わないとか、環境保護には気をつけているので、今回のフライヤーを見て家族で参加しようと決めました。子どもたちはまだ小さいから、自主的にストライキに参加できないけれど、この子どもたちのためにもね。

夫も私もいま育児休暇を取っているからわからないけれど、仕事先の病院からも、参加している医師は多いようです。

ここからちょっと離れたシェーネベルク地区から電車に乗ってここにきたのですが、近所の人や友達がみんな同じ電車に乗っていて、嬉しくなってしまったわ!ストライキ全体がとっても平和的で、いい雰囲気ね!」

参加者の声:アマゾンを守ってほしい。いまアクションを!

ソニア・デ・オリビエラ、アマゾニア 
Sonia de Oliveira. Amasonia (43歳)俳優、振付師

ブランデンブルク門の前で、皆を先導して踊っていたソニアさんは、ベルリンのマルチカルチャー・ダンス・イベント「文化のカーニバル」の顔、「アマゾニア」としても活動している。ブラジル出身の彼女は、FridaysForFutureにも何度も参加し、サンバのリズムにのって環境保護を訴えてきた。

「ブラジルの森林破壊もあったし、ブラジルやベネズエラで進む、大伐採がひきおこしている数々の森林火災もある。アマゾンを守ってほしいと、舞台に立って発言しました。世界中で起きている気候変動、いまアクションを起こさないと!」

16:30 私たちは、きちんと目を開けて世界を見ているだろうか?

帰る道すがら、大学生の団体に遭遇する。芸術大学、工科大学、総合大学の自由大学とフンボルト大学。フンボルト大学は、探検家として活躍したアレクサンダー・フォン・フンボルトの兄が創立した学校だ。そこを学び舎とする学生たちは「最も危険な世界観は、世界を見たことがない人たちのものだ」という、アレクサンダー・フォン・フンボルトの言葉を掲げていた。

私たちは、きちんと目を開けて世界を見ているだろうか?
いまを、そして未来のことを考えているだろうか?

道端で声をかけた10歳の女の子が言っていた。「ストライキになんで来るのって?だって、これからめいっぱい生きたいんだもん!

子どもたちから、たくさんのパワーをもらい、いろいろなことを教わった1日だった。

グローバル気候ストライキ ドイツ
https://de.globalclimatestrike.net/

(撮影:Gianni Plescia ジャンニ・プレッシャ)

河内秀子
河内秀子

2000年からベルリン在住。ベルリン芸術大学在学中からライター活動を始める。 雑誌『 Pen』や環境ウェブマガジン『Think the Earth』ドイツ大使館ブログ『Young Germany 』などでもベルリンやドイツの情報を発信。テレビのコーディネートも多数。 環境先進国と言われるドイツだが、実際に住んでみると矛盾も多い。しかしドイツ人には納得がいかなければ、声を上げ続けるパワーがある。自分も、できるだけ自らの目で確かめ、考え続けていきたい。

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