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これからのソーラーシェアリング(第3回):ソーラーシェアリングは再生可能エネルギーの主力電源化を牽引する

ソーラーシェアリングは再生可能エネルギーの主力電源化を牽引する

2020/05/21

FIT(固定価格買取制度)の抜本的見直しが行われる中、FITにたよらない、事業性を持った新たな太陽光発電事業が模索されている。ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)は、そうした事業のスタイルの1つではないだろうか。千葉エコ・エネルギー代表取締役の馬上丈司氏が、ソーラーシェアリングのポストFITにおける優位性を解説する。

リードタイムにおけるソーラーシェアリングの優位性

前回の記事では、今後ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)が企業の選択する再生可能エネルギーの第1候補となってくると述べた。
その理由のひとつは、太陽光発電全体に言えることとして事業化のリードタイムが短く、それが再生可能エネルギーの大量導入時代において優位性を持つと言うことである。

FIT制度下では、事業用太陽光発電の開発から運転開始に要する期間は早くて1年、概ね1年半から2年程度を必要としていた。この期間の半分以上は、系統連系のための接続協議や事業計画認定のために費やされるという、FITの制度設計の不備によるものであったことは、多くの発電事業者が実感するところだと思う。
今後、太陽光発電事業におけるFIT制度からの離脱が進めば、概ね1年から1年半程度での事業化が可能となっていくと予想されるが、この事業化までの期間の短さが再生可能エネルギー大量導入時代の優位性となる。

FIT制度下において、事業化に長期間を要する電源には複数年度の調達価格が設定されてきた。昨今、大規模なプロジェクトの話題が多い洋上風力発電や、以前より長期に亘る事業開発が普及の課題となってきた地熱発電は、立地調査開始~運転開始まで10年かかることも珍しくない。

現在、2030年を目標年次としているSDGsやパリ協定の達成目標、RE100などといった取り組みを進めていくために、再生可能エネルギー電源を大量導入する必要がある中で、事業化に向けた期間の長い再生可能エネルギー電源ではそれを賄うことが難しい。しかし太陽光発電なら、今から新たに取り組もうとした場合でも、比較的短期間にまとまった再生可能エネルギー電源として確保することが可能となる。

それでも適地の問題はあり、国全体として見ればあらゆる建物の屋根上から未利用地に至るまでポテンシャルとして計上できるが、個々の発電事業者が経済合理性のある規模でまとめて確保できるかは別問題だ。ここで、ソーラーシェアリングの特徴が活きてくる。

農地利用の持続可能性と高いポテンシャル

日本の農地は国内に約440万haあり、ピーク時よりも大幅に減少したとは言え今なお国土面積の約12%を占めている。住宅地や工業用地などを含む宅地が5%でしかないことと比較すると、その広大さが感じられるだろう。
ソーラーシェアリングはこの広大な農地を、農業と共生することによって再生可能エネルギーの生産地として活用することができる。何より農地の多くは日照が良く平坦であり、太陽光発電の好適地の条件も持っていることから、他の電源よりも迅速な事業化スピードと広大な適地の存在によって、ソーラーシェアリングは再生可能エネルギー電源確保のニーズに応えていくことができるだろう。

FIT制度に拘束されなければ太陽光発電は1年程度で十分に事業化できる

もうひとつ、広大な土地ポテンシャル以外にも重要な観点として、発電事業の持続可能性にも言及しておきたい。

FIT制度によって太陽光発電の開発が盛んになる中で、各地で地域の環境保全を求める地元との対立事例が増えていった。安価にまとまって手に入る土地と言えば農地や山林であり、その大規模な開発は「環境負荷の高い再生可能エネルギーである太陽光発電」という矛盾した存在を生み出した。特に、広大な山林開発と土地造成を伴うメガソーラー事業は批判を浴び続けているが、太陽光発電の電気を供給することでCO2の削減に貢献したとしても失われた生態系は戻らず、これは社会の持続可能性にも暗い影を落とす。
対してソーラーシェアリングの場合は、設備導入以前と同じ農作物を作り続けることも可能であり、地表面への日射量こそ減少するものの、農業と共に育まれる自然環境に大きな変化をもたらすことは少ない。

地域密着型事業としての安定性

FIT制度は再生可能エネルギー電源の普及を加速させるために、発電事業への補助金を売電収入に上乗せして出すという仕組みであり、税という形ではないものの広く消費者の負担で成り立ってきた。であれば、FIT制度による補助期間が終了したあとこそ、投資回収・減価償却を終えた設備として、最大限発電事業を継続して安価な電気を供給していかなければならない
「FIT終了後は発電設備を撤去して原状回復します」というのは、再生可能エネルギーを増やし将来世代へ貢献することを志しているならば、思いつくような言葉ではない。いまの世代の負担によって建設した発電所は、次の世代から先も永続的に事業を続けることこそが重要である。

発電事業と共に、農業という土地利用が続けられるソーラーシェアリングは、最も地域に密着し得る産業である「農業」を通じての社会貢献を図ることができる。エネルギーと同様に私たちに欠かすことの出来ない食料の供給という農業の果たす役割が終わる日はないと考えれば、それと共に歩む太陽光発電事業の長期安定的な実施に繋がる。
故に、再生可能エネルギーの生産や利用拡大によって、事業や社会の持続可能性を高めることを目指す企業であれば、ソーラーシェアリングを選ぶことは理にかなうのである。

エネルギーと食料を作る営みに終わりはない

連載:これからのソーラーシェアリング

馬上丈司
馬上丈司

1983年生まれ。千葉エコ・エネルギー株式会社代表取締役。一般社団法人太陽光発電事業者連盟専務理事。千葉大学人文社会科学研究科公共研究専攻博士後期課程を修了し、日本初となる博士(公共学)の学位を授与される。専門はエネルギー政策、公共政策、地域政策。2012年10月に大学発ベンチャーとして千葉エコ・エネルギー株式会社を設立し、国内外で自然エネルギーによる地域振興事業に携わっている。

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