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英国グラスゴーで開催されているCOP26では、各国の公的な投資も次々と発表されている。その中で、パリ協定達成に書かせない、次世代の技術開発に投資する、スタートアップ企業への投資はどうなっているのだろうか。
英国グラスゴーで開催されているCOP26では、開会式でさまざまな演説がおこなわれている。その中で開催国・英国のボリス・ジョンソン首相は5年間で300億ポンドのグリーン投資と途上国への新しい支援をおこなうと発表した。アメリカのバイデン大統領は現在、5,500億ドルの気候変動対策予算を議会で通そうとしている。EUは2030年までに1兆ユーロを投資する計画だ。
IEAによると、今世紀末までの世界の平均気温上昇が1.5度未満になるパリ協定に到達するためには131兆ドルの投資が世界で必要であるという(このうち、98兆ドルはすでに計画されているというが、43兆ドル足りない)。このIEAの数字は、民間、政府、土地開発、スタートアップ、なんでもかんでもいれての金額だ。
一方で、パリ協定の達成には新しい技術開発が欠かせない。では、そうした新しい技術開発に取り組む、スタートアップを中心とした投資はどうなっているのか。米調査会社のCBインサイツが興味深いレポートを公開した。
それによると、2020年のクリーンテックへの投資額は2018年の2倍になった。2021年はさらに上回ると予想されている。
CB INSIGHTSの資料より 再エネへの投資は高いペースで進む
電源別のクリーンテック投資を見ると、2016年は風力が太陽光よりも多く投資されていたが、2018年になるとそれが逆転。現在は太陽光関連のクリーンテックへの投資がはるかに多い。2021年の予測で見ると、太陽光は24億ドルで突出しており、風力は3億6,800万ドル、次いで水素、水力・海洋(潮流・波力)が続き、バイオへの投資はこの中では最も低く5,000万ドルに達しなかった。
CB INSIGHTSの資料より 太陽光発電への投資の伸び
CBインサイツによると、風力発電は陸上でのウィンドファームの適地が少なくなり、沖合での洋上風力発電の開発が多くなってきたこと、一方で太陽光発電は住宅用の需要がまだ伸びるからだという。水素も少しずつだが投資額が増えてきており、今後勢いづく可能性が高い。
IEAは2021年6月、世界エネルギー投資報告書を発表した。そこでのクリーンテックへの投資額は2021年に7,500億ドルの予測を出している(CBインサイツの予測は少し上ぶれしている)。
同報告書によると、公的・民間、ともに脱炭素の技術開発への投資シグナルは「ポジティブ」で、かつ、心配された新型コロナウイルスの影響も限定的だった。それはVCへの資金調達でも変わらない。
「投資家は今後10年間、エネルギー分野での技術開発はブレイクスルーがあり、かつ収益性の高いものであり続けるだろうと考えている」と同報告書にはある。
世界の公的なエネルギー研究開発費は2020年には2%増であり、2017、2018年の7〜10%には及ばなかった。だが、クリーンテックの割合は2015年の77%から83%へ上昇している。対応するように、化石燃料の研究開発費は減少を続けている。
IEA World Energy Investment 2021より 国別の公的な研究開発投資
民間からのVC支援は小幅減少もすそ野が広がる・・・次ページ
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