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再エネへの世界投資、スタートアップにも拡大 風力よりも太陽光に集中、公的支援も拡大が続く

2021年11月08日

世界が注目する太陽光関連の新技術、ペロブスカイトやソーラーシェアリングも

最後に、最近の研究開発トレンド、それもCBインサイトによると一番資金が集まりそうな「太陽光」関連の技術を紹介しよう。

・新しい薄膜技術

新疆ウイグル自治区のポリシリコン生産への懸念から、米ファーストソーラーはカドミウム-テルル化物ソーラーモジュール(CdTe太陽光パネル)生産工場を拡大するために7億ドル弱を投資した。インドにも新工場を建設する予定。

・インソライトパネルコーティング

スイスのスタートアップ、Insolightは太陽電池パネルにコーティングを施すことで、従来の3割から5割の効率向上を果たした。

・フローティングソーラーファーム(浮体式太陽光発電)

浮体式の太陽光発電はパネルが高温になりにくいため、モジュールの劣化が遅くなるとされ、今後拡大が期待される。世界銀行によると現在の2GWから400GWまで拡大するという。

ペロブスカイト

そして、「曲がる」太陽電池パネルで注目のペロブスカイトだ。世界中が注目しており、オックスフォード大学からスピンアウトしたベンチャーは変換効率22%を達成し、2021年の販売を予定している。もともとの発明をした日本でも東芝などが商業化を急ぐが、世界のベンチャーがしのぎを削る。

・ソーラーシェアリング

これも日本初の技術だが、世界では注目が集まりはじめているところだ。イタリア、ドイツ、オランダ、スペイン等欧州でプロジェクトが進んでいる。韓国、米国でも開発が進む。

日本の公的支援も拡大を

ベンチャーのクリーンテックはもちろん、太陽光だけではなくこれからさらに拡大するだろう。特に、グリーン水素、CCS/CCUSなどはまだ技術が完全に確立されておらず、開発の競争になる。

また、VPPや効率的な電力供給網の確立など、DXとの関連技術も世界中で技術開発が進んでいる。

日本の貢献できる技術として、紹介したペロブスカイト、ソーラーシェアリングだけでなく、ほかにも排出量の可視化技術などさまざまにあるはずだ。

ペロブスカイトへの公的な予算として、米国は合計5,400万ドル(約61億円)の予算と300万ドルのペロブスカイトスタートアップアワードを創設した。CdTeにも2,000万ドルを投じる。これは2021年3月の公開情報だ。日本の経済産業省の資料によると、令和3年度の予算ではペロブスカイトとリサイクル技術の技術開発事業として33億円が計上されているが、米国の半分強だ。日本がこうした技術をより推し進めたいのであれば、政府のさらなる支援も必要になる。

公的・民間からのクリーンテックへの投資が集まる中、日本のクリーンテック、VC、技術開発への投資はまだまだ弱い。とくに公的な支援がこれから拡大していくことが求められるだろう。

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日本が期待する次世代太陽電池 ペロブスカイト 「日本にはこれがない」開発者が語る課題とは
第6次エネルギー基本計画とソーラーシェアリングへの期待と課題 後編

 

参照
IEA : Energy end use and efficiency
IEA : World Energy Investment 2021
IEA: Ten years of clean energy start-ups
ロイター:Big oil courts U.S. clean-energy startups in bid to speed green transition

小森岳史
小森岳史

EnergyShift編集部 気候変動、環境活動、サステナビリティ、科学技術等を担当。

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