スマートメーターの30分ごと電力データの活用に向けて「第二次中間取りまとめ」公表 第12回「持続可能な電力システム構築小委員会」 | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)


スマートメーターの30分ごと電力データの活用に向けて「第二次中間取りまとめ」公表 第12回「持続可能な電力システム構築小委員会」

スマートメーターの30分ごと電力データの活用に向けて「第二次中間取りまとめ」公表 第12回「持続可能な電力システム構築小委員会」

2021/06/23

かつて電気事業で使われていたアナログ式の電力量計は、毎月1ヶ月間の使用電力量を検針員が調べて記録する仕組みだった。しかし現在はほとんどがスマートメーターへの交換が進んでおり、遠隔で30分ごとの使用電力量がわかる仕組みだ。スマートメーターから得られるビッグデータの利用をめぐる、2021年6月7日の経済産業省における第12回「持続可能な電力システム構築小委員会」の議論をおとどけする。

審議会ウィークリートピック

進むスマメ化と期待されるビッグデータ活用

全国に設置された電気の計量器はスマートメーター化が進んでおり、高圧部門(約75万件)ではすでに全数スマメ化が完了し、低圧部門(約7,800万件)では2024年度末までに導入を完了する予定となっている(東電エリアでは2020年度に切り替えを完了)。

膨大なスマメから得られる30分ごとの電力使用量等は、まさにビッグデータであり、社会的課題の解決や新たな事業の創出などに向けた有効活用が期待されている。

ところが従来の電気事業法では、「情報の目的外利用の禁止」が規定されていたため、一般送配電事業者が取得したスマメデータを、電気料金計算等の目的以外で活用することは困難であった。

このためスマメデータの利用・提供の拡大に向けて、2020年6月に電気事業法が改正され、一定のルールのもと、電気事業者以外の事業者も含めて、電力データの活用が可能となった(2022年4月施行)。

なお、個々の需要家の電力使用量情報は個人情報に該当するため(需要家が法人の場合は競争情報に該当する可能性あり)、「個人情報保護法」に基づく制度設計をおこなうことや、消費者保護に万全を期す仕組みを構築することが大前提となる。

スマメデータの活用に関しては、電力・ガス基本政策小委員会等の複数の審議会において検討が進められてきたが、「持続可能な電力システム構築小委員会」の第12回会合において、スマメによる平時の電力データ活用に関する「第二次中間取りまとめ」が公表されたので、本稿ではその概要をご紹介したい。

平時の電力データ活用制度の概要

電力データの活用断面に関しては、「平時」と「災害等の緊急時」を分けて整理することが適切である。

まず「災害等の緊急時」に対しては、2020年改正電事法により、災害復旧や「事前の備え」に電力データを活用するため、経済産業大臣は一般送配電事業者(一送)に対して、地方公共団体や自衛隊等へ電力データの提供を求めることが可能となった。これはすでに2020年6月に施行済みであり、台風の来襲時等に新たな制度が活用されている。

災害時に、一送が自治体等に提供する主な情報は以下のようなものである。

① 停電/通電情報(需要家の氏名や住所等の個人情報を含む)

② 停電エリア情報(配電線地図など)

③ 復旧見通しに関する情報(復旧計画など)

④ その他被害状況の確認や停電の早期復旧等の目的のために必要な情報

また「平時」においても、提供データの種類により「個人情報」、「匿名加工情報」、「統計情報」のいずれに該当するものであるかを明確に区別したうえで、これに応じて適切に情報を取り扱う必要がある。

図1.スマメから得られる提供データの種類

出所:電力・ガス基本政策小委員会

①「個人情報」については、個人データの第三者への提供を認める旨の本人の同意が必要である。

氏名等が削除された②「匿名加工情報」については、個人情報保護法律施行規則第19条で定める基準に従い加工する必要があるが、必要とされる加工の程度については一律の基準は存在せず、スマメのデータの加工の程度について整理が必要とされる。

また、「統計に用いる標準地域メッシュおよび標準地域メッシュ・コード」に準じて加工され、複数人の情報から同分類ごとに集計して得られる③「統計情報」は、その利用や提供に際し、需要家からの同意取得は不要とされる。

多様な社会的課題を解決するにあたり、必要とされる電力データ種類は、想定されるユースケースにより異なると考えられる。

図2.ユースケースに応じたスマメデータの種類


出所:電力・ガス基本政策小委員会

個人情報を含む電力データの取り扱いに関しては、個人情報保護のほかセキュリティ確保や消費者保護の観点から、国が認定した中立的な組織を介してのみ、電力データの提供が可能であるとした。

具体的には図3のように、一般送配電事業者と電力データ利用者を仲介する中立組織である「認定電気使用者情報利用者等協会」(認定協会)が設立される。

認定協会は、「情報銀行」(一般的な産業分野においてデータの適正な活用を推進する仕組み)のスキームを参考として、ISMS認証やPマーク認証(プライバシーマーク付与適格性審査)の基準を包括し、プライバシーの保護や情報セキュリティに配慮したものとされる。

認定協会は図3のとおり、需要家本人から同意を得た電力データのみをデータ利用者へ提供することが可能である。事業者等が認定協会から電力データの提供を受けるためには認定協会の会員になる必要があり、会員は認定協会の定めるルールの下で電力データを活用可能である。

図3.中立組織による電力データの提供


出所:持続可能な電力システム構築小委員会

なお個人等の需要家は、例えば「見守りサービス」など利用したいサービスがある場合のみ、かつ、そのデータ利用者に対してのみ、自らの電力データの提供・使用を同意する「オプトイン」方式を採っている。電力データの提供を望まない需要家のデータが勝手に提供・使用されることは無い仕組みとなっている。

認定協会は2021年度下期に設立された後、改正電気事業法が施行される2022年4月に認定される。

なお、災害時等に一送が自治体等へ提供するデータについては無償とするものの、ビジネス用途や学術用途など平時のデータ提供については有償として、受益者負担(情報提供先の負担)を原則とする。

図4.認定協会に関するスケジュール


出所:持続可能な電力システム構築小委員会

電力データ(個人データ)の標準仕様項目

電力データの活用を検討するため、2018年に「グリッドデータバンク・ラボ 有限責任事業組合(GDBL)」が設立された。GDBLでは、電力統計データの提供に係る標準仕様書の作成や、電力データ(個人データ)に対するユーザーニーズの確認などをおこなっている。

2021年3月時点では、GDBLの会員数は民間企業や自治体等、153者に上っている。

GDBLの「電力データ活用検討委員会」において検討された結果、標準仕様項目(ドラフト案)で定める提供項目は、オプトイン許諾済みの個人(利用者)に紐づく「電力量」と「属性項目」とされ、その内容は表1のとおりである。

表1.電力データ(個人データ)の標準仕様項目

電力量
使用電力量
受電電力量

 

属性項目
契約情報本人情報
所在地住所
建物情報
(種別/規模/用途)
電圧分類
用途(業務用/産業用)
電気方式分類
託送契約有無
契約電力
建物分類
発電設備情報
(件数/規模)
受給契約有無
発電設備有無
契約受電電力
発電設備容量
その他情報位置情報
通電分類
異動日情報供給側開始日
供給側廃止日
供給側新設日
供給側全撤日
受電側開始日
受給側廃止日
発電設備設置日
発電設備撤去日

出所:GDBL電力データ活用検討委員会

GDBLでは、これらの電力データの活用例として、以下のようなユースケースを想定している。

表2.家庭の電力データのユースケース


出所:GDBL電力データ活用検討委員会

GDBLは2020年7月にその会員に対して、電力データの利用者ニーズに関するアンケート調査をおこなっている。

例えばデータ項目に関する調査では、各データ項目について満遍なくニーズがあることが確認された。比較的ニーズが高い項目は、「利用者情報」や「使用電力量」という結果である。

図5.各データ項目に対して有用と回答した割合


出所:GDBL電力データ活用検討委員会

データの提供リードタイムに関する設問では、使用電力量(速報値)と受電電力量(速報値)に対する最も高いニーズは「数時間以内」であり、その他の項目に対する最も高いニーズは「1ヶ月程度」という結果であった。

データ提供期間に関する設問では、「過去3年以内」のデータの希望が最多であった。これは電力量の前年比較や季節特性を推定するためであると考えられる。

なお、上述のように、電力データ提供に関する費用は受益者負担(情報提供先の負担)となっている。

サービス提供者が負担する利用料の水準に関する問いに対しては、「現時点ではわからない・未回答」という回答が5割強を占めたものの、1ユーザー・1ヶ月あたりの利用料は、A.継続利用の場合は10~100円程度、B.買い切りの場合は1円~50円程度、までを希望する回答が多い結果となった。

図6.サービス提供者が許容するデータ利用料の水準


出所:GDBL電力データ活用検討委員会

「電力データの活用の在り方検討会」を新たに設置

スマメを利用した電力データの活用は、様々な社会課題の解決や新事業の創出などに繋がると期待されるが、データ利用が有償であることは、認定協会に参加することの一つのハードルであると考えられる。

こうしたデータプラットフォームでは規模の経済が働くため、データ利用者が増えるほど、一参加者あたりの費用は低減可能と予想されるため、なるべく多くの利用者にとって使いやすい仕組みとすることが重要である。

このため資源エネルギー庁は、認定協会の設立に向けて電力データ利用者の理解を醸成し、事業者ニーズ等を確認することを目的として、「電力データ活用の在り方勉強会」を5月28日、6月3日の2回にわたり開催した。

「勉強会」はいわゆるセミナー形式であったが、今後は単なる聴講者ではなく、プラットフォームの構築に向けて能動的に参画することを想定した「電力データの活用の在り方検討会」が設置される。

検討会では、

  • 電力データ提供システムの基本設計
  • 電力データの利用料金
  • 電力データの使用ルール
  • ユーザーにとって使いやすいオプトイン、オプトアウトのユーザーインターフェース
  • 事業実施のスケジュール

などが具体的に議論される予定である。

当検討会にご関心のある事業者等は、下記URLを参考に資源エネルギー庁に問い合わせていただきたい。

https://www.meti.go.jp/press/2021/05/20210524002/20210524002.html

梅田あおば
梅田あおば

ライター、ジャーナリスト。専門は、電力・ガス、エネルギー・環境政策、制度など。 https://twitter.com/Aoba_Umeda