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ちょうど今から1年前、英国で80年近い歴史を誇る老舗電力会社SSEの家庭向け小売部門が、新電力のOVO Energyに買収された。とはいえ、ブランドとしてはSSE Energy Servicesとして、再エネ100%のOVO Energyと差別化をはかっている。業界に激震が走ったこのニュースから1年、SSEはどう変わったのか?イケてる電力会社になったのか? 国内、世界でのプレゼンスをどう維持し、高めていくのかについて注目したい。
70年以上にわたり英国の電力を支えてきた、1943年創業のSSE (旧Scottish and Southern Energy)。スコットランド・パースに本社を置くSSEのルーツは、North of Scotland Hydro-Electric Board(北部スコットランド水力発電公社)とイングランド南部で配電事業を行っていたSouthern Electricity Boardの2つの公営公社だ。電力自由化前から存在する大手電力会社「ビッグ6」のうち、英国資本は2社。1社は先日紹介したCentrica(British Gas)で、もう1社がこのSSEだ。
長い歴史をもつSSEにとって、2020年は大きな転換点となった。というのも、新電力OVO Energyへの、家庭向け小売事業SSE Energy Servicesの売却が完了したからだ。これにより、OVO Energyは500万軒の顧客を新たに獲得し、シェア2位に急浮上。SSE Energy Servicesの8,000人の従業員もOVO Energyに異動した(詳細は『OVO Energy 大手電力を買収し、英シェア2位に。名実ともに新時代の幕開け』をご参照いただきたい)。
OVO Eneregy創業者のStephen Fitzpatrick氏
とはいえ、最古参の電力会社のブランド力はそう簡単に落ちるものではない。ビートルズやクィーンのライブが行われた、ウェンブリー・アリーナをご存知だろうか。SSEは、このウェンブリー・アリーナのネーミングライツを有している。ロックの聖地は今、「SSEアリーナ・ウェンブリー」として親しまれている。また、スコットランド最大のエンターテインメント会場SSE Hydroのスポンサーでもある。
そして、OVO Groupの一員となった、元SSEの家庭向け小売事業は、SSE Energy Servicesとして、SSEのブランド力を活用した事業展開を行っている、ということだ。それは、OVO Energyとどのように差別化されているのだろうか。
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