リトアニア政府が中国製スマホに監視機能がついているとして不買運動を呼びかけるというニュースが報じられた。国内ではいまのところごく一部のメディアしか報じていないが、デジタルはもちろんのこと、実は今後の脱炭素化にもかなり関係する。どのフィールドかというと車だ。国家の安全保障も含めてさまざまな問題を抱える中国製通信機器について、ゆーだいこと前田雄大が解説する。
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今回の報道は、「情報を抜き取る」というところに問題の根源がある。
国内ではあまり危機感は高まっていないが、筆者としては国家の安全保障も含めてかなりの問題を含みうると、常々思ってきた論点でもある。
また車産業の今後を考える上でも重要なニュースになる。そこで今回はリトアニア政府が中国製スマホに監視機能がついているとして不買運動を呼びかけたというニュースをもとに、次の3つの論点を解説していきたい。
まずは、リトアニア政府が中国製スマホに監視機能がついているとしたニュースから紹介したい。
バルト三国の一つ、リトアニアにおいて同国の国防省(日本でいう防衛省)が、リトアニア国内で流通する携帯電話のうち、中国スマートフォン大手、小米科技(シャオミ)の製品に、中国政府が警戒する用語を検出する機能が入っており、そこから利用制限がかかるようにも設定してあるとして、リトアニア国民に「中国に監視されているぞ!」と警告したというものだ。
具体的には、国防省が発表した報告書があり、その報告書曰く、シャオミのスマホには「自由チベット」や「台湾独立万歳」など、中国政府が警戒する用語を検出する機能が内蔵されている、という。しかも監視対象用語は400以上にのぼると見られている。
ここまでですでに不快な気持ちにさせられるのだが、報告書は更なる機能があると報告している。携帯の使用者がダウンロードするコンテンツにそれらの用語が含まれる場合、自動的にダウンロードなどが妨害される仕組みになっている、と指摘した。
つまり、中国政府にとって都合の悪い情報に、リトアニア国民がアクセスしないよう、中国が携帯を通じて間接的にモニターしながら、言論にも誘導をかける、そんな機能が携帯に内在されているというのだ。
「なんだ、内蔵機能でしょ、だったら携帯電話で完結して終わりじゃないか」と思われた読者も少なからずいるだろう。しかし、当たり前だが、そんなに甘くはない。国防省が調査したところ、暗号化されたスマホの使用データが、別の国にあるサーバーに送信されたことも確認されたという。
つまり、携帯を通じて、リトアニア国民の情報が国外に流出、普通に考えれば、中国に情報が筒抜けになっていくという格好になる。
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