「中国製スマホに監視機能」報道から考察する、車の電動化と情報漏洩の危機  | EnergyShift

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「中国製スマホに監視機能」報道から考察する、車の電動化と情報漏洩の危機 

「中国製スマホに監視機能」報道から考察する、車の電動化と情報漏洩の危機 

2021年09月28日

リトアニア政府が中国製スマホに監視機能がついているとして不買運動を呼びかけるというニュースが報じられた。国内ではいまのところごく一部のメディアしか報じていないが、デジタルはもちろんのこと、実は今後の脱炭素化にもかなり関係する。どのフィールドかというと車だ。国家の安全保障も含めてさまざまな問題を抱える中国製通信機器について、ゆーだいこと前田雄大が解説する。

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リトアニア国民は中国に監視されている?

今回の報道は、「情報を抜き取る」というところに問題の根源がある。

国内ではあまり危機感は高まっていないが、筆者としては国家の安全保障も含めてかなりの問題を含みうると、常々思ってきた論点でもある。

また車産業の今後を考える上でも重要なニュースになる。そこで今回はリトアニア政府が中国製スマホに監視機能がついているとして不買運動を呼びかけたというニュースをもとに、次の3つの論点を解説していきたい。

  1. アメリカはどのような対応をとってきていたのか
  2. なぜアメリカは対応が早いのか
  3. ホンダはなぜAndroidを搭載するのか

まずは、リトアニア政府が中国製スマホに監視機能がついているとしたニュースから紹介したい。

バルト三国の一つ、リトアニアにおいて同国の国防省(日本でいう防衛省)が、リトアニア国内で流通する携帯電話のうち、中国スマートフォン大手、小米科技(シャオミ)の製品に、中国政府が警戒する用語を検出する機能が入っており、そこから利用制限がかかるようにも設定してあるとして、リトアニア国民に「中国に監視されているぞ!」と警告したというものだ。

具体的には、国防省が発表した報告書があり、その報告書曰く、シャオミのスマホには「自由チベット」や「台湾独立万歳」など、中国政府が警戒する用語を検出する機能が内蔵されている、という。しかも監視対象用語は400以上にのぼると見られている。

ここまでですでに不快な気持ちにさせられるのだが、報告書は更なる機能があると報告している。携帯の使用者がダウンロードするコンテンツにそれらの用語が含まれる場合、自動的にダウンロードなどが妨害される仕組みになっている、と指摘した。

つまり、中国政府にとって都合の悪い情報に、リトアニア国民がアクセスしないよう、中国が携帯を通じて間接的にモニターしながら、言論にも誘導をかける、そんな機能が携帯に内在されているというのだ。

「なんだ、内蔵機能でしょ、だったら携帯電話で完結して終わりじゃないか」と思われた読者も少なからずいるだろう。しかし、当たり前だが、そんなに甘くはない。国防省が調査したところ、暗号化されたスマホの使用データが、別の国にあるサーバーに送信されたことも確認されたという。

つまり、携帯を通じて、リトアニア国民の情報が国外に流出、普通に考えれば、中国に情報が筒抜けになっていくという格好になる。

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前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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