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地域を活性化させる主力電源としての太陽光発電とは 「地域に活かすPVシンポジウム」レポート

地域を活性化させる主力電源としての太陽光発電とは 「地域に活かすPVシンポジウム」レポート

EnergyShift編集部
2020/04/07

太陽光発電は将来の主力電源の1つとして期待されている一方で、普及や運用にあたっては課題も多い。同時に、性質上、地域に分散して整備されていく電源である以上、地域との関係、地域経済の好循環ということも考えていく必要がある。
「地域に活かすPVシンポジウム」と題されたシンポジウムが2020年2月6日、PV施工団体連絡会主催で開かれた。環境省と経産省をはじめ、浜松市、エネファント(たじみ電力)、千葉エコ・エネルギー、そしてパナソニックの各担当者が講演し、終盤は活発な議論が交わされた。4つの講演を中心にレポートする。

再エネの地産地消で自給率100%も可能 (浜松市)

静岡県浜松市は、浜松新電力を設立、再エネの地産地消を進め、スマートシティの構築を目指している。浜松市産業部副参事の江馬正信氏が、浜松市のエネルギー政策を紹介した。

浜松市は東日本大震災をきっかけに、2012年4月に新エネルギー推進本部を設置、2013年3月には「浜松市エネルギービジョン」を策定した。再エネ導入、省エネ推進、エネルギーマネジメントシステム導入、環境・エネルギー産業の創造の4つを柱とした「浜松版スマートシティ」の実現を目指している。

実は浜松市は、太陽光発電導入比率が全国一であり、中小水力発電などのポテンシャルも高い。また、林業も盛んでバイオマス発電も可能だ。事業用太陽光発電もおよそ7割が地元資本だという。

今後、再エネ拡大にあたっては、住民理解と地域合意が重要だという。その上で、分散型エネルギーシステムの地産地消として、自家消費から自営線活用、自己託送による供給まで広げていく方針だ。併せて市内4区域でスマートコミュニティーを地元企業とも進めている。
2015年10月に、浜松市と地元企業、NTTファシリティーズ、NECキャピタルソリューションの出資で設立した浜松新電力は、このスマートコミュニティー構想に重要な役割を果たす。すでに発電量の76%を市内から調達しており、今後さらに引き上げていくことになる。同時に、電気を販売するだけではなく、省エネ支援を含めた、浜松版シュタットベルケを目指している。その先に、スマートシティ浜松があるということだ。

浜松市産業部 江馬正信副参事

EV+カーポートで地元企業を活性化―エネファント(たじみ電力)

地域の課題としては、エネルギー以上に交通は大きな問題だ。公共交通が少ない一方、自動車を所有する若者も減っている。こうした中、エネファントの磯﨑顕三氏が、エネルギーと移動を組み合わせた岐阜県の地域エネルギー会社である、たじみ電力を紹介した。

地方では、若者の流出と出生率低下で、急速な高齢化が進んでいる。かつて若者は車に給料のかなりの部分を消費していたが、ガソリン代や冬季のスタッドレスタイヤなどさまざまな費用を考えると、相対的に高額となっており、自動車を所有せず、移動手段が限られることから、地方に住めなくなっている可能性がある。
暮らしに不可欠な「車」の負担を軽くすれば、若者が地域にとどまるのではないか、という仮説から、たじみ電力では、「働こCAR」というサービスを展開している。

サービスは次のような内容だ。たじみ電力は地元企業に若者専用のEVレンタカーを提供する。企業は求人にあたって、通勤用のEVの提供をアピールすることができる。通勤用の車なので、平日の日中は企業で蓄電池として使うことができる。しかも、カーポート型の太陽光発電を設置すれば、再エネで充電できる。現在、月々40,000円弱で日産リーフが導入でき、若者の採用にもつながると同時に、年間の電気代削減ともなっているという。

エネファント 磯﨑顕三氏

RE100向けの再エネを、PPA型ソーラーシェアリングで(千葉エコ・エネルギー)

近年、農地と太陽光発電を組み合わせたソーラーシェアリングが注目されている。FIT以降のソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の展開について、千葉エコ・エネルギーの馬上丈司氏が提案した。

馬上氏が最初に語ったのは、RE100について。世界で200社以上の企業が加盟し、その4分の3は2030年までに再エネ100%を達成する予定だ。一方、日本企業は目標達成が遅れ気味だが、その理由は(FIT以外の)再エネの調達が困難だという理由だ。
一方、再エネが要求されるのは、自社事業所だけではなく、サプライチェーンなど外部にも要求が拡大する方向だ。国内企業の電力需要を再エネでまかなうためには、約4,805億kWhの不足が見込まれるという。

ソーラーシェアリングにおいても、オンサイト型PPAをはじめ、近隣から自営線を通じて供給するオフサイト型PPA、さらにnon-FIT事業なども視野に入れているという。また、近隣の農地と市街地をつなぐことで、PVフル活用都市をつくることも可能だ。PVフル活用都市の現実まではまだ遠いが、日本だけではなく、韓国や台湾などアジア圏でもソーラーシェアリングが拡大していることは見逃せない。

千葉エコ・エネルギー 馬上丈司氏

宮古島から考える再エネ100%(パナソニック)

パナソニックは、これまでにもFujisawaサスティナブル・スマートタウンの開発など、スマートシティの開発にかかわってきた。沖縄県の宮古島では、さらに進んだ技術の導入を進めており、その取り組みについて同社スマートシティ推進担当の西川弘記氏が解説した。

宮古島市は、人口5万人で、持続可能な島づくりを進めている。2016年の時点で2万2,000kWの太陽光発電が導入されているが、これで島内の全電力をまかなえる時間帯であっても、需給調整のために火力発電がスタンバイをしているという。
さらに、kWhで全電力をまかなうためには20万kWの太陽光発電が必要となるが、運用のためには追従負荷を上手に入れる必要があるという。

可能な住宅に第三者所有モデルで太陽光発電を設置した上に、エコキュートやEV、蓄電池を導入していくことになり、また、配電系統を安定させるために、スマートインバータなどの開発も必要になる。パナソニックはこうした技術を導入していく方針だ。また、147億円の投資が必要となるが、その調達は課題となる。いずれにせよ、離島に向けた技術開発が、いずれは全国で必要になってくるという認識だ。

パナソニック スマートシティ推進担当 西川弘記氏

EV蓄電池活用で災害時も停電のない暮らしを(神奈川県)

神奈川県では、かながわスマートエネルギー計画を推進している。この日は、蓄電池にフォーカスし、神奈川県産業労働局産業部の武川晴俊氏が説明した。

神奈川県ではEV蓄電池活用に向けたいくつかの取り組みをおこなっている。ひとつは「ワークプレイスチャージング導入事業」で、通勤に使われているEVを事業所で充電し、エネルギーマネジメントに活用するというものだ。また、ホテルやコンビニエンスストアにも、太陽光発電や充電設備、EVの中古蓄電池の設置を進めている。

神奈川県産業労働局産業部の武川晴俊氏

シンポの最後は講演者を交えてのパネルディスカッションが行われ、エネルギーや経済の地域循環を実現するための官民協力をテーマに、活発な議論が交わされた。 地域のエネルギーとしての太陽光発電について、新たな展開をうかがわせるシンポジウムとなった。

(Photo:岩田勇介、Text:本橋恵一)

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