欧州で自動車の環境性能を評価する団体「Green NCAP」は11月18日、新たに5車種の評価結果を発表した。
試験した5車種のなかで、電気自動車(EV)のトヨタ自動車「Lexus UX 300e」と日産自動車「Nissan LEAF e+」は、ともに最高の5つ星を獲得。プラグインハイブリッド車(PHEV)の、仏ルノー「CAPTUR E-TECH」と独フォルクスワーゲン「Golf 8GTE」の2種は3.5つ星を獲得し、唯一のディーゼルエンジン車であるアウディ「Audi A3」は3つ星となった。
「Lexus UX 300e」と「Nissan LEAF e+」はどちらも最高評価を得たが、エネルギー効率のスコアがわずかに異なった。エネルギー効率の評価項目の中に、低温環境(-7℃)での走行テスト「WLTC+ CAT(Cold Ambient Temperature)」という項目がある。「Nissan LEAF e+」は、低温環境でのエネルギー効率スコアは10点満点中9.9と高い結果となった。
一方、「Lexus UX 300e」は、低温時に車内を加熱するためにエネルギーを多く使用したことで消費電力が増え、Lexusが主張する航続距離より走行距離がかなり短くなった。そのため、エネルギー効率の評価でわずかに減点される結果となった。
5つ星を獲得した日産自動車「Nissan LEAF e+」(左)と「Lexus UX 300e」(右)
出所:Green NCAP
仏ルノー「CAPTUR E-TECH」は、EVモードで最大40kmまで走行できる小型SUVで、電池が充電されている場合は、燃料消費量が大幅に削減される。電池残量がない場合はガソリンハイブリッド車として稼働する。「Golf 8GTE」は、EVモードでの航続距離は最大52kmだが、エネルギー効率スコアは「CAPTUR E-TECH」より低く、温室効果ガスの排出量も多い結果となった。
3つ星の2Lのディーゼルエンジンを搭載した「Audi A3」は、クリーンエアとエネルギー効率で高いスコアを獲得した。しかし、低温環境や高速走行時のCO2排出量が多く、温室効果ガスのスコアは3.6にとどまった。
今回までの評価方法は、排出量に焦点を当てる「Tank to Wheel」で評価しているため、排気ガスが発生しないEVには有利だった。2022年からは、走行時のCO2を考える「Tank to Wheel 」に加えて、燃料をタンクに入れるまでに排出するCO2を加えた「Well to Wheel」方式に変えるという。これにより、EVは充電時の電力の発電方法によって異なる排出量が加算されることになる。
グリーンNCAPの次期テクニカルマネージャーであるAlex Damyanov氏は、「来年には、商品やサービスの原料調達から、生産・流通、さらには廃棄・リサイクルに至るまでの一連のライフサイクルにおける環境負荷を、定量的に算定するための手法であるライフサイクル分析(LCA)を採用することを計画している」と述べた。これにより、どの車が最もクリーンな交通手段であるかを、車の使用状況、電力の供給源、生産地、最終的な回収方法に応じて、消費者自身が確認できるようになるという。
2022年に採用される新評価基準で、どのように結果が変化するのか注目していきたい。
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