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COP26を総括する(1) 注目された2つの論点と最後まで揉めた石炭火力

石炭利用と炭素国境調整の綱引き


最終日(11月13日)の協議の様子(UNFCCC)

COP26の会期は11月12日までだったが、会議がもつれ、成果文書を採択したのは11月13日だった。最後に揉めたのは、石炭利用に関する記述だった。中国とインドが、石炭の「段階的廃止」を「段階的削減」へ変更することを要求し、これが最終的に受け入れられたことだった。

今回のCOP26で特徴的だったことの1つは、英国が石炭利用の削減を各国に求めたことだ。先進国は2030年代、途上国は2040年代に廃止するというものだ。しかし中国もインドも石炭依存割合こそ減少しているものの、依存度は高く、すぐに他の電源に切り替えることはできない。インドは500GWの非化石電源を整備するとしているが、その実現のための投資を引き出す必要がある。資金と炭素をめぐる取引が示されたということだ。

一方、EUはカーボンプライシングの世界的な導入を主張している。貿易にあたって輸出国のGHG排出量を調整する、炭素国境調整が導入されれば、中国やインドにとって貿易面で不利となる。こうした事態に陥らないことへのけん制という面もある。

今後も、石炭利用と炭素国境調整をめぐる駆け引きは続くだろう。先進国と途上国との対立ということでは、先進国からの資金拠出が重要なものとなってくる。こうした中、日本は資金拠出と石炭火力廃止の両方を求められることになり、国際交渉においては弱い立場となりかねない。国際交渉力の乏しい日本としては、資金拠出の拡大を表明することで途上国からの支持を得ていくということを続けていくことになるのかもしれない。

日本にとって、COP26の最大の成果は、第6条の合意かもしれない。どのような合意となったか、そして日本にはどのようなメリットをもたらすのか、次回解説したい。

(次回更新は11月19日)

 

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もとさん(本橋恵一)
もとさん(本橋恵一)

環境エネルギージャーナリスト エネルギー専門誌「エネルギーフォーラム」記者として、電力自由化、原子力、気候変動、再生可能エネルギー、エネルギー政策などを取材。 その後フリーランスとして活動した後、現在はEnergy Shift編集マネージャー。 著書に「電力・ガス業界の動向とカラクリがよーくわかる本」(秀和システム)など https://www.shuwasystem.co.jp/book/9784798064949.html

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