世界100ヶ国超の国・地域の首相が参加している、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の首脳級会合。11月2日の岸田首相の表明では、2050年までの温室効果ガス排出量の実質ゼロ宣言や、2025年までに途上国に対して5年間で最大100億ドル(約1.1兆円)の追加支援を行う趣旨などが世界に向けて発信された。
同様にバイデン米大統領や、議長国である英国のジョンソン首相、ドイツのメルケル首相など、先進各国の代表が2050年までの排出量実質ゼロや途上国への支援増額を表明した一方、途上国からはそれよりも漸進的な目標や、支援増額を催促する声が表明された。
世界が一枚岩になりきれぬ中で進んでいるCOP26だが、脱炭素の世界的な目標については、様々な角度から目標が表明された。本記事では、二酸化炭素(CO2)排出量削減の他、石炭廃止目標や森林保護目標、メタン(CH4)の排出削減の各国の姿勢に加えて、新たに発足した取り決めの数々をまとめている。
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まずCO2排出量に関しては、先進各国が表明した2050年排出量実質ゼロ目標に対して、中国やロシアが2060年、インドが2070年での実質ゼロ目標を表明した。
中国、ロシア、インドは3ヶ国だけで世界のCO2排出量の約4割を占めており、国際社会下での風当たりが強くなるとされている。特に、現状の政策では、中国のCO2排出量は2030年時点で2020年度とほぼ変わらない見込みで、インドに至っては40%程増加する見込みであると国際エネルギー機関(IEA)は報じている。
こうした中、バイデン米大統領からは、中国の習近平国家主席の欠席について「大きな過ち」だと批判し、ロシアのプーチン大統領に対しても、「何か行動する意思があるのか」と述べた。
議長国の英国は、石炭火力での発電をゼロにすることに積極的だ。ジョンソン英首相は、世界全体でのCO2排出量削減を目指す取り組みの一つとして、先進国など主要経済国は2030年代に、世界全体は2040年代に石炭火力発電を廃止する趣旨を盛り込んだ声明を11月4日に発表した。この声明に対しては、ヨーロッパを中心に40ヶ国あまりから賛同が集まっており、主要7ヶ国(G7)のうち英国、フランス、イタリア、カナダは2030年までの終了目標を掲げている。しかし、その一方で日本やアメリカ、中国は賛同を示さなかった。
特に日本は、液化天然ガス(LNG)の価格高騰による電力需要の逼迫との兼ね合いから、依存度引き下げを目指すにとどまった。現在、石炭火力発電が全体の3割に迫る日本は、2030年度に19%まで引き下げるとしている。
そのほか、ドイツは脱石炭を2038年目標としてきたが、2030年へ前倒してその達成の術を模索している。鉱山閉鎖を含む廃止の費用として、電力会社に一定額を付与するなどして誘導する政策をとっている状態だ。
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