シリーズ Fridays For Future Japanからの報告
2018年、スウェーデンのストックホルムからはじまったFridays For Future。世界に広がった運動は、日本でも確実に大きくなっている。日本での活動は今どうなっているのか。今、日本の若者はどのように気候変動のことを考え、行動しているのだろうか。Fridays For Future Japanの新連載企画をお届けする。第1回は今までの活動と、2021年4月に開催予定のClimate Liveについて。
私は前回、2020年10月に行われたエネルギー基本計画について若者の目線からの意見を(EnergyShiftに)書かせてもらった。今回は、若者たちは今、何を求めて、どんな手段で気候変動問題に取り組んでいるのか、について書こうと思う。
まずは、若者の気候変動対策を求めるムーブメントとしてはかなり有名になってきたFridays For Futureについて。
Fridays For Futureとは、2018年8月にスウェーデンの高校生グレタ・トゥーンベリさんが早急な気候変動対策を政府に求める学校ストライキを始めたことをきっかけに、気候危機の脅威から未来を守るべく世界中に広がったムーブメントである。その活動は日本にも広がり、パリ協定の気温上昇1.5℃目標の達成、そして気候危機や世代間不平等を解消するため、現在も全国各地で活動が続いている。
活動の種類は大きく分けて二つ。まずひとつは、多くの人にムーブメントに実際に参加してもらう・知ってもらう活動だ。2019年2月に国会前で日本で初めてのアクションを行い、その後は数ヶ月に一度世界同時で行われるグローバル気候マーチを開催し、一緒に声を上げる仲間を増やしてきた。
そんな活動に今年は新型コロナウイルスの影響で大きな変化があった。実際に人が集まってのアクションは中止となったが、4月にはツイートストームを中心とするオンラインアクションを行い、トレンド入りもすることができたのだ。
開催前までは実際にみんなで集まって声を上げることができなくて残念だとネガティブな雰囲気が強かったが、オンラインにしたことでアクションへのハードルが下がり、今まで行動に起こせていなかった学校の友人やインフルエンサーの方なども参加してくださった。
これは私たちが目的としていた「1人でも多くの人にムーブメントに参加してほしい」ということにとても有効な手段だったと気づけた。それ以降、SNSの活用には特に力を入れている。
2020年4月のデジタル気候マーチの際、Fridays For Future Tokyoで作成したモザイクアート
そしてもうひとつは、政府に若者の意見を届ける活動だ。なぜなら、この(気候変動の)問題は、私たち若者だけが頑張ればいいのではないからだ。
誰かを責めれば解決するのではない。若者、大人、企業、そして政府みんなで同じ目標のために行動を起こさなくては解決はできない。そして、政府の力は言うまでもなくやはり大きい。だから私たちは政府にも声を届ける。
今年6月には小泉環境大臣との意見交換会に参加し、8月21日には「政府に本気の気候変動対策を求める」声明文を提出した。また、その声明文の中で求めた内容の署名も集め、4ヶ月弱で約4万人の方に賛同していただき、12月16日に国民会議開始に合わせて政府へ提出してきた。
冒頭でも述べたように10月よりエネルギー基本計画の話し合いが始まり、実際にこの署名が会議の中でも少しではあったが話題に上がった。私たち若者も政府の気候変動政策をしっかり見ていると圧をかけていかなくてはいけない。
そんな思いで、今後も会議が行われる際の省庁前でのスタンディングアクションや、会議のビデオ配信のアーカイブ視聴なども欠かさずやっていく予定だ。
(Fridays For Future Japan:https://fridaysforfuture.jp)
2020年12月16日に署名を環境省へ提出した際の写真
そして今回はもう一つ、私がFridays For Futureとは別で実行委員をしているイベントについて話そうと思う。
来年、2021年11月に予定されているCOP26に向けて、音楽の力を使い世界中の若者が気候の危機を大きなムーブメントにより政府に対策を求めることを目的とした音楽ライブイベント「Climate Live」を2021年4月24日(土)と10月16日(土)の2回にわたり開催する。
開催が二度にわたる理由はこうだ。4月が11月のCOP26に向けての世論の喚起と、それを受けてCO2排出の削減目標を見直すタイミングとして重要であると考え、まず4月が決まった。しかし、新型コロナウイルスの影響により、4月に観客がいる会場での開催が難しいと判断される国もあるだろう。そうした事情を考慮し、次の開催タイミングとして世界の注目をよりCOP26に集めるため、COP開催直前の10月が設定された。
現在、イギリス、オーストラリア、アメリカなど、参加を決定しているのは40ヶ国(2020年11月20日現在)。日本では、Fridays For Future Japanを通じて発起人であるイギリスの少女から声がかかり、その趣旨に賛同したメンバー、さらには他の学生環境団体のメンバーが加わり実行委員会が立ち上がった。
「ウチらの声で世界は変えられる」というスローガンのもと、気候変動に対して活動をしていた高校生・大学生、さらにその熱意に共感した音楽ライブ制作や野外フェスのプロフェッショナル、市民活動やNGOの専門家らがアドバイザーとして協力し、企画制作をしている。
音楽の力は偉大である。個人的な話だが、私が音楽大学に通おうと思ったのも、音楽の影響力に魅了されたからである。
前半のFridays For Futureの活動についての文中で「インフルエンサーの方がSNSでオンラインマーチに参加してくださった」と書いたが、インフルエンサーの方、アーティストの方の発信力、影響力はやはり強い。私たちがどんなに頑張っても届かない層に声を届けることができる。
昔、ライブエイドと言うチャリティーコンサートがあった事は多くの人が知っていると思うが、私たちはああいったライブを目指している。
コロナウイルス、時間がない、若者が主催など多くのハードルはあるが、今まで届けることができなかった人たちにもこの気候の危機を知ってもらい、関心を持ってもらいたい。多くの人々が気候変動に関心を持っているという民意を、企業そして政府に示したい。そんな思いで、右も左もわからない中で日々準備を進めている。
すでに賛同者や簡単な開催概要は公開しており、今後も様々な情報解禁が待っているので、是非ホームページやSNSなどをチェックしてほしい。
(Climate Live Japan:https://www.climatelivejapan.com )
今アクションをしている若者は、すでに気候変動がどんなに危機的な問題か知っている。
しかし、このことを知る機会がなかった人もたくさんいる。
そんな人にも知ってほしい。地球を壊したい人なんていないのに、今の社会システムでは気づかないうちに、誰でもこの問題の加害者になってしまうのだ。それを変えるためには、ムーブメントを大きくする必要がある。
そのために、Fridays For FutureもClimate Liveも、もちろん他の団体や手段でも、私たち若者はこれからもアクションをし続ける。
参照
Fridays For Future Japan
Climate Live Japan
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