このように概観をすると、改めて、今回の4候補のエネルギー政策に対するスタンスと、そして脱炭素・気候変動問題への理解度が見えてくる。
高市氏や岸田氏は閣僚時代の経験とそのときの答弁がベースとなっている部分もうかがえた一方で、河野氏が得意分野であるはずの脱炭素において、これまでほどの切れ味を見せないでいることについても、総裁選の難しさを垣間見る内容ともなった。
ただ、その中で、高市氏、岸田氏のスタンスは、これまでの経産省が掲げてきた路線に考えが近く、国際的潮流もあるので、表向きは脱炭素を掲げつつも、本音のところでは火力・原子力を主体としたエネルギー構成が念頭にあるというのもまた見えてきた。
もちろん、全方位的な岸田氏に対して、次世代原子炉や核融合炉などに傾倒する高市氏という違いはあり、また、岸田氏が現行のエネルギー基本計画の素案を変更しないであろう一方で、高市氏が同計画の修正を匂わせたことは大きな違いとして存在をする。
そこに地熱にこだわりをもつ野田氏、そして、まずは何より化石燃料からの脱却を目指す河野氏というのが今回の総裁選の布陣となっている。それぞれの候補に特色はある。あとは、実際に総理となってかじ取りをしたときに、外交の場に出て米国からの脱炭素プレッシャーにさらされる、経済界が直面する脱炭素に関する反対・賛成の声についてのかじ取りをする中で、より、現実的なものに収れんしていくであろうが、その推移もまた、今後注意深く考察していきたい。
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