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日本、国連の気候変動報告書に修正要求という報道 その裏にある欧州の思惑を解説

日本、国連の気候変動報告書に修正要求という報道 その裏にある欧州の思惑を解説

2021年10月26日

気候変動について各国が集まって議論をする場であるCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)。26回目のCOPが10月末に開かれようとしているが、このCOPを前に、イギリスのBBCが、「日本を含む各国が化石燃料からの急速な脱却に難色を示し、ロビー活動をしている」と報じた。これをきっかけに、日本のメディアも「日本が国連の気候変動報告書に修正要求をした」と報じ、「日本が気候変動対策に後ろ向きな働きかけをしているのではないか」と話題になっている。しかし、この報道自体が政治的意図を持った報道である、と冷静にみるべきだろう。今回の一連の報道について、元外交官であるゆーだいこと、前田雄大が解説する。

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イギリスのBBCはなぜ報じたのか

イギリスのBBCが、「日本を含む各国がロビー活動をしている」と報じた。

まずロビー活動とはなんぞやと思われた読者もいるかもしれないため、補足説明をすると、根回しであったり、あるいは相手国の議員団などの中に自分と立場が近しい集団を形成して、政治的圧力をかけるということも入る広い概念になるが、要は自分たちにとって都合のいいように事が運ぶよう水面下で働きかけを行うことの総称と思ってもらっていいだろう。

日本のメディアも「日本が国連の気候変動報告書に修正要求をした」と報じており、また、世間でも日本が気候変動対策に後ろ向きな働きかけをしているのではないかという形で話題になっている。

ただ、今回の一連の報道に関して、元外交官の見地から分析すると、冷静に見るべき事案だと思っている。しかも、この報道自体が政治的意図を持った報道である、というところも理解する必要がある。

そこで今回は、BBCが報じた概要を紹介した上で、次の3つの論点から詳細を分析していきたい。

  1. 今回の報道は何も驚くべきことではない
  2. この報道は政治的背景を持ったものである
  3. その上で見えてくる日本の立ち位置と日本が進むべき方向について

まずはBBCが報じた内容から紹介したい。

BBCが報じた内容・・・次ページ

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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