航空業界の脱炭素化は本当にできるのか? 本気のANA、出張時のCO2排出を削減する新サービスを展開 | EnergyShift

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航空業界の脱炭素化は本当にできるのか? 本気のANA、出張時のCO2排出を削減する新サービスを展開

航空業界の脱炭素化は本当にできるのか? 本気のANA、出張時のCO2排出を削減する新サービスを展開

2022年02月03日

全日本空輸(ANA)は持続可能な航空燃料(SAF)の活用を通じ、出張でANAの航空機を利用した法人向けに、従業員の出張で発生したCO2の削減に向けたプログラム「コーポーレート・プログラム」を開始した。航空機で出張する企業がSAFのコストを一部負担する代わりに、CO2を削減できたことを証明する証書の発行を受けられる仕組みだ。

航空業界でも進む脱炭素化。ANAのSAFの取り組みは目標達成への戦略となり得るのか、追ってみた。

SAFはなぜ必要?

国際航空運送協会(IATA)では2050年までに航空機からのCO2排出量を2005年比で50%削減することを掲げている。目標を実現するための手段の一つとして、バイオジェット燃料などの持続可能な航空燃料(SAF)の利用がある。

SAFは、廃食油や藻類、一般ごみなどを原料とするジェット燃料で、従来のジェット燃料に混ぜて使われる。

運航の安全性を担保する観点から、現在SAFは従来燃料と上限50%までの範囲で混合するよう規定されているが、原料の収集・生産から燃焼までのライフサイクルでCO2排出量を従来の燃料より約8割削減することができるため、CO2削減目標を実現するうえで不可欠な代替燃料だ。また、空港等で給油する際、既存のインフラをそのまま活用できる点においても評価されている。

ANAは航空機の運航においてSAFの活用をCO2排出量削減策の中心に据えている。

同社は2011年にミドリムシから抽出した油脂や廃油などを原料とするバイオジェット燃料の研究を行っていたユーグレナに出資。その後、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトへ参画しSAFの中長期的な供給に向けて取り組んできた(図1)。2021年6月、藻類が原料のSAFを既存のジェット燃料に混合して搭載し、日本発の定期便(商業フライト)を運航した。搭載した藻類を使ったSAFはIHIがNEDOの事業として開発した。現在は主にフィンランドの企業が製造した廃食油由来のSAFを利用しているという。

図1:ANAのSAF活用に向けた取り組み

2011(株)ユーグレナへ出資。NEDOプロジェクトへ参画。
2019・米国Lanza Tech社とSAFの中長期的な供給に向けた契約締結/三井物産(株)と共同で日本への新造機デリバリーフライトでSAFを使用。
2020・フィンランドNESTE社と、SAFの中長期的な供給に向けた戦略的提携を開始/羽田・成田空港から出発する定期便で使用(日本初)。
・東芝エネルギーシステムズ(株)、(株)東芝、東洋エンジニアリング(株)、出光興産(株)、日本CCS調査(株)と排ガス等からCO2をSAFに再利用するカーボンリサイクルビジネスモデルの検討を開始。
2021・NEDOプロジェクトにおいて(株)IHIが製造した国産SAFを羽田空港発の定期便で使用。
・NESTE社のSAFを商業規模での調達を行い、羽田・成田空港から出発する定期便で使用開始。

出典:ANAのHPをもとに筆者作成

そして2021年10月にSAFの活用を産業横断的に広げるため、航空機を利用する企業と共同でCO2削減に向けて取り組むプログラム「SAFフライトイニシアチブ」を立ち上げた(図2)。

SAFフライトイニシアチブの中身と航空業界の課題とは?・・・次ページ

東條 英里
東條 英里

2021年8月よりEnergyShift編集部にジョイン。趣味はラジオを聴くこと、美食巡り。早起きは得意な方で朝の運動が日課。エネルギー業界について日々勉強中。

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