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日本も電力危機の恐れあり この冬を果たして乗り切れるのか?

日本も電力危機の恐れあり この冬を果たして乗り切れるのか?

2021年12月03日

COP26やガソリン車の将来的な販売停止、炭素税など、2021年は脱炭素にまつわる多くの話題が生まれた年だった。その中でも特徴的だったといえるのが、世界的な電力危機だ。欧州や中国など世界各国で電力不足が生じ、特に中国に関しては、石炭火力発電がその電力危機に大きく関係していることを以前にも解説した。しかしそんな電力危機は、実は日本にとっても他人事ではない。世界で起こった電力危機が、どういう形で日本を襲おうとしているのか、そして厳冬が予測される今冬にどんな影響をもたらそうとしているのか、ゆーだいこと前田雄大が解説する。

実は、日本の電力需給は非常にひっ迫している状況にある

実は、日本における電力危機は、昨年も生じており、その影響から多くの新電力が倒産の危機に陥ったり、実際に民事再生になったりした。そうした経緯もあったため、今年の冬も電力不足は懸念されており、政府も巻き込みながらあらかじめ対策を進めていたのだ。

にもかかわらず、なんと11月上旬から中国・九州・北陸・四国電力の大手4社でLNG(液化天然ガス)が在庫切れ寸前となり、燃料制約からLNG火力の出力を大幅に低下させていたことが、このほど判明した。この点について、経済産業省が燃料在庫の監視強化などの対策を急いでいるが、そのことは一旦、横に置いておこう。

それよりも問題なのは、専門家から「燃料制約がこんなにも簡単に起こるなんて衝撃的だ」という意見が出るなど、再び電力がひっ迫するのではないかという不安が広がっている状況だ。加えて、今年の冬はラニーニャ現象の影響で寒いのではないかという報道も出ている。暖房需要の高まりと燃料制約が合わさり、場合によっては本当に電力不足が生じるという状況になりかねない。

ということで、今回は忍び寄る日本の電力不足について、次の3つの論点を解説したい。

  1. 大手10電力中4社で燃料制約が発生しているという事態の異常性
  2. 気になるLNGの在庫とこの冬の見通し
  3. 迫りくる電力危機に対して今後どうしていくべきか

大手10電力中4社で燃料制約が発生しているという事態の異常性について・・・次ページへ

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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