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「CO2削減ができない、どうしよう」困った小規模サプライヤーが求める答えは米ウォルマートの取組みにあり

「CO2削減ができない、どうしよう」困った小規模サプライヤーが求める答えは米ウォルマートの取組みにあり

2021年10月14日

企業の温室効果ガス排出削減対象は、これまでのスコープ1、スコープ2だけではなく、サプライチェーンや製品のライフサイクルなどを含めたスコープ3にまで広がっている。また、スコープ3での削減が進むことの社会的な意味合いは大きい。こうした中、小売店におけるサプライチェーンでの削減は、今後、大きな課題となってくるだろう。一方で、小規模なサプライヤーは脱炭素に関する調達パワーに欠け、課題が多い。こうした課題に対し、多くの関連サプライヤーを抱える米国のウォルマートは、サプライヤーの削減を支援することを開始した。イオンやセブン&アイなど、日本の小売流通業にとっても刺激となる取組みだといえる。

スコープ3の脱炭素戦略「Project Gigaton」とは

スーパーマーケットチェーン世界大手のウォルマートは、日本では西友に出資していることで知られる。今年3月に楽天などに株式を売却したが、今も15%を保有する。

同社は2005年にハリケーンにより、多くの従業員や店舗が甚大な被害を受け、これを機に気候変動や食料資源をはじめとする環境・社会問題を解決すべく、ESG経営に力を入れており、スコープ1(直接排出)とスコープ2(間接排出)の排出量を2040年までにグローバルでゼロとすることを目指している。サプライチェーンを含めたスコープ3については、2030年までにCO2排出量を10億トン(1ギガトン)削減する「Project Gigaton」が進行中だ。

Project Gigatonは、ウォルマートのサプライチェーン全体で2030年までに10億トンのCO2排出量(2015年比)の削減を目指すプロジェクト。スコープ3における脱炭素化の主要な戦略と位置付けられている。2017年4月にスタートした

プロジェクトの柱は、現在、エネルギー、廃棄物、包装、自然、製品利用の5つのテーマだ(当初は「自然」が「農業」「森林破壊」に分けられており、6テーマだった)。これらのテーマは、ウォルマートが取り扱う商品を横断的にカバーする。

プロジェクト初年度は400社超のサプライヤーが参加し、200社以上が排出削減量を報告。排出削減量はトータルで2,000万トンにのぼった。今年でプロジェクトは5年目になるが、参加企業、報告企業ともに順調に増えている。

2021年7月のウォルマートのESGレポートによれば、2020年には3,100社以上が参加し、そのうち報告を行ったのは1,500社超、排出削減量は4億1,600万トンとなった。10億トンという目標の4割をすでに突破し、プロジェクトは好調のようだ。

参加はサプライヤーの自主性にゆだねられる

Project Gigatonには、商品や原材料の生産、製品利用に関するサプライヤーはもちろん、サプライチェーンの川上・川下のすべてのサプライヤーが参加できる。参加は強制ではなく、参加後の目標設定や排出削減量の報告なども各サプライヤーの自主性にゆだねられる。

参加した全サプライヤーには、専用のポータルサイト「Sustainability Hub」のアカウントが付与される。このポータルサイトでProject Gigatonの目標設定や削減量の集計、報告などを行う。また、削減活動のワークショップに参加したり、必要なリソースにアクセスしたりもできるようになっている。

参加者はこのポータルサイト上で、具体的で、測定可能で、実行可能で、関連性があって、期限付きの目標を設定するよう推奨される。これは英語の頭文字をとって「SMART(Specific, Measurable, Actionable, Relevant and Time-bound)な」目標と呼ばれている。

では、5つのテーマの一つ「エネルギー」は具体的にどのように対応しているのか。

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山下幸恵
山下幸恵

大手電力グループにて大型変圧器・住宅電化機器の販売を経て、新電力でデマンドレスポンスやエネルギーソリューションに従事。自治体および大手商社と協力し、地域新電力の立ち上げを経験。 2019年より独立してoffice SOTOを設立。エネルギーに関する国内外のトピックスについて複数のメディアで執筆するほか、自治体に向けた電力調達のソリューションや企業のテクニカル・デューデリジェンス調査等を実施。また、気候変動や地球温暖化、省エネについてのセミナーも行っている。 office SOTO 代表 https://www.facebook.com/Office-SOTO-589944674824780

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