持続可能な環境保全を掲げる “天国に一番近い島”のエコリゾートとは? | EnergyShift

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持続可能な環境保全を掲げる “天国に一番近い島”のエコリゾートとは?

持続可能な環境保全を掲げる “天国に一番近い島”のエコリゾートとは?

2021年05月30日

連載:世界のエコ・リゾート

“インド洋の貴婦人”の異名を持つモーリシャス諸島。トム・ソーヤの冒険の著者、マーク・トウェインは1896年にこの島に訪れた時に「神は最初にモーリシャスを創り、モーリシャスを真似て天国を創った」という言葉を残したと言われている。

今回ご紹介するバブル・ロッジ・イル・オ・セルフは、そのモーリシャスのセルフ島に佇む、自然との一体感を第一に考えられた、美しいビーチとゴルフ場を備えたエコリゾート。

自然との調和のなかで、息を飲むような景色と質の高い料理、そしてバトラーサービスを提供し、目も口も肥えた富裕層をも満足させるハイエンド・ネイチャーブレイクを可能としながら、一方で、自然愛好家達にも高い評価を得ている。

バブル・ロッジ・イル・オ・セルフの人気の秘密でもあり、非常にユニークな特徴は、このリゾートの宿泊施設が透明のドーム型テントで作られているという点だ。透明ドームは二間、リビングルームとベッドルームが連なり、どの部屋にいても、まるで熱帯の深いジャングルに抱かれて大自然に身を投げ出したような解放感に浸ることができる。それでいて不思議なプライベート感もあり、滞在客はまるで夢と快適さを兼ね備えた理想のハイダウェイに“脱出して”きたような、冒険的な感覚に包まれながら、手付かずの自然とともに時を過ごすことができる。ここがハネムーナーに非常に人気というのも頷ける事実だ。

ところで、一見したところ素材的にもどうにもエコには見えない透明ドームだが、実はこの透明テント部分は100%再生可能な素材で作られているという。また透明テントの素材の重量も一棟分74kgという軽さのため、運び入れる際のCO2排出量も通常の建設物に比べて非常に低く抑えられる。一棟に要する建材も、コンクリートで同サイズの建物を建てた場合に必要な資材のなんと1万分の1。将来施設が老朽化し、撤去する際のことまでを考えても非常に環境に優しい作りだ。

また、ドーム建設の際にもその土地で木の伐採などは一切行わず、自然のままの状態をキープできるロケーションが選ばれているため、まさにワイルドな環境に身を置きたい自然愛好家には、昼は熱帯のジャングルを肌の触れ合う近さで感じ、夜は星空とともに眠ることが出来るという、格好のリゾートとなっている。

コロナ禍で人々の価値観や志向が変わり、また一方で、地球温暖化への対策が急務とされている昨今、もしかしたら今後の旅は、叶うことならこんな“楽園”を選ぶことで、より自然を感じ、より深く地球を思いやるきっかけが生まれるかもしれない。

 

小川直美
小川直美

株式会社afterFIT クリエイティブ・ディレクター 過去○十年、文藝春秋勤務。 週刊誌のファッション&ライフスタイル・ディレクター、旅行誌アドバタイジング・エディター、雑誌マーケティング、文藝誌編集等、多岐に亘る雑誌メディア業に従事。 心の本業はダンサー。

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