狙われる日本の洋上風力市場 イギリスが日本に石炭火力でプレッシャーをかける理由とは | EnergyShift

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狙われる日本の洋上風力市場 イギリスが日本に石炭火力でプレッシャーをかける理由とは

狙われる日本の洋上風力市場 イギリスが日本に石炭火力でプレッシャーをかける理由とは

2021年11月02日

日本でも世間の関心が総裁選に集まり、その結果、新しく岸田政権が発足した。日本がどのような路線を行くかという点について諸外国も関心がそれなりに高かったように見受けられるが、その中で、就任直後の首脳レベルの会話でかなり踏み込んだ内容をぶつけてきた国がある。イギリスだ。10月13日の日英電話首脳会談において、ジョンソン首相は岸田総理に対し、石炭火力発電の停止に向けたコミットメントを発表するよう要請した。なぜ、イギリスは日本の石炭火力に対し圧力をかけてきたのか。元外交官であるゆーだいこと、前田雄大が解説する。

日英電話首脳会談で、石炭火力の停止を突きつけたジョンソン首相

今回は、なぜ、イギリスが日本の石炭火力にプレッシャーをかけてきたのか、簡単に解説したうえで、次の4つの論点について、分析していきたい。

  1. なぜ、イギリスにとって洋上風力が大事なのか
  2. イギリスが日本を狙う理由とは何か
  3. なぜ、日本の洋上風力市場が草刈り場になるのか
  4. 日本にやり返す手はあるのか

まず、なぜ、イギリスが日本の石炭火力にプレッシャーをかけてきたのか?

イギリス側の発表を見るとそれがよく分かる。イギリスのジョンソン首相との電話会談は、最初こそ総理就任への祝辞が述べられたが、その直後、いきなり脱炭素について話題が及んだことが分かる。中でも、石炭火力の使用についてはかなりの強い要請が突きつけられており、きたるCOP26に向けて、日本が国内の石炭火力発電の停止に向けたコミットメントを発表することをジョンソン首相が要請したというくだりは、きわめて異質だ。

そもそもエネルギー政策は国家の安全保障にもかかわる非常に重要な政策であり、本来であれば他国からとやかくいわれる種類のテーマではない。しかし、気候変動対策・脱炭素というテーマは、地球全体、そして未来に対して責任ある行動を取るという名の下に、他国に対して脱炭素を求めるという介入すら、その御旗の下では許されるような風潮が形成されつつある。

そこを最大限使って、世界のエネルギー・経済の覇権争いを展開しているのが欧州勢なのだが、イギリスはこれまでどちらかといえば、このような露骨な干渉は脱炭素ではしてこなかった。そのイギリスが、方針転換をしたのにはいくつか理由があると分析できるが、その中でも特に彼らが狙っている論点がある。それが、日本政府がこれから力点をいれようとしている洋上風力発電だ。

では、なぜイギリスにとって洋上風力がそれほど大事なのか、解説してきたい。

イギリスにとって洋上風力は、なぜ大事なのか・・・次ページ

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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