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大人気ゲーム「ピクミン」はSDGsの世界観満載だった!? #実はSDGsシリーズ file01

2021年11月26日

使い捨てピクミンたちの野望

以上のように、ピクミンに対する一方的な、探検隊からの隷属的な使役ばかり書いてきたが、それに対してピクミンからすれば、この関係におけるメリットってなんだったのだろう。SDGs的に言うと、項目8の「働きがいも経済成長も」。ピクミンたちの働きがいってなんだったのだということだ。

結論から言うと、ピクミンは自分たちでおそらく数を増やすことができないのだ。生殖機能に代わる何かを、誰かに頼らざる得ないように作られた生物なのだと思う。なので彼らの働きがいによる目的は、種の存続にほかならない。

救われた言い方をすれば、SDGs的に言うと、ちゃんと17の「パートナーシップで目標を達成しよう」は成り立っていたのだ。自分たちだけで増える知能もテクニカルもなく困っていたピクミンと、食料で困っていた探検隊とのコラボレーションで、ちゃんと対等だったのだ。


倒したモンスターを肥料(ピクミンってやはり植物かも?)または素材にして、ピクミンをどんどん増やすことができる。いろんな種類のピクミンがいて、水には溺れるが火には強いピクミン、水の中でも生きることのできるピクミン、岩のように硬く重いピクミン、電気の仕掛けで大活躍するピクミンなど。

最後にピクミンへの悲哀とその正体

以下、個人的な疑問で、PNF-404が地球だとして、ピクミン自体ってどんな生き物なんだ?という問題も当然わいてくるわけだ。この舞台となる地球が、これだけ生態系が変わったってことは、「SDGs14 海の豊かさを守ろう」も「SDGs15 陸の豊かさも守ろう」も、人類が相当やらかしちゃった結果なのである。ピクミンはその後の生物進化の結果なのだろうか?

ここで、ピクミンとはちょっと話を変えると、映画「もののけ姫」のラストにて、こだまが一匹ぽつねんと出るシーンがある。あれは宮崎駿監督によれば、そのこだまがのちのち育って、現代社会でトトロになるという設定なのだとか。

こだまとピクミンは似ていなくもないが、ピクミンはさすがにそういうモノノケ的なものではなさそうなので、ぼくが立てているのは、じつはピクミンという生き物こそ、ぼくら人間の成れの果てなのじゃないかという、ちょっと怖い仮説だ。

SDGsがうまくいかなくて、気温も上昇、気候変動に戦争にと滅びた先に、人間のDNAがなんらかの方法でピクミンとして多様性をもって生き延びている。

ぼくらが、ピクミンを遊ぶときに思う、彼らへの悲哀はそんなところが元になっているのじゃないかと、それこそぼくがファミ通にいたころから考えていることだ。いつかチャンスがあったら任天堂の宮本茂さんに確認してみたい。

©2013-2020Nintendo

サワディ・ノダ
サワディ・ノダ

アスキーでパソコン専門誌ログインにて編集者兼ライターデビュー。その後ファミ通グループにてゲーム専門誌のファミ通本誌だけなく攻略本やコミックやライトノベルを含む単行本事業を展開。現KADOKAWAグループ入りしたエンターブレインの常務退任後は、アニメイトグループにて株式会社リンク社長。その後KADOKAWAにて、ゲーム事業責任者。ダビスタや美少女ゲームをはじめ、ソーシャルゲーム、RPGツクールMVなど多くのゲームの開発統括責任者となるも、2020年にまたKADOKAWA退社。太陽光オタクというafterFITのメディアであるエナシフに合流。エンタメ業界にもいまも生息しつつ、そこに脱炭素をからめる野望を持って余生を過ごす毎日。

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