107年前の創業当時から“脱炭素”志向!? 「星野リゾート」の卓越した先見と革新Part.1 | EnergyShift

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107年前の創業当時から“脱炭素”志向!? 「星野リゾート」の卓越した先見と革新Part.1

107年前の創業当時から“脱炭素”志向!? 「星野リゾート」の卓越した先見と革新Part.1

2021/05/03

今年107周年という長い歴史を持つ、日本のホテル界をリードする星野リゾート。しかし、この類まれなグループで創業当初から「持続可能」で「脱炭素」な取り組みが行われてきたことは意外に知られていないかもしれない。この美麗なリゾートに貫く骨太な理念と、その魅力の秘密に迫ってみたい。

連載:世界のエコ・リゾート

創業からの100余年で目覚ましく変化してきたといわれる星野リゾート。現在は4代目代表の星野佳路氏のもと、誰もが一度は行きたいと憧れる圧倒的な非日常感に包まれる「星のや」を筆頭に、温泉文化を現代風にアレンジした「界」、洗練されたデザインと豊富なアクティビティで人気の西洋型リゾート「リゾナーレ」、日本の各都市で街を楽しみ尽くすための都市観光ホテル「OMO(おも)」、そして、仲間とルーズに過ごすホテル「BEB(べブ)」、この5つのブランドを中心に展開され、さまざまな個性あふれる施設を運営する一大グループとして発展を遂げている。

100年以上前に始まった自家水力発電

そんな星野リゾートの創成期は前世紀初頭。別荘地として発展し始めたばかりの軽井沢で、初代経営者の星野国次氏は、「今後、温泉が人々の保養の重要な要素になる」という考えのもと、源泉の掘削を1913年に開始。翌年の1914年に、軽井沢では現在でも珍しい温泉旅館として「星野温泉旅館」は産声を上げた。開業当時は木製の水車を利用した水力発電を活用。1927年には、二代目経営者の星野嘉政氏(当時22歳)が一冊の本を参考にして、本格的なタービン水車で発電することを計画。敷地内の池を貯水池とし、取水・放水路を作り、1929年には自力で近代的な水力発電所を完成させた。現在でもその場所で自家水力発電が稼働し、山と谷、そして水の豊富な長野の地の利を生かした自然に優しい発電をし続けている。

森の中に佇む、星野温泉の自家水力発電所森の中に佇む、星野温泉の自家水力発電所

源泉の採掘から自家水力発電まで、進取の気性がなせる業なのか。軽井沢初のたった一軒の温泉宿から、現在の星野リゾートまでの発展を目の当たりにすると、その先見性と革新の力強さに目が覚める思いがするのは筆者だけではないだろう。

文化と歴史をリスペクトしたリゾート

現在、国内各地に45施設、海外に4施設の計49施設ある星野リゾートの全施設に共通する特徴の一つは、どの国や地域においても、その土地の文化や歴史をしっかりとリスペクトし、魅力と個性を引き出して宿泊客に伝えるため、それらを目につく形で丁寧に分かりやすく表現している点である。

また、その配慮と努力によって各施設と地域との信頼関係が構築され、その相互作用によって「持続可能」な観光地としての競争力が自然にアップする結果にもなっているという。

たとえば、温泉旅館「界 加賀」を訪れた旅人は、江戸時代に“百万石の栄華”と言われた、この地の歴史を映したような壮麗な日本建築の外観にまず圧倒される。

「界 加賀」の紅殻格子が印象的な伝統建築棟は国の登録有形文化財「界 加賀」の紅殻格子が印象的な伝統建築棟は国の登録有形文化財

そしてまた、「界 加賀」は希代の芸術家北大路魯山人ゆかりの地である。魯山人の残した「器は料理の着物」という言葉を大切にした素晴らしいプレゼンテーションが光る料理を食すうちに、おのずからその背景にある文化や来歴にしみじみと思いを馳せることになるのだ。文化を大切に感じ、残したいと思う気持ちが生まれれば、それが本質的に持続可能な営みにつながっていくというのは紛れもない真実だと言えよう。

魯山人の世界観を彷彿とさせる「界 加賀」の夕食魯山人の世界観を彷彿とさせる「界 加賀」の夕食

数年前までは、「持続可能」や「脱炭素」という概念は、一般的に今のように取り立てられてはいなかったはずだが、星野リゾートが大切にしてきた、地域を生かし生かされる営みが、結果として、現在の課題の解決にまで連なっていたという不思議を好ましく思わずにはいられない。

Part.2では、変化を厭わずつねに発展し“持続”し続ける星野リゾートのさらなる取り組みを追ってみたい。

(ヘッダー画像:夕暮れをむかえる「星のや軽井沢」)

連載:世界のエコ・リゾート バックナンバー

小川直美
小川直美

株式会社afterFIT クリエイティブ・ディレクター 過去○十年、文藝春秋勤務。 週刊誌のファッション&ライフスタイル・ディレクター、旅行誌アドバタイジング・エディター、雑誌マーケティング、文藝誌編集等、多岐に亘る雑誌メディア業に従事。 心の本業はダンサー。

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