なぜいま、東京証券取引所は今まであった市場区分そのものを大きく見直すのだろうか。一口でいえば、企業の中長期的な価値の向上、といえるが、裏を返せば日本企業は中長期的な価値があがっていないということになる。
具体的な課題もあげられている。JPXの資料によると、下記の3点が現状の市場の課題として挙げられている。
課題1:各市場区分のコンセプトがあいまいであり、多くの投資者にとって利便性が低い
課題2:上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けの点で、期待される役割を十分に果たせていない
課題3:投資対象としての機能性と市場代表性を備えた指数が存在しない
そして、「我が国経済の持続的成長に向けては、上場会社各社の中長期的な企業価値向上とベンチャー企業の育成が必要且つ喫緊の課題」と資料にある。
それぞれの課題をもう少し詳しくみてみよう。
課題1に関しては、各市場の位置づけ、コンセプトがわかりづらくなっていると同時に、「パッシブ投資隆盛により流動性の低い銘柄の価格形成にゆがみ」があると指摘している。
課題2には、市場第1部へのステップアップ基準は、持続的な企業価値向上の動機付けとして機能しておらず、機関投資家の参入や、新興企業に適した開示制度もうまく働いていない、とある。
課題3に関しては、(多くの投資家がベンチマークにしている)TOPIXは市場第1部の全銘柄で構成されている一方、JPX日経400やTOPIX500等の指数はベンチマークにされていない、という。
出典:JPX
まずはこの3点の課題解決が市場再編の基本にある。つまりは、投資をより活発にするためのてこ入れが必要ということだ。
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