Appleは2021年3月17日、2020年までの過去5年間において発行した3つのグリーンボンドによる調達資金が47億ドル(約5,000億円)にのぼり、1.2GWの再生可能エネルギー発電プロジェクトに投資してきたと公表した。
2015年、パリで開催された気候変動枠組条約締約国会議(COP21)における気候変動に関する歴史的な合意以来、Appleは温室効果ガス排出の削減に向けた世界的な取り組みを支援するために3つのグリーンボンドを発行し、そこで調達した資金を環境保護に投じてきた。
Appleにとって最初のグリーンボンドは、2016年2月に発行した15億ドルとなる。これを皮切りに、2017年6月には、トランプ前政権が発表したCOP21協定からの離脱意向を受け、第2ラウンドとして10億ドル分を発行する。
2019年11月には、3回目となるグリーンボンドを欧州で初めて発行し、2つのグリーンボンドそれぞれで10億ユーロ(米ドル換算で合計約22億ドル)を調達。3回にわたるグリーンボンドによる調達資金は47億ドルにのぼる。
同社発行のグリーンボンド効果報告書(Green Bond Impact Report)に詳述された内容に加え、Appleは継続的に、低炭素の設計および技術、エネルギー効率化、再生可能エネルギー、炭素緩和、炭素隔離を推進する新プロジェクトへの投資を進めている。
Appleはグリーンボンドを通じて調達した合計金額の半分以上となる28億ドルを割り当て、温室効果ガス排出問題に取り組む各種プロジェクトへの投資を継続している。
2020年7月、Appleは同社の全事業、製造サプライチェーン、製品ライフサイクルに至るすべての企業活動について、2030年までにカーボンニュートラル達成を目指す計画を発表した。
Appleは現時点において、すでにグローバルのコーポレートオペレーション(同社事業所における企業活動)でカーボンニュートラルを達成しているが、2030年を期限とする新しい目標は、Appleが販売するすべてのデバイスについて気候変動の影響をネットゼロ(クリーンエネルギー発電等により相殺して実質ゼロ)にする取り組みとなる。
2030年に向けた新たな目標の実現に向けて、Appleは2020年、年間平均92万1,000トン分の温室効果ガス排出削減を目的に計17のグリーンボンドプロジェクトに資金を投じた。各プロジェクトにより世界中で合計1.2GWの再生可能エネルギー発電施設を建設しており、そのうち350MW超の施設は2020年に稼働したものだ。
2020年の1年間だけで、ネバダ州やイリノイ州、バージニア州、そしてデンマークで350MWの発電設備が運転をはじめた。
例えば、ネバダ州リノ郊外には270MWもの巨大なソーラープロジェクトが完成した。Appleのデータセンターに電力を供給するとともに、このプロジェクトは、236のクリーンエネルギー建設関連職を生み出し、ネバダ州ワショー郡に6,000万ドル以上の投資をもたらしたという。
また、デンマークにおいて最大級となる陸上風力発電は、Appleのデータセンターに電力を供給するだけでなく、余剰分はすべてデンマーク国内の電力グリッドに送電されている。
Appleによると、同社が発行したグリーンボンドは民間企業では最大級だという。
Appleの環境・政策・社会イニシアティブ担当バイスプレジデント、リサ・ジャクソン氏は次のように述べている。
「Appleは、私たちが働くコミュニティを支援するプロジェクトを通じて、私たちみんなのものであるこの地球という星を守ることに専心しています。気候変動の影響による事象と闘っていくために自分ができることは何でもするという責任を私たち一人ひとりが担っています。Appleがグリーンボンドの発行により調達した資金47億ドルを再生可能エネルギーに投じることは、そうした努力の大きな推進役になります。究極的に、クリーンパワーは社会に良い影響を与える仕事なのです」。
プレスリリース:Apple、グリーンボンドによる調達資金47億ドルを 1.2ギガワット分のクリーンパワー発電に投資 2021.3.17
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