日本人の食事に伴う1人当たりのカーボンフットプリントは年間1,400kgCO2e (温室効果ガスの種類別排出量合計を地球温暖化係数に基づいてCO2量に換算した排出量)と試算されている(図2)。その中でも、肉類、穀類、乳製品の順でカーボンフットプリントが高く、特に肉類は少ない消費量に対して、全体の約4分の1を占めるほどの高い温室効果ガス排出原単位となっている。
図2:日本人の食に関連するカーボンフットプ リント及び物的消費量の割合(2017年)
出所:令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書
肉類は飼料の生産・輸送に伴うCO2排出に加え、家畜の消化器からのメタン発生等から、その他と比較して高い排出原単位となっているからだ。
特に、牛や羊、ヤギなどは、胃を4つ持つ反芻動物と呼ばれ、食べた植物の消化に時間をかけて何度もくり返す。その際にメタンガスが発生し、ゲップとなり、大気中に出る。
地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの中で、一番問題とされるのがCO2、その次がメタン(CH4)だ。メタンガスはCO2の25倍以上の温室効果を持っている。
大気中のメタンガスの20~30%が、反芻動物のゲップによるものだといわれている。 世界中の牛などの胃腸から排出されるメタンの量は、年間20億トン(CO2換算)。温室効果ガスの実に4%を占め、一つの国の排出量に匹敵すると言われている。 また、飼料の生産や放牧のために行なわれる森林伐採もCO2を増やす原因となる。これらの要素が積みあがって、反芻動物の飼育は多くの温室効果ガスを発生させるとして問題視されているわけだ。
国によって肉の生産方法は異なり、与える飼料の種類や飼育方法によって、畜産の過程で発生する温室効果ガスの発生量は大きく変わる。そのため、排出量は単純比較ができないとされている。例えば、乳牛と肉牛を分けずに飼育する場合は、同じ牛から乳製品と牛肉を得られるため、数字上はキロ当たりの温室効果ガス排出量も減ることになる。
一方で、飼育方法が異なったとしても、牛肉はどんなに効率的に生産しても、豆類などの植物性タンパク質が含まれる食材の50倍から100倍の温室効果ガスを排出するといわれている。また、同じ肉類で比較してみても、全世界の家畜別の温室効果ガス排出量比較図(図3)からも見ても分かるように、牛肉は圧倒的な存在感となっている。
図3:家畜別温室効果ガス排出量
出所:国連食糧農業機関(FAO)
要因として、豚や鶏はメタンガスを排出せず、必要な飼料が牛と比較すると少ないからとみられている。牛の飼育には膨大な量の飼料が使われるが、その生産に用いられる肥料の多くも一酸化二窒素と呼ばれる温室効果ガスを発生させる。さらに、飼料の生産や放牧のために行なわれる森林伐採もCO2を増やす原因だ。これらの要素が積みあがって、反芻動物の飼育は多くの温室効果ガスを発生させる。
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