こういう光景を目の当たりにして、取り放題の着メロサービスは、原価積み上げでサービスを考えていたら、思いつかないサービスだったので、新規ビジネス開発は、着想と発想の転換が必要なんだと初めて教えられた、今から、約20年ばかり前の出来事である。繰り返しになるが、この着メロ取り放題スタイルが、現在流行りの、聴き放題や取り放題サブスクサービスの原型なのでは無いかと考え深げに思う。
サブスクモデルの基本は投資の回収と値付けに集約されるが、そのまえに、以下の5つを
まず考えることを推奨しておく
さらに、これはここに書くべきか悩んだのだが、一番ありがたいというか利益が出るのが
通称「死に会員ビジネス」と呼ぶ人もいるが、表現はあれだけど、間違いなくこの人たちが潜在しそうなサービスは確実に利益率が上がります。カワイイ?表現だと、幽霊会員とも呼ばれる。値段が安すぎて気にしないとか解約し忘れてるとかも含みます。
さて、その後iモードユーザーが劇的に増加していった事もあり、iモードのコンテンツのサブスクモデルは好調に進歩していった。サブスクモデルの事業は通常の事業と違い、急激に会員数が減ることは可能性としては低く、一旦、ビジネスとして立ち上がると、ある程度の売り上げと利益が読みやすく、つまり安定収益になる事業となるため、各社コンテンツプロバイダーさんからは非常にありがたがられた。
ところが、提供するコンテンツ(サービス)自体の権利処理関係の形態から、月額課金ではなく、ユーザーがそのコンテンツを欲しいときにその都度、課金する方法(つまり購入時のみ課金する方式)を懇願されるコンテンツプロバイダーさんも見られ始めた。と言っても、情けないことに都度課金するシステムが、実は当時のドコモには無く、あらたに開発が必要であったのだ。普通のコンテンツサービスであれば、買い切りモデルの都度が基本で、サブスクが発展形という感じで逆なのだが、そこがやはりドコモの特殊性だったわけだ。
コンテンツの権利関係が複雑というのは、着メロサイトとはまた別の、音楽業界のコンテンツプロバイダーさん達で、そのコンテンツというのが、当時大ヒットした、着うたなのだ。時代がうまく噛み合ったと言うか、ちょうど、着メロよりはるかにリッチコンテンツである着うたが出始めた頃に、通信速度が強化された3G(ドコモで言うFOMA)が普及し始めており、着うたサービスのマーケット売上も急激に成長していくこととなる。
単音や2から128音程度の音楽風メロディーだった着メロと違って、着うたの音源はデータ量が大きすぎて、2Gサービスだと着うたを1曲ダウンロードするのにかなりの時間がかかってしまう。しかし、3G(FOMA)サービスが開始されたので、1曲のダウンロード時間が一気に短縮された。つまり、コンテンツプロバイダーやユーザーのニーズに技術が追いついた結果が、着うたというサービスが流行った要因なのだ。ちなみに音楽のダウンロードサービスはPHSがあった時代にも存在したのだが、ダウンロード時間があまりにも長いため全く流行らなかった。
まさに、時代がこの着うたサービスを待っていたかのように、普及し始め、ドコモとしても、iモードサービスにダウンロードの度に課金できる都度課金の仕組みを入れる事になり、瞬く間に着うたサービスは普及していった。もちろん、その後、フル楽曲をダウンロードできるようにもなり、ケータイで音楽をダウンロードして聴くことが当たり前になったのは言うまでもない。
ただ着うたに関しては、前出のように権利処理関係が複雑で、サブスクモデルに移行できないでいたのだ。
時代が早すぎても失敗する例。着うたの取り放題サブスク・・・次のページへ
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