ケータイで音楽をダウンロードして聴くのが当たり前になってきた頃、アメリカで面白いサービスが、始まっていた。それはNapster(ナップスター)だ。ファイル共有のシステムである、当時音楽データを共有するソフトとして大流行したが、やはり、著作権の問題で著作権管理者から訴訟を受け、敗訴となりその後倒産してしまうのであるが、日本では、タワーレコード社がNapsterと組んで、ナップスタージャパンという会社を作り、音楽のサブスクリプションサービスをドコモと協業しドコモの「うた・ホーダイ」サービス内でサービスを開始した。
当時、ケータイ電話で音楽の取り放題サービスという、非常にユニークで画期的なサービスが始まったのであるが、これこそ時代が早すぎたのか、C Dが売れなくなるという不安が理由で、日本のレコード会社からは、楽曲を率先して提供しようという会社は現れなかった。
似たようなことは実は、カセットテープが出たときにも日本の音楽業界から問題視されて起きている。FM放送やレコードをカセットに録音されたら、レコードが売れなくなるという理論だ。だが実際はそうならなかった。レコードを売れなくなるリスクよりも、よりマスメディア化することによる新しいプロモーション効果やマーケットニーズ拡大の価値のほうが遥かに巨大で、売上も利益もでかくなるのだ。
ということで、残念ながら、画期的な音楽サブスクサービスは、ほぼ洋楽(一部日本の楽曲もあったが数えるほどであった)のみで始まった。なぜ日本の音楽がないのだという大勢の要望もありながらも、洋楽ファンを中心にそれなりのユーザーから支持を得るが、米国のナップスター側のシステム上の方針転換に伴い、日本側の都合だけでのシステム構築に莫大な費用がかさむため費用対効果が出ないという事で、そのサービスをわずか4年で閉じることになる。
手元のスマホのアプリで音楽のサブスクがいまや国内外ともに当たり前になってる状況なわけだが、当時を振り返ると、追い風を読み切れず、時代に早すぎてもサービスというのは成功しないのだと痛切に感じた。
音楽業界も変わり技術も進歩して、先日アップルから発表されたが、同社が2018年に4億ドルで買収した音声認識アプリShazam(シャザム)のテクノロジーを使用して、メジャーならびに独立レーベルと協力し、ミックス楽曲に関わるDJ、レーベル、アーティストの間で配信印税を公正分配する方法を開発し終えて、もうすぐ提供を開始するらしい。これは画期的なことだ。着うた1曲の権利処理でサブスクモデルが失敗し、権利処理にひーこら言っていた時代ではなくなり、たくさんの楽曲を使用したDJミックス楽曲の作成に関わるすべてのクリエイターや権利者を簡単に特定して支払いができることにすらなったのだ。ダンスミュージックファンにとっては、超魅力的なサービス拡大になるだろうし、業界的に圧倒的に強豪である音楽配信サービスSpotifyをアップルミュージックが脅かす切り札になるのは間違いないと言われている。
画像参照出典:TechCrunch/Image Credits:Apple Music
さて、今後、本連載では、そんなドコモで学んだドコモ卒業生たちが、現在どんなサブスクモデルをビジネスとしようとしており、かつなんらかの形でサステナブルに貢献している状況や実態を、徐々に紹介していこうと思う。
私が得意としているモバイルサービス系のゲームエンタメの話も交えていくつもりなので、ぜひ期待していただきたい。
(つづく 次回は10月中旬予定)
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