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世界で再び脚光浴びる原子力 不信感が根強い日本の原子力発電の実情とは

世界で再び脚光浴びる原子力 不信感が根強い日本の原子力発電の実情とは

2021年11月19日

世界的な脱炭素の潮流、ガスや電気料金の高騰を受け、原子力発電が再び脚光を集めている。イギリスは2024年までに少なくとも大規模原子力1基の新設を決定すると表明。フランスも数十年ぶりに原子力の新設を再開する。日本もまた、原子力がなければ、カーボンニュートラルを達成できないとし、再稼働および、運転期間の80年延長など制度緩和による既存原発の最大限の利用と、その先に新増設、建て替えを見据える。だが、原発に対する不信感は根強く、原子力政策は停滞したままだ。このままでは日本から原発がなくなるかもしれない。

脱炭素、エネルギー危機から脚光集める原子力発電

COP26における石炭火力の段階的削減に向けた合意に代表されるように、もはや脱炭素は後戻りが許されない状況だ。その一方で、世界的なエネルギー危機は深刻化し、多くの国でガスや電気料金の高騰が止まらない。また新型コロナウイルスからの経済復興に伴い、鉄鋼や木材などの原材料や穀物、食肉などの国際価格も上昇し、消費者生活に大きな影響を与えている。こうした中、脱炭素とエネルギー価格の安定化に向け、発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない原子力発電が再び脚光を集めている。

口火を切ったのはイギリスだった。10月19日、2050年までの脱炭素実現に向けた政策方針を公表。原発を、再生可能エネルギーを補完する電源と位置づけ、2024年までに少なくとも大型原発1基の新設を決定すると表明した。イギリスはガスや電気料金の高騰にもっとも苦しむ国のひとつだ。

フランスは11月9日、数十年ぶりに大型原発の建設を再開する意向を明らかにした。背景にはイギリス同様、天然ガスのひっ迫、それに伴うガス、電気料金の高騰がある。マクロン大統領は、「フランスのエネルギー自給を保証するとともに国内の電力供給を確保し、2050年までにCO2排出量の実質ゼロ化を達成するため、国内での原子炉建設を再開し、再生可能エネルギーの開発を継続する」とテレビ演説で語った。

日本原子力産業協会によると、2021年1月時点における世界で運転中の原発は前年比3基減少し434基となった。建設中は中国16基、インド7基、アラブ首長国連邦の4基など、合計59基あり、計画中は82基ある。原油や石炭、天然ガスなど化石燃料の高騰、それを回避すべくエネルギー自給率の向上、さらに脱炭素も重なり、原発開発は加速していく模様だ。

国際原子力機関(IAEA)は9月16日、2050年時点の世界の原発発電容量が、技術革新や各国の気候変動政策が進む楽観的シナリオ予測では、2020年の3億9,300万kWから倍増し、7億9,200万kWになると公表した。前年予測から7,700万kW引き上げており、上方修正は2011年の福島第一原発事故以降、はじめてだという。


出典:日本原子力産業協会

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藤村朋弘
藤村朋弘

2009年より太陽光発電の取材活動に携わり、 その後、日本の電力システム改革や再生可能エネルギー全般まで、取材活動をひろげている。

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