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拡大するグリーンボンド 2022年には世界で1兆ドル予想 国内では自治体の動きも活発に

2021年11月15日

国債・ソブリン債の急拡大

グリーンボンドの急拡大には、直近の大規模なグリーンボンド国債が影響している。

COP26のホスト国であるイギリスは9月にAA格の100億ポンド(136億米ドル)のグリーンボンドを発行。10倍を超える人気となった。さらに10月のEUのAAA格の120億ユーロのグリーンボンドも11倍の人気をつけた。英国は60億ポンドの追加グリーンボンドを、EUも今後さらにグリーンボンドを発行し、2,250億ユーロのグリーンディールに使うとしている。

こうした国債を含む政府発行主体である、いわゆるソブリン債は2021年に大幅に増加した。その人気ぶりから、グリーンとプレミアムを掛け合わせた造語、グリーンニアムということばもできているほどだ。

クライメート・ボンド・イニシアチブでは、国によるグリーンボンド発行にはいくつかの利点があると報告している。

ひとつは、グリーンボンドのフレームワークを使い、予算を再チェックする必要があるため、政策が本当にグリーンになっているかのギャップが判明するということ。実際に、チリでは政府支出を明確にする必要から、建築基準法の改定が行われた。

こうしたとき、グリーンボンド発行主体は現在のところ、EUのタクソノミー(分類法)を参考にすることが多い。そのタクソノミーの優先事項(気候変動の緩和、気候変動への適応、水の管理、循環経済、汚染、生物多様性)に対し、支出がどれだけ「グリーン」か、予算項目に照らし合わせることができる。このタクソノミーは現在EUと中国が先行しており、「コモングラウンドタクソノミー」という報告書を今年11月、共同で出した。

もうひとつの国によるグリーンボンド発行の利点とは、新興国の資金集めに有効なことだ。

IEAのWorld Energy Outlook2021ではネットゼロ達成に必要な4兆ドルの追加支出のうち、7割が新興国、発展途上国で必要になるとしている。

2021年に始めて発行された国が発行体となるグリーンボンドは、セルビア、ベナン共和国、ウズベキスタンなどがあった。ベナン共和国はアフリカで始めてのSDGsソブリン債で、国際資本市場協会(ICMA)のサステナビリティ・ボンド原則に沿ったものだ。国連開発計画(UNDP)、ドイツ国際協力機構、国際通貨基金(IMF)の支援を受けて5億ユーロを発行した。

今後も新興国の気候変動対応の資金集めとして拡大すると思われる。

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小森岳史
小森岳史

EnergyShift編集部 気候変動、環境活動、サステナビリティ、科学技術等を担当。

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