北尾トロの 知らぬがホットケない 第9語 SDGsの13番(気候変動)の巻 | EnergyShift

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北尾トロの 知らぬがホットケない 第9語 SDGsの13番(気候変動)の巻

北尾トロの 知らぬがホットケない 第9語 SDGsの13番(気候変動)の巻

2021/07/23

『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』『夕陽に赤い町中華』などでおなじみの北尾トロさんの連載。カーボンニュートラル?脱炭素?SDGs??という自称・脱炭素オンチの北尾トロさんが、「知らぬが仏」にしておけないキーワードを自ら調べ上げ、身近な問題として捉えなおします。今回のキーワードは・・・

知らぬがホットケない 第9語 SDGsの13番(気候変動) の巻

札幌の最高気温35度!

梅雨が明けたと思ったら猛烈な暑さが襲いかかってきた。涼しいイメージのある北海道の札幌が最高気温35度に達し、ニュースにもなったが、個人的にそれほどの驚きはなく、「もう以前の北海道じゃないもんな」と思ってしまう自分がいる。日本だけではなく世界のあちこちで猛暑や寒波、水害や干ばつなどの自然災害が起き、そのことに慣れつつあるのが怖い。

気象庁では、過去30年の気候に対して著しい偏りを示した天候を異常気象と定義している。以前ほど使われなくなった感じがするのは、偏った天候が珍しくなくなってしまったためかもしれない。

今回のお題はSDGs(持続可能な開発目標)の13番、「気候変動に具体的な対策を」にしてみた。暑さやゲリラ豪雨、台風といった自然の脅威をもっとも身近に感じることのできるこの時期、気候の話は話題になりやすい。そして、気候変動が話題になるときに欠かせない知識が、その主要な原因の一つとされる"地球温暖化"だ。もはや定着した感もあり、挨拶代わりに使われている。

「毎日暑くてやってられないね。昔は最高気温が30度を越えたら『今日は暑い』といったものだけど、最近は35度とか普通にあるじゃない」

「40度を超えるところもあるからね。地球温暖化の影響だよ。これ以上おかしくなったら、日本はそのうち人間が住めなくなるんじゃないの?」

「お互い、熱中症には気をつけよう」

地球温暖化はSDGsの中でも危機感を共有しやすいテーマ

二酸化炭素などの温室効果ガスが上空を覆うことで地球の温度が上がるといった知識はなくても、肌で感じた危機感がみんなにあるので共通の話題に上りやすく、関心も高いのだ。17項目あるSDGsは、どれをとっても重要なものばかりだが、地球温暖化の問題は、みんなが実感を持ち、危機感を共有しやすいテーマではないだろうか。

温暖化で北極の氷がどんどん溶けだしている。そのため、ホッキョクグマが絶滅の危機に追い込まれようとしている。また、氷河が解けたり温暖化による海水の膨張で海面が上昇し、ツバルのように水没しそうな国では高潮や洪水の被害が増えて他国への移住者が増えてきているのが現実。

具体的な数値も挙げておこう。1901-2010年の約110年に上昇した海面は19cm。たったそれだけと思う人がいるかもしれないが、たったそれだけでも消滅しそうな国や地域が出てくるのだ。

今後、気球の気温がますます上がり、海面が1メートル高くなったと仮定すると、ツバルはもちろんモルディブやマーシャル諸島まで沈むばかりか、インドネシアの首都ジャカルタが水没し、アメリカではホワイトハウスさえも海に沈んでしまうというシミュレーションさえある。そうなれば当然、島国の日本にだって影響があるはずだ。

なんとかしてこれ以上の温暖化にストップをかけないと、「毎日暑いね」じゃ済まなくなる。温暖化は他人事じゃなく、自分に直接降りかかってくる問題。だからこそ、世界が協力して目標数値を定め、達成に向けて努力し、気温の上昇をできるだけ抑えていく必要があるわけだ。

とんでもないと思うようなことも起きるときは起きる

2、3年前ならこういう話を聞いても、「ちょっと大げさじゃないか」「最悪のシナリオを想定しすぎ」といったリアクションが少なくなかったと思う。みんな日々の生活に追われて、頭では理解できても、地球全体のことを考えることに不慣れだった。

しかし、幸か不幸か、状況は変わってしまった。言うまでもなくコロナ禍、COVID-19による世界的なパンデミックのせいだ。

SF映画みたいなことが現実に起こり、世界中がパニックになれば、その波は否応なく自分の元へも押し寄せる。人との接触を恐れる気持ちが芽生え、親しい人とも気軽に会うことができなくなってしまった。出かける時にはマスクを装着し、人と距離を取り、同僚の顔はリモートで見る。それが新しい日常となっていく。あっという間に、それまで常識とされていたものが失われたのだ。その間、我々にはワクチンの登場を待ちながらおとなしく暮らす以外の選択肢がなかった。

そして学んだ。とんでもないと思うようなことも起きるときは起きる。いったんそうなれば、積み重ねてきた日常は、いともたやすく崩れ去る、と。

コロナ禍以前なら温暖化を気にかけなかった人も、いまなら真剣に、気候変動がもたらすリスクと、それを減らすための目標数値や達成するためのプランに耳を傾けるのではないだろうか。

あ、でも別の問題があった。こういうことって、みんなの心に響くように話せるリーダーがいないとね。となると、SDGsの13番を前に進めるための第一歩は…。

カンペの棒読みじゃなく、自分の言葉で話すことのできるリーダー、急募!

北尾トロ
北尾トロ

ライター。1958年福岡県生まれ。体験・見聞したことをベースに執筆活動を続けている。趣味は町中華巡りと空気銃での鳥撃ち。 主な著書に『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』『ブラ男の気持ちがわかるかい?』(文春文庫)『猟師になりたい!1~3』(信濃毎日新聞社、角川文庫)『夕陽に赤い町中華』(集英社インターナショナル)などがある。