2021年10月31日から11月13日(1日延長された)にかけて、英国グラスゴーでCOP26(気候変動枠組み条約第26回締約国会議)が開催された。新聞などの報道では、採択された文書で石炭に関する表現が弱まったことなどが注目されている。しかし、その背後には先進国と途上国との対立にあって、先進国は中国とインドに譲歩せざるを得なかったともいえるだろう。COP26では何が議論されたのか、政府間交渉を中心にお届けする。
英国グラスゴーにおいて1年遅れで開催されたCOP26だが、日本国内での報道は例年と比べても多かったのではないだろうか。それだけ、国内での気候変動問題への関心が高まっているということなのだろう。もっとも、石炭火力発電の問題ばかり注目され、本質的な問題は理解されていないのではないかとも感じる。
また、パリ協定が採択されたCOP21以降は、政府間交渉は現実の追認という議論になっており、気候変動問題の未来をリードしているのはサイドイベントになっている。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「1.5℃特別報告書」が議論の方向を決定づけたし、ファイナンスの面から気候変動対策をドライブしてきたのは国際的な金融業だ。そして「共通だが差異ある責任」を南北問題ではなく世代間問題として定義しなおしたのは、グレタ・トゥーンベリ氏に代表される若者の活動だった。
このような見方に立ったとき、COP26の政府間交渉に期待できる成果は、「削減目標」と「資金拠出」の2つのコミットメントがいかになされるのか、ということにつきるのではないか。各国が聞こえのいいコミットメントを行う競争が行われる、ある種の政治ショーだともいえる。それでもコミットメントが積み重ねられることで、気候変動対策は前進していく。
COP26で注目されていた2つの論点・・・次ページ
エネルギーの最新記事