中国に異変が起きている。中国といえば、カーボンニュートラルを掲げたとはいえ、2030年までの目標は、CO2排出量を増やす方向を示唆しており、引き続き、CO2を排出しながら、経済を優先する模様だが、石炭火力をめぐって、2つの異変が起きている。一つ目は、気候変動界隈では衝撃の大きかった中国による石炭火力支援の停止。二つ目が中国における深刻な電力不足だ。すでに日系企業の工場の操業にも影響が出ている。なぜ、中国がこのような状況に至ったのか、ゆーだいこと前田雄大が解説する。
エナシフTV連動企画
目次[非表示]
中国で起こった2つの異変はいずれも、脱炭素が関係している。
一方で、「こんなことがあるのか?」という違和感がある事案でもある。中国がこんなにも簡単に、こうした状況を招くのか、という違和感だ。
筆者が外交官人生で学んだのは、違和感があるときには、必ず理由がある、ということだ。なぜ、そんなことが? というときには、必ず背景に理由がある。
今回の異変、米中対立の文脈の中で起きたことであるが、石炭火力の支援停止については、何か中国にとって決定打となったものがある。そして、国内電力不足はもっと深い中国の思惑がある。そしてその両者は関連していることが見えてきた。
それを紐解くと、中国が直面する窮地とともに、長期的な国家ビジョンも見ることができる。今回は中国の思惑についてお伝えしたい。
まず、中国の石炭火力支援停止について解説をした上で、次の3つの論点について分析をしていきたい。
なぜ、中国は石炭火力支援停止を表明したのか・・・次ページへ
エネルギーの最新記事