連載「変わりゆく地球」 アイスランド 南部 ヴァトナヨークトル氷河【第1回】  | EnergyShift

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連載「変わりゆく地球」 アイスランド 南部 ヴァトナヨークトル氷河【第1回】 

連載「変わりゆく地球」 アイスランド 南部 ヴァトナヨークトル氷河【第1回】 

2021/06/30

今この瞬間に、地球上で永久に失われてしまうものがある。

温暖化によって地球上の壮大で記憶に残る風景が消失している。果てしない氷河、動物の楽園、海の産物──。コロナで海外旅行がままならない今、地球上のかつてあった美しい風景、地球の宝を守るべく、かの地に想いを巡らせてほしい。

連載「変わりゆく地球」

氷河が伝えるタイムリミット
氷の国アイスランドで消えゆく氷河

以前は手前の氷河湖も厚い氷河で覆われていた。土砂で黒ずんだ氷河の縁をハイキングする観光客たち ©Hiroaki Oyamada以前は手前の氷河湖も厚い氷河で覆われていた。土砂で黒ずんだ氷河の縁をハイキングする観光客たち ©Hiroaki Oyamada(クリックすると別ウィンドウで開きます)

火と氷の島と呼ばれるアイスランド。年間を通して冷涼な気候で、活発な火山活動が見られるため、日本の温泉地をはるかにスケールアップしたような景色が各地で見られる。

南部に広がる氷河は国道1号線からも見ることができるほど近い ©Hiroaki Oyamada 南部に広がる氷河は国道1号線からも見ることができるほど近い ©Hiroaki Oyamada (クリックすると別ウィンドウで開きます)

アイスランドはハリウッド映画のロケ地としても人気で、氷河が登場する有名作品としては『インターステラー』『バットマン ビギンズ』『007ダイ・アナザー・デイ』などがある。人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』にも南部エリアがたびたび登場する。

現地を訪れるとすぐ近くに見える氷河の景色に圧倒されるが、アイスランドでも氷河の後退が進行している。

2019年8月には、2014年時点でもはや氷河とは言えないとされたオークヨークトル氷河Okjokullを追悼する式典が開かれた。氷河があった場所に「未来への手紙」が刻まれたプレートが設置され、これからの未来に対策を講ずるべきであること、それが実行されたかは後世の人々のみ知ることだというメッセージが示された。

氷のコンディションが変わりやすく危険な場所もあるので、必ず専門ガイドとともに行動すること ©Hiroaki Oyamada氷のコンディションが変わりやすく危険な場所もあるので、必ず専門ガイドとともに行動すること ©Hiroaki Oyamada(クリックすると別ウィンドウで開きます)

南部にはヨーロッパ最大のヴァトナヨークトル氷河が広がり、その支流の氷河で体験できるトレッキングツアーが人気だ。冬は真っ青な氷の洞窟アイスケーブの観光ができることでも注目を集めている。

氷河トレッキングは初心者でも体験できるが、氷の状態が日々異なり、危険な場所もあるのでガイドツアーへの参加をおすすめしたい。首都レイキャヴィークからの送迎がついたツアーも催行されており、装備一式を借りることができる。ガイドからそのエリアの自然についての説明を受けられるのもツアーの魅力だ。

氷河は年々後退しており、トレッキングのスタート地点までかなりのハイキングを必要とする場所もある。写真のトレッキングは2018年9月上旬の体験。冷たい雨が降り足元の氷もつるつるだったが、ガイドのルーティングと歩き方の注意に従って、安全に2時間弱のハイキングを楽しむことができた。

氷河トレッキングは現在も人気のアクティビティで、氷河の上に立てばそれが近い将来消滅することなど想像もできないかもしれない。しかし、たった10年前の同じ場所にはすでに氷河はなく、泥水の氷河湖が広がる場所が増えている。将来、氷河トレッキングは一部のエクストリームアスリートのみが楽しめる体験となるかもしれない。タイムリミットを迎える前に現地を訪れ、氷河を踏みしめてその貴重さを感じてほしい。

 

*第2回はこちら「グリーンランド イルリサット・アイスフィヨルド

小山田浩明
小山田浩明

スイス・北欧に強い旅行ジャーナリスト兼カメラマン。 株式会社ダイヤモンド・ビッグ社で、海外旅行ガイドブック『地球の歩き方』プロデューサーとして52ヶ国のガイドブックを担当。特にスイス、北欧、オーストラリアの取材経験が豊富で、プライベートでも頻繁に渡航。各エリアをそれぞれ25回以上、200泊以上滞在する。 1990年代頭の第一次オーロラブームの頃から極地を訪問してオーロラの撮影を行っていたが、2015年8月にホッキョクグマの王国スヴァールバル諸島を訪れ、流氷でお昼寝中のホッキョクグマと遭遇。以降、極地の気候変動にも強い興味を抱き、現地取材を継続しその変化を追い続けている。 2018年からはVR動画によるロケもスタート。アイスランドやスイス、グリーンランドでの収録を実行し、ガイドブックや雑誌からVR動画を見られる仕組みも作った。 現在はフリーランスのフォトグラファー、VRクリエイターとして活動。バーチャル旅行やウィズコロナ時代の旅行の楽しみ方を模索している。 ●YouTubeチャンネル Travel the world in VR https://www.youtube.com/c/TraveltheworldinVR