グローバルメディア企業・コンデナストのサステナビリティ戦略にみる社会の変化 | EnergyShift

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グローバルメディア企業・コンデナストのサステナビリティ戦略にみる社会の変化

グローバルメディア企業・コンデナストのサステナビリティ戦略にみる社会の変化

EnergyShift編集部
2020年07月06日
2020年5月にサステナビリティ戦略を発表したグローバルメディア企業、コンデナスト。VOGUE、GQ、WIREDなどを展開するコンデナストはなぜ、大きくサステナブルへと舵を切っているのか。

メディア企業はサステナブルか

メディアとサステナビリティ。このふたつは、近いようで、実はあまり検証されてこなかったのではないか。

雑誌やテレビといった、いわゆるメディアはこう言う。「SDGsを重視しましょう。気候温暖化に歯止めをかけなければいけません」。しかし、メディア企業自身は果たしてサステナブルなのか。 

それは「よくわからない」、というのが日本の現状だ。なぜよくわからないのか。自己検証されていないからだ。

テレビ局や出版社は、自分たちがどれだけのGHG(温室効果ガス)を排出したのか、明らかにしていないか、少なくともおおっぴらにはしていない。CSR報告書には理念や方向性は書いてあるが、第三者機関を使ったり、数値目標を明確にするところは稀だ。

VOGUE、GQ、WIREDなど名だたるブランドを擁し、雑誌やウェブサイト、ビデオシリーズ、そして近年では強力な "エクスペリエンス(体験型イベント)" も展開しているグローバルメディア企業・コンデナスト(Condé Nast)が、2020年5月にリリースを出した。それは詳細な環境アセスメント報告書と、数値目標を伴った5ヶ年計画、2030年までのロードマップの発表だった。
さらにはファッションメディア業界向けの用語集(グロッサリー・小辞典の意味)を、時期を同じくして発表。これは明らかに、今までのメディア企業による気候変動への対し方とは一線を画すものだ。

なぜいま、「メディア企業」であるコンデナストが気候変動対策を大きく打ち出してきたのか。メディアと気候変動、サステナビリティとの関係は変化しているのだろうか。

コンデナストは2018年にCO2相当量341,233トンの温室効果ガスを排出した

コンデナストがリリースした環境アセスメント報告書は、同社が事業展開している12の国や地域*1を対象にしている。調査はスウェーデンの国立研究機関「RISE」と、サンフランシスコの非営利コンサルタント「BSR」が協力してまとめられた。

報告書では、オフィスなどの自社設備などを通じたGHG排出量と、サプライチェーンからの排出量を分けて記載するなど、分析の対象(スコープ)が明確化されている。その中で、事業活動で最も多くのGHGを排出しているのは雑誌の紙の調達や印刷、配本を含むサプライチェーン全体によるものであるとしている。一方で、サプライチェーンに加えオフィスなどの自社設備での電力消費や、間接的ではあるが出張の際の飛行機での移動でもGHGを排出しており、改善の余地があるとレポートしている。


コンデナスト環境アセスメント報告書より:Scope1はオフィスの冷暖房、Scope2はオフィスでの使用電力、Scope3は出張


コンデナスト環境アセスメント報告書より:Scope1は物流工程、Scope2は製紙と印刷過程、Scope3はインクの生産など直接管理していない供給源からのもの

この報告書を踏まえ、コンデナストのサステナビリティ戦略*2がまとめられた

このサステナビリティ戦略は、2021年までに自社設備などのGHG排出量を20%、サプライチェーンで10%削減し、2030年までにカーボンニュートラルを目指しており、パリ協定を20年前倒しする「野心的な目標」になっている。ほかにも2021年末までに紙をFSC認証100%にすること、2025年までにすべてのリサイクルできないプラスチック梱包を撤廃するとある。

メディア企業がここまで具体的な気候変動対策を行う理由はなにか。コンデナスト・ジャパン経営企画室・統括ディレクターの藤代聖彦氏は、こう語る。

「コンデナストは、考えられる最高の水準でクリエイティブなコンテンツをつくることに努めてきました。ユニークな視点でファッションやライフスタイルが語られる“ファッション・ジャーナリズム”シリーズ、最先端のテクノロジーや社会の変化の兆しを紹介するロングリード、ダイバーシティーやインクルージョンについての新しい視座を提示するコンテンツ(VOGUE CHANGE)などを日本でも積極的に発信しています。オーディエンスをインスパイアし、人々の意識や行動、社会が良い方向に変わっていくことに貢献したいと考えているのです。 “人間の世界”で変化を起こすことは私たちの存在意義のひとつだと思っています」。

今回の報告書では、さらに進んだアプローチが取られたという。

「今回の報告書や発表は、もう少し進んで、“自然の世界”の中でどうやったら私たちも前向きな変化を起こしていくことができるのか、ということが指標化されたものです。私たちは、企業としてはコンテンツ発信者ですが、個人としては同じ地球に住む人間でもあり、またある時は家族や地域のコミュニティーの一員でもあります。そうしたどの局面でも、同じように地球環境、気候変動には責任が伴うと考えています。

本質的にはオーディエンスとメディアという区別はなく、気候変動に対して皆がそれぞれの立場で真摯に向かい合わないといけないものだと思います。メディア企業としてのコンデナストは、私たちも地球環境に影響を及ぼす生態系の一部であることを改めて認識し、コンテンツやストーリーによってより正しい知識を広め、目標値を持ちながら自らも変わっていく余地があると考えているのです」。

地球やみんなのためのことを、みんなも、わたしたちも考えている

前述のようにファッションやライフスタイルに強い同社だが、地球環境に対しての具体的なアプローチはどのようなものだろうか。

「私たちにとっても未知のことはたくさんありますが、専門家のアドバイスも取り入れながら活動しています。また、リサーチやディスカッションを通じて読者の皆さまの感情や振る舞いの変化から学ぶこともたくさんあります。私たちのコミュニティーは、私たち自身の考えやストーリー、業界や社会や人々の動き、そこから見えてくる変化の兆し、といったものも含め、いろいろなことが混ざりあいながら形成されているのです。

だから、地球規模の問題に関しては、何か正解のようなものを一方的に提示するというようなアプローチを取るというよりも、"一緒に考える場"(VOGUE CHANGE)をつくり、"時代を記録する役割"(GQ JAPAN)、全うしてフェアで多様な視座を提供し、"正しい問い"(WIRED日本版)を持てるように情報発信していくことが大切だと思っています。『地球やみんなのためのことを、みんなも、わたしたちも考えている』というアプローチで進んでいきたいと考えています。

インターネットやデジタル・ネットワークで世界が近くなったものの、フェイクニュースで世界が分断され、コミュニティーや個人同士が傷つけ合うような局面もたくさんあります。
玉石混交かつ清濁併せ持つ "グローバル・ビレッジ*3" があるとするならば、そこで正しい情報を発信し、コミュニティー全体がよりポジティブな方向に具体的に向かっていくように人々をインスパイアするジャーナリズムの役割はますます重要だと考えますし、コンデナストが果たす役割は非常に大きいはずだと考えています」。

”時代を記録する" GQ JAPANの最新号では、新型コロナ禍でのメッセージが集められた

* 1 イギリス(ロンドン本社)、アメリカ(ニューヨーク本社)、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコとラテンアメリカ、ロシア、スペイン、台湾。ロンドンとマドリードに所在するコンデナスト・カレッジ・オブ・ファッション&デザインを含む。
* 2https://stag.condenast.com/sustainability-strategy
* 3 メディアの発達によりコミュニケーションの障壁(時間的・空間的)が小さくなることで、世界中がひとつの村のようになるという概念。マーシャル・マクルーハンによって広まった。

ニーズ分析とクリエイティブ、コミュニティーづくりと多彩なビジネス展開

コンデナストはいわゆるハイブランド/高級誌を多く展開しており、取り上げるファッションもラグジュアリーブランドがほとんどだ。そのコンテンツも非常にクリエイティブで、読者の先を行き、流行を牽引するメディアだとの印象が強いが、実はそうではないらしい。定期的に世界規模のオーディエンスリサーチを行い、オーディエンスニーズとコンテンツクリエイティブのサイクルをつくりあげている。

サステナビリティについての動きが活発化しているのも、そのリサーチに負うところも多いと藤代氏はいう。調査では過去1年間で「サステナビリティが重要だと思うかどうか」という設問に対して、日本では7割程度のVOGUE読者の意識が増加してきているそうだ。

もちろん各国でサステナビリティについての関心は異なっていて、例えば日本の読者はプラスチック・リサイクルやフードロスが関心事項の上位に来ているのに対し、イギリスやアメリカ、台湾では気候変動が上位に来ている。

このような調査結果をもとに、各国のサステナブルコンテンツを調べ、次に役立てる。
「オーディエンスも気候変動を重視しているようになってきたよね」という事実を定量・定性的に確認しつつ、世界戦略にいち早くつなげている。

“コロナ時代”のオーディエンスや求められるコンテンツについてもリサーチが行われ、エディトリアルチームやセールスチームへとフィードバックされているという。

コンデナストのオーディエンスリサーチ グローバル・サーベイより

このようなサイクルは、より良いコンテンツ発信とオーディエンスのグロースにつながり、ひいてはコンデナストの広告事業にも大きな効果を上げている。
世界で雑誌の広告収入が落ち込み、日本も同じくダウントレンドとなって久しいが、コンデナスト・ジャパンの業績は右肩上がりに向上し続けてきたという。

「コンデナストは、世界31の市場で事業を展開しています。全世界で、印刷物で8,400万人、オウンドサイトで3億8,500万人、ソーシャルネットワークで3億9,000万人のオーディエンスにリーチしており、ビデオコンテンツは毎月10億回以上視聴されています。日本でも『VOGUE JAPAN』『VOGUE Girl』『VOGUE Wedding』『GQ JAPAN』『WIRED』日本版を通じ、サステナビリティに関するコンテンツも含め、オーディエンスの「日常」に向けて「より豊かに、心を活気づけるような」コンテンツを発信しており、コンデナストの強力なアセットであるオウンドサイトでは月間約1,300万人、ソーシャルネットワークでは約1,000万人の方々にコンテンツを届けています。

広大なリーチとオーディエンスとの深いエンゲージメントは、クライアントにとっての信頼にも繋がっていて、それが強固な広告事業を継続できる理由にもなっています。
数値や、メディアとクライアントの関係というだけではなく、そこでコンテンツ制作を担うクリエイターや、コンテンツを好きでいてくれるオーディエンスコミュニティーを含め、ともにトレンドやカルチャーをつくりあげるパートナーだという感覚もあり、そういった定性面も含めた強みがあると思います。

その中で、自分たちがさらによい方向へ行くために変わらなければいけない。よい方向、とは収益だけではなく、サステナビリティへの対し方も含まれます。その意味で、具体的に課題を解決し、世の中の変化を象徴する存在になりたいと思っています」(藤代氏)。

さらに、コンデナストの動きで目立つのが、B2C事業だ。各国VOGUEなどのファッション誌だけではなく、高級文芸誌「The New Yorker」などでもサブスクリプションは紙もデジタルも好調で、B2Cにも力を入れていく方針だという。

日本では、『WIRED』日本版によるコンテンツ・サブスクリプション「WIRED SZ Membership」が昨年秋にローンチしているが、今後も様々なB2C領域での活動も増加させていくという。他メディア企業が、サブスクリプションと広告事業のバランスに悩む中、データを見ながらオーディエンスの期待を超えるクリエイティブをつくり、コミュニティーを構築し、それによる広告事業の強化、そしてB2Cビジネスのスタートと、理想的な事業展開をしているといえる。

『WIRED』日本版 WIRED SZ Membership

ファッション・グロッサリーに込められたもの

サステナビリティ戦略は4つのフェーズがある。フェーズ1は主にGHGに関する目標で、2030年までにカーボンニュートラル、グリーン電力の購入などが定められている。フェーズ2ではサプライヤーとの調達アプローチの見直し、フェーズ3では紙と包装材に関連するものだ。

最後のフェーズ4では、コンデナストを「業界内やオーディエンスに向けて、サステナビリティの提唱者としての地位を確立すること。そのための専門知識を強化し、一般読者に信頼される代弁者となること」としている。ここからできたのが、ファッション・グロッサリー(用語集・小辞典)のプロジェクトだ。

コンデナストとロンドン芸術大学との共同プロジェクトであるこのウェブサイトには、ファッション業界におけるサステナビリティの250もの用語が収められている。ファーストリリースは英語のみだが、各国語版、語彙の拡充などの進化を続けていくものになるという。

「サステナビリティをテーマにしたコンテンツを制作し、発信するとき、専門的で正確な知識がすべてのライターや編集者に備わっていたかというと、必ずしもそうではありませんでした。発信者として、外部の専門家を招いて学びながら、サステナビリティに関する知識を身に付け、正しい言葉で発信する必要がありました。特に各国の『VOGUE』の編集長たちは、ファッションにおけるサステナビリティを語り、変化を起こしていく担い手として問題意識を持っていて、それがこのプロジェクトの出発点になっています」(藤代氏)。

例えば、CO2 Emissionsの項目を引くと、このような感じだ(翻訳はEnergyShift編集部試訳)。

CO2排出量(CO2 Emissions)CO2排出量とは、二酸化炭素(CO2 )が大気中に放出されること、その量を指します。CO2排出量は、化石燃料やバイオマスの燃焼、土地利用や管理、工業生産と連動しています。CO2 は主要な温室効果ガス(GHG)として、地球上の放射線バランスに重大な影響を与え、地球温暖化や気候変動に大きく貢献しています。ファッション産業は、このCO2排出の主要な発生源となっています。これらは、特に合成材料の生産に関連しています。また、非常に大量でかつ早期に廃棄されるアイテムが焼却、または埋め立てられたりすることにも関連しています。


コンデナストがファッション業界のサステナビリティ情報をオープンにすることで、自社を含めたクリエイティブ側の正しい理解、正しいコンテンツの提供、さらには教育のしくみになる。これがこのプロジェクトの本質だ、と藤代氏は言う。だから、他メディアがこの用語集を参照し、利用していくことも視野に入れて、この用語集はクリエイティブ・コモンズのライセンスで展開されている。今は啓蒙フェーズだが、次のステップとしてプロダクトになる可能性も十分にあるという。メディア企業の面目躍如である。

コンデナスト The Sustainable Fashion Glossary

サステナビリティを、社会に“実装する”

メディア企業のサステナビリティ活動には、もうひとつ重要なことがある、と藤代氏は語る。

「こうしてステイトメントができて、グロッサリーができて、コンデナスト・グローバルでいろんな活動がはじまっていますが、実際は実践していくことがすごく重要ですよね。
コンデナストは、メディア企業なのでリリースの発表もインパクトを持って社会にアピールできる。でも、それ以上に、日々の生活レベルで私たちみんなが工夫をして、実践していくことが本当に重要だと思います。

戦略は駆動されないと意味がないので、戦略と駆動はほぼイコールなものだと思っています。駆動されるためには、戦略は「適切な言葉」で人々に広がっていく必要があると思います。今回、サステナビリティについて情報発信するときの基準となる用語集が最初にできたことは、日本の担当者としても嬉しいです。

『WIRED』日本版の編集長・松島(倫明)の言葉を借りると、駆動、ということは、「社会に実装していく」ということだとも言えると思います。最新号、Vol.37では、「BRAVE NEW WORLD SFがプロトタイプする未来」という特集になっていますが、また一つ新しい実装についての視座が得られるのではと思います」。

グローバルでは雑誌の紙の調達や、雑誌の発送時の梱包材の生分解性プラスチックへの切り替えが進む。各国のオフィス電力もグリーン電力にしていくか、もしくはオフセットしていく。サプライチェーンとも足並みをそろえていく。環境負荷の比較的低いデジタルへの移行はオーディエンスの体験やサーバなどのエネルギー消費も考えつつ取り組む。また、エレンマッカーサー財団の「新プラスチック経済グローバル・コミットメント」や国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の「ファッション業界気候行動憲章」にも参加した。

日本ではVOGUE JAPANがいち早くFSC認証ペーパーに移行する予定だ。GQ JAPAN、『WIRED』日本版も順次移行するという。昨年東京で開催されたイベント『VOGUE FASHION ‘S NIGHT OUT』では、リサイクルを目的に衣料品の回収のほか、会場で販売したグッズTシャツは、服からの再生ポリエステルを使って新しい服を作るBRINGというプロダクト(日本環境設計株式会社)を使った。コンデナスト・ジャパン社員の個人での取り組みも活発で、フードロス対策をしている会社を支援したり、マイボトルを自社で作るなどのアイデアもあるという。

こうした活動は、コンテンツクリエイターとしてだけではなく、消費者としての気候変動への戦略と駆動、実装でもある。

VOGUE FASHION’S NIGHT OUT 2019でチャリティ販売されたTシャツは衣服回収によるリサイクル素材。

"ヴォイス" でたくさんの人が参画できる流れをつくっていく

プライベートではトレイルランニングに出かけることもある藤代氏は、自然に触れていると、地球の気候変動を体で感じることがあるという。

「痩せた熊が人里におりてきたという話はたくさん聞くようになりましたし、去年、長野でのレース中にも実際に熊が出ました。毎年夏に走っているレースでは、標高2,000メートル近くのトレイルも進むのですが、明らかに年々暑くなっていて走り続けることができないこともありました。2019年4月の山梨では "季節外れ" の大雪でレースがキャンセルになりました。山岳や気象の専門家ではなく、ひとりのランナーとしてですが、たくさんの変動を感じます。プライベートでも何かポジティブなことができるといいと思っています」。 

コンデナスト・ジャパンのフル・サービス・クリエイティブ・エージェンシーである「CXNジャパン」の西川末依子氏もサステナブルな生活を意識しているという。
「登山が好きなんですが、自分が持っていくものも土にかえる素材を意識しています。野菜ひとつでも古来種に興味が出てきたり、プラゴミが気になったり。あと、自宅はオール電化なので、まだ切り替えていないんですが、電力もやっぱり気になります。自然エネルギーはインフラ的に供給量がどれくらいなのか、安定しているのか、経済的なメリットはどうなんだろう、とか。テクノロジーも進化することで、サステナブルな生活がもっとスマートにできるようになるんじゃないでしょうか。周りの人たちもそうした意識が高まっていると感じます」。

地球規模の問題であるコロナや気候変動を前にして、オーディエンスとともに、メディアも変化していく。藤代氏は、コンデナストは先駆者でありながら、オーディエンスと一体でありたいと語る。

「もし今、サステナビリティという社会の課題にコンデナストを位置づけるとすれば、もちろん、サステナブルな情報を、インパクトを持って発信する存在ということになると思います。ただし、それは決して上から『コンデナストだからこうなんだ』、っていうことではないと思います。コンデナストがまずやってみて、なるほど、と周囲の方々に思っていただける、そういう感じではないでしょうか。

社長の北田以下、コンデナスト・ジャパンはいち早くデジタル事業に投資をし、2016年にはビデオ事業を立ち上げ、最近では音声コンテンツも手がけています。このために社内の体制も改革して誰よりも早く動きながら、『みんなと一緒に考えていて、私たちはこう思っているよ』という "ヴォイス" でたくさんの人が参画できる流れをつくっていく
その時の言葉は、センセーショナルなものではなく、"用語集" のように一見地味なものになることもあるかもしれません。でも、気候変動といった課題については、地球環境にとっての正しさを念頭に言葉を選び、オーディエンスもクライアントも一緒になって変化を駆動させていきたいですね」。

コンデナストはメディア企業として、社会の変化の象徴でありながら、生活者でもあろうとしている。いや、生活者こそが変化の象徴であり、そのことを本質的に理解している企業なのだ。

プロフィール

藤代 聖彦(ふじしろ きよひこ)

コンデナスト・ジャパン 経営企画室 統括ディレクター。
Condé Nast Video事業のローンチを手がけたのち、新規事業開発、コーポレート戦略、コンシューマー事業、パートナーシップ、コーポレート・ブランディング、PR、CSR、リサーチなどを広く担当している。ウェブサイト:www.condenast.jp

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