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COP26で日本は何を成しえたか 排出削減目標引き上げ、米中対立、合意文書の修正など

COP26で日本は何を成しえたか 排出削減目標引き上げ、米中対立、合意文書の修正など

2021年11月22日

11月13日、2週間にわたって開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が、成果文書「グラスゴー気候合意」を採択して閉幕した。本来、11月12日までだったはずのCOP26だが、交渉難航によって会期を1日延長してまで議論を交わすこととなった。そうしてたどり着いたグラスゴー気候合意書までに、何が成され、何が成しえなかったのかをまとめていく。

COP26前のパリ協定では、目標を達成しても気温が2.7℃上昇する

始めに、2週間にわたるCOP26のメインテーマとは何だったのかに触れる。大きく、脱炭素やCO2排出量削減目標などについて、約200の国や地域の代表者が集まって声明を発表したことは大まかに知るところだろうが、本会議では、それに付随して石炭火力の早期廃止や、ガソリン車の販売停止、森林保全、メタンの排出規制等様々なテーマが飛び交った。

そもそも、この会議の主要議題とは何で、何がサイドに当たるものなのか。そしてそれらがどういった結論に至ったのか、という観点から結論をまとめていこう。

開催前から注目されたCOP26の主要な議題結果
2030年までの温室効果ガス(GHG)の削減目標の引き上げグラスゴー気候合意では2℃よりも1.5℃を目指すとして、2030年の排出削減目標を引き上げることを確認。1.5℃目標に整合しない国々は2022年に改めて方策を出す。
環境対策のための途上国への資金支援途上国・新興国の多くから、先進各国に対して支援額がパリ協定の内容に達していないと批判が生じた。先進各国は支援金額の増額を表明。
国際排出枠取引制度の詳細なルール決定日本の二ヶ国間クレジットを組み入れるなどして二重計上に対策、2013年以降のクレジットに限って移行を認める等、前進が見られた。

開催前から焦点が当たっていたCOP26の主要議題としては、

  1. 2030年までの温室効果ガス(GHG)の削減目標の引き上げ
  2. 環境対策のための途上国への資金支援
  3. 国際排出枠取引制度の詳細なルール決定

が大きなものとして挙げられる。

まず、「2030年までの温室効果ガスの削減目標の引き上げ」を語る上で、触れなくてはならないのが、COP26開催前の9月17日に、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局から発表された、パリ協定に批准した192ヶ国と地域の目標の集計数値についてだ。その発表によると、各国・地域が目標を達成したとしても2030年時点での二酸化炭素(CO2)排出量は2010年と比較して16%増加し、今世紀末には世界気温が2.7℃上昇するという分析結果が出ている。

2030年までの削減目標に関しては、削減目標数値も比較対象も国ごとにまちまちで、日本は2013年比で46%削減を掲げているが、英国は1990年比で68%削減、米国は2005年比で50~52%削減、中国は排出量をピークアウトすると答えるに留めた状況だ。

こうした状況を受け、グラスゴー気候合意では温暖化被害が顕著になる2℃よりも1.5℃を目指すとして、2022年末までに2030年の排出削減目標を引き上げることを確認。1.5℃目標に整合しない国々は改めて方策を出すこととなった。

石炭などをめぐり、排出量ゼロ達成年度については先進国・途上国の対立浮き彫りに・・・次ページへ

高橋洋行
高橋洋行

2021年10月よりEnergyShift編集部に所属。過去に中高年向け健康雑誌や教育業界誌の編纂に携わる。現在は、エネルギー業界の動向をつかむため、日々奮闘中。

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