10月31日に英国グラスゴーで開幕した第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)、11月1日には首脳級会合が始まり、各国の今後の脱炭素への姿勢が表明された。COPの首脳級会合は、2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みである「パリ協定」を採択した、COP21(2015年)以来となる。
その首脳級会合での内容は、2050年までに排出量実質ゼロを掲げる先進国各国に対し、2060年までの実質ゼロを掲げる中国や2070年までを目標として経済成長も手放さないインドなど、先進各国と途上国・新興国で差が出る結果となった。また特に焦点となったのは、件のパリ協定で先進国を対象に掲げられた、途上国へ年1,000億ドル(約11兆4,000億円)資金拠出する目標についてだった。
先進国から途上国への支出が増加する中、途上国からも支援増の声が届く
バイデン米大統領は、脱炭素に向けて2030年までの10年間の重要性を説くとともに、2024年までに米国による途上国への、金融支援を4倍に増やし、毎年30憶ドル(約3,400億円)を拠出するとした。実は、世界のCO2排出量において、途上国・新興国から排出されたものは、全体の約6割を占める。先進国が再生可能エネルギー(再エネ)などに投資をして目標を達成しても、途上国・新興国での成果が上がらなければ世界的な脱炭素化は厳しいといえる。
こうした状況下において、パリ協定での1,000億ドルの拠出金について触れ、自国の拠出額増額を宣言したのはドイツのメルケル首相だ。2025年までを対象に、年60億ユーロ(8,000憶円)に増額すると述べた。
また、EU欧州連合委員会のフォン・デア・ライデン委員長は27年までにEU予算から50億ドル(5,600億円)を拠出するとしたほか、議長国であるイギリスのジョンソン首相もこれまでの116億ポンド(約1兆8,000億円)に対して、さらに10億ポンド(1,560億円)増額すると表明した。
フランスのマクロン首相からは、各国の拠出を確認するため、OECDは支援状況を毎年詳細に報告すべきとの提言もなされた。
こうした、途上国への支援については、先進国からだけでなく途上国・新興国側からも言及されている。
中国習近平(シー・ジンピン)国家主席が書面で寄せた声明には、自国の排出ゼロ目標を2060年とすることに加え、先進国から途上国への支援を呼びかけた。こうした途上国からの支援の訴えかけは他国からも寄せられ、インドネシアのジョコ大統領からは「先進国の支援や貢献が必要である」と、バングラデシュのハシナ首相からは「先進国は自国の排出量削減目標と、途上国の排出削減のための資金支援、両方の約束を守らなくてはならない」と、表明された。
先進各国が途上国への資金支援を宣言する中、日本は何を表明したか…次ページへ
気候変動の最新記事