消費するけど消費しないサブスクリプションは、様々なサステナブルにつながっていく、まさに脱炭素やグリーンエネルギーにもつながる魔法のビジネスモデルなのだ、ということで始まったこの連載の第2回は、前回に引き続き、ドコモのiモードビジネスにおける、サブスクリプションの黎明期をお届けする。これから新たにDXやITビジネスを展開する方、サブスクリプションの発想に悩める諸氏、必読の回です。
不易流行や温故知新とは、まさにこの連載のことなのです。
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リアル媒体としての音楽CDやDVDが売れなくなったとぼやくリアルの小売店には申し訳ないが(グッズやブックレットなどで所有欲を満たす、いわゆる限定版商売は活性化してる)、当たり前だが、サブスクで百花繚乱となったデジタル配信が、ケースやCDの板など部材や材料の点やリアルの流通がなくなったことで環境問題に間違いなく貢献していることは誰も否定しないだろう。
リアルショップのぼやきの原因になったであろう、ネットによる楽曲配信、そして音楽サブスクの有名所と言えば、SpotifyやAmazon Music Unlimited、Apple Musicなどなど。それらはいまや百花繚乱のサービス形態ではあるが、この分野でのサブスクもドコモのiモードから始まっていたのだ。以下のように・・・。
前回は、勝手サイトでアダルトコンテンツビジネスが大躍進と、少し話が脱線してしまったわけですが、そんな大躍進のさなか、そんなこんなで、売れずに困っていたiモードの端末機種が爆発的に売れていき、当然ながら、メールだけでは飽きたらないユーザー達が、iモードサービスでコンテンツもチェックし始めていた。
そして、同時にコンテンツも、ドコモのユーザー数拡大に比例して、コンテンツの量と質ともに激変していったのを記憶している。
ちなみに、コンテンツを色々と楽しみすぎて、パケ死(パケットを使いすぎて高額課金をしてしまうこと)するユーザーも出始めて、ありがたいお客さんではあったが、一部では社会問題になっていたのもこの頃だ。
急激にマーケットが拡大する中、その状況を見知った、新規のコンテンツプロバイダーさんが(当時はCPさんと呼んでいた)、ドコモのiモードチームに、まさにわんさかと、コンテンツを出したいと集まってきた。
そんな中、画期的な端末が発売される。503 iシリーズという3機種目のiモード端末からは、着メロがダウンロードできるようになり(それ以前の端末の着メロは自分で打ち込んでメロディーを作成していた。今思えば、自作着メロはUser Generated Content、マイクラなどにつながるUGCの走りだった)、いわゆる着メロサイトというものが数多く誕生したのだ。これがいま思うと、冒頭で書いたまさに音楽配信の商業化成功の走りだろう。
ビジネスとして見ると、コストとしてはJASRAC支払いや著作権等の原価がかかるので、当時の着メロの価格設定は、月300円で10曲ダウンロード(もしくは、月100円で3曲ダウンロード)するというコースが定番だったかな。
当時、流行りの楽曲を着メロのスコアをムックや本にした通称「着メロ本」なるものが、コンビニの棚でもベストセラーになっていたので、このサービスが大ヒットサービスになるのは、まさに自明の理ではあった。同時に、当たり前だが「着メロ本」は、その役目を終え早々に消滅したわけだ。逃げ遅れて在庫を抱えた出版社も多いと聞く。廃棄されるにせよ再利用されるにせよ、紙という媒体を考えると、この話は、まさに環境問題的にはサステナビリティのない話だ。IT系サービスの流行はヒットするときは、一瞬で爆発的に広がる。どうしても諸事情で時間のかかるアナログ、このような付随する書籍とかは、いかに調査や分析などの情報が大事か、改めて当時は身に染みたのではないだろうか。
ブームのさなか、着メロサイトをiモード上で提供したいと言うコンテンツプロバイダーさんがドコモの企画室に大量に押し寄せていたわけだが、あるプロバイダーさんから(じつは、音楽関係でなく本業がゲームという会社)、月に着メロ10曲ダウンロードという上限をなしにして、月額300円で楽曲を取り放題できるサービスを行いたいと言う申し出があったのだ。
「私は当然、着メロはどうしても基本的に権利者に支払う原価がかかるので、取り放題などというシステムは赤字になってすぐサービス終了するのでは?」と言う懸念を、公式サービスとして審査する上で抱いた。サイト閉鎖でユーザーに迷惑をかける可能性のあるサービスを公式が承認できないからだ。
いまも、ドコモのdmenuを見ると、音楽配信系だけで全80サイトあるようだし、当時と変わらない顔ぶれもチラホラ。サイトによっては、一部更新されていなかったりもするが、ガラケー対応もまだ残っているようだ。ちなみにiモード公式サイト自体のサービス終了はもう発表されていて、2021年11月30日(火曜)午後11時59分で終焉を迎える。/(c)NTT DOCOMO
その質問をコンテンツプロバイダーさんに投げたところ、返ってきた答えが、実は、現在10曲300円で運用されているサイトを詳しく分析したところ、ほとんどのお客さんが、毎月10曲を使い切っていなく、平均すると大体3曲程度(当時)であることに気づいたと。シミュレーションして試算した結果、もし取り放題にしても、一定数以上のお客様を集めれば、ユーザー数に応じて爆発的に利益が出ると計算したわけだ。また取り放題というシステム自体も、ユーザーにはキャッチーでマーケティング的にも効果絶大と言うわけだ。
実際に取り放題サービスに移行すると、一部でめちゃくちゃに使う、ピーキーなヘビーユーザーもいるが、ほとんどのユーザーが月に3曲くらいしかダウンロードしないので計算通りかなりの利益が出たらしい。
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